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2話、投稿後、ちょっと追加したので、すぐ読んだ方、文章のつながりがおかしいと思ったらちょっと戻ってみて下さい。
峰春を起こした後、峰春が洗面所に行ってる間に毛布は元の数に戻してベットメイキングをした。峰春の使っていたベッドも。
一旦毛布をはしごの下に落とし、猫たちを肩に乗せて自分も降りる。それから毛布をたたみ、部屋の隅へ。
『おはようございます』
トイレから出てきたザットに、創樹は挨拶をした。
『おはよう、ソウ』
まだ眠そうな声でザットが応え、洗面所の扉の前に座り込んだ。
シグがバーベキューセットの炭の燃えカスに水をかけ、外に跳んだ。戻ってきて、もうひとつも同じようにして外に運ぶ。もう一度戻ってきて炭や団扇なども全て運んでしまう。
創樹は床に広げられている新聞を集めて重ねた。
『あぁ、ちょうどよかった。ありがとう』
戻ってきたシグが創樹の手から新聞を受け取り、今度は歩いて窓の外へ。
創樹も猫たちと顔を見合せ、首を傾げると、靴を履いて外に出てみる。
新聞を一枚丸めて、それをスポンジがわりにシグがバーベキューセットを洗っていた。既にバーベキューセットの足は外され、バケツが傍に置かれている。
『手伝います』
創樹は言って、炭がひっくり返され足だけとられて、他はとりあえずそのままになっているもうひとつのバーベキューセットの元へ。
『濡れるし、汚れるからいいよ。あとでザットにやらせるし』
『構いません』
シグの言葉に創樹は小さく微笑み、袖をまくり上げた。
創樹はシグの真似をして洗ってゆく。猫たちが二人の周囲を行ったり来たり、飛び跳ねていた。
特にバーベキューをしたわけでもなく、炭だけを燃やしていたので、それほど汚れていない。
おかげですぐに綺麗になった。
『ありがとう。助かったよ』
全て終えると、シグが微笑んだ。
『ザット! まだ終わらないのか?』
それからシグは室内に声を投げる。ザットがフッと現れた。
『文句ならフォンに言ってくれよ。アイツがずっと洗面所占領してて、俺、使えなかったんだぜ?』
寝癖のついた頭をかきながらぼやく。それからふと、創樹が手を真っ黒にしているのに気づいた。
『あ、悪い、ソウ。寒かったろ』
『いえ。面白かったです』
『『面白い?』』
シグとザットが顔を見合せ、首を傾げた。
『はい。中々出来ない経験なので…』
創樹も何か不思議なのだろうかと首を傾げる。その肩の上で猫たちも。幻の白い毛並みの所々が、黒くなっている。恐らく現も汚れているのだろうが、漆黒の毛並みでわからない。
『…楽しんでもらえたのならよかった』
『ああ。文句言いながらするよりいいしな』
シグとザットがクッと笑う。
『じゃぁ、運ぶぞ、ザット』
シグが言った時、窓が開き、峰春が顔を覗かせる。
『何をしてるのかと思えば、ソウジュ! 手が真っ黒じゃない。女の子に何させてんのよ!』
峰春がシグとザットをにらむ。
『あ…私がすすんでやっただけですので』
創樹が峰春に小さな笑みを見せる。
『ホントに? それならいいけど…。荷物運びは男に任せて、早く中に入りなさいよ。風邪ひいちゃうわ』
疑わしげにながら、峰春は言った。
『ああ。そうするといい』
『外は寒いしな』
シグとザットも告げる。
『早く手を洗ったがいいわ。ユメとウツツまで真っ黒じゃない』
『ウツツは元々真っ黒じゃん』
『違いない』
峰春の言葉にザットが突っ込み、シグも頷く。クッと笑って二人はそれぞれバーベキューセットに触れ、跳んだ。
『ったく、フォンのヤツ…。自分がやってもいないのに、文句は言うんだもんなぁ…』
『それにしても、さっきの突っ込みは良かった』
ぼやくザットに、シグがニヤリと笑う。
『“ウツツは元々真っ黒じゃん”?』
ザットもニッと笑った。
二人で手早くバーベキューセットを元に戻す。
『にしても…何でフォンはあぁまで騒々しいっつーか、メンドくせぇっつーか…。ソウは物静かなのに』
『そんなモンだろう。芸能人にしろ、近所の噂話にしろ、やたらと騒ぎまくるのは女が多い。ミーハーというか…。特にハイティーンから二〇代の女ははじけていて当たり前。歳相応なのは梁の方だろう。創樹はまだ高校生。一七歳と言っていたな…。年齢の割に落ち着きすぎている。頭の回転も速すぎる』
『そうだけど…』
『…クボタたちと変わらない年齢だ。彼らは普通の高校生。タニムラでも、比較的落ち着いてる方だろう』
『言われてみりゃそうだけど、落ち着きすぎてんのと、頭の回転が速すぎると、何か問題あんのか?』
眉根を寄せるシグにザットが首を傾げた。
『…解ってるか? 頭の回転が速いってことは、素質だけでなく、それだけ今まで頭を使うことを要求され続けてきた、ってことでもある。経験をつめばつむほど頭の回転は速くなるし、冷静に落ち着いて対処できる』
『……ってことは、ソウはずっと身の回りで起きる問題を、考え続けてきた、ってことか?』
『多分な。あれだけの宿神を宿しながら、今回の件まで家族にすらそれを悟られずに生活してきたんだ。何もかもを、創樹は自分と宿神たちだけで考えて処理してきたんだよ。きっとな…』
『…そうだよな…。相談しようにも、簡単に相談できることでもないよな…』
珍しく深刻な表情でつぶやきつつ、全て片づけ終えたザットは、ハッとシグを見直す。
『何だ?』
まじまじと見つめられ、シグが眉根を寄せた。
『シグ、お前いつからソウのこと“創樹”って呼んでんだよ! さり気なさすぎて聞き流してたぜ! ずっと“彼女”とか言ってたくせ!』
『今日の朝だよ。あぁ、ちなみに創樹も俺たちのことをシグとザットで呼んでくれるらしい』
シグは何でもないことのように手をはたきながら言った。
『いつの間にそんな話…』
『お前らが寝てる間』
『寝てる間? お前らって…俺とフォン? その間に何があったんだよ!』
『別に何も。トレーニングを近くでしてるところに創樹が来たんだ。猫たちと散歩してたらしい』
『何話したんだよ!』
『何って…他愛もないことさ』
『他愛もないことって?』
『何でトレーニングしてるのかとか…重要なことと言えば、創樹が携帯をお兄さんに取り上げられてた、ってことくらいかな。まぁ、俺の携帯に連絡来るように電話させたけど。クボタたちにも。…やけに突っかかるな』
『だってソウともっとコミュニケーション図りたいじゃん! お前だけずりぃ!』
『…あのなぁ、早く起きないお前が悪いんだろ。行くぞ』
呆れつつ、シグが跳んだ。ザットも後を追い、跳ぶ。
ギリギリ…ギリギリ今日中に3話目間に合わなかった(>_<)




