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神宿り  作者:
第4章
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63/103

10

 ふと、ロフトから峰春のはしゃいだ声が聞こえてきて、シグとザットは顔を見合せ、肩をすくめた。

 それからシグは、歯磨き粉や石鹸、シャンプーなどを先にバスルームと洗面所に運んでおく。


 一言二言話す声がして、峰春がおりて来た。

『何はしゃいでたんだ?』

 ザットが問う。

『ソウジュが猫たちと新品のシーツ見つけてくれたのよ。空気の入れ替えもして。あ、私の後、シャワーはソウジュに浴びさせたげてね』

 ザットと、バスルームから出てきたシグに峰春は言った。二人は頷く。


『シャンプーとか石鹸とか、バスルームにおいてる』

『は~い』

 淡々と告げるシグに返事をして、

『覗かないでよ』

 最後に峰春はシグとザットにそう告げてから、バスルームへと消えた。


『…誰が覗くかよ。グラマーな美女ならともかく』

 げんなりとした顔でザットが言った。


 創樹がはしごをおりて来る。猫たちが創樹の肩から飛び降り、あちこちの戸棚を覗いてゆく。

『すみません。本当にベッドを使わせてもらっていいんですか? お二人は、ここで寝られるんでしょう…?』

 創樹が二人に言った。


『ああ…聞こえてたか。構わないよ。あらかた床の埃を払ってから毛布持ってくるし』

『どっから?』

 シグがの言葉に、創樹より先にザットが反応する。


『周辺はキャンプ場だと聞いたろう? 荷物を置きに来たついでに覗いてみたら、事務所らしきところの倉庫にあった』

 シグは肩をすくめる。短時間で抜け目なく必要な確認は終えているらしい。

 と、猫たちが鳴き声を上げた。創樹は頷き、猫たちの開けた戸棚からバケツとぞうきんを取り出す。


『なるほど。猫たちに探してもらってたのか』

 峰春が『猫たちと何かしてる』と言っていた意味を理解し、フッとシグは笑った。


『ええ。この子たちの方が探し物は得意ですし…それに、ロードやハックは関係ないのかもしれませんが、この子たちは顔と床の距離が近いので、埃なんかを嫌がるんです』

 舞い上がる埃に、急いで創樹の肩に避難する二匹の猫。その様子に、シグとザットは己の宿神を見た。

 確かにこちらは体高がある分、特に影響はないのだろう。今は埃も構わず寝そべっているが。


 シグは創樹の手からバケツをとると、水をくんで持ロフトへ跳ばした。

『すみません』

『構わないよ。ザット、お前も埃っぽい床に寝たくなかったら手伝え』

 創樹の礼に応えた後、先ほど創樹がバケツとぞうきんを出してきた戸棚を空けながらシグが言った。


 ザットも加わり、三人で掃除をする。創樹はまずロフトの仕上げから。終わってから、シグとザットの手伝いを。

 せまいログハウス。床やテーブル、棚程度の掃除なら、三人で手分けするとすぐに終わる。全ての窓を開けて空気の入れ替えをしていると、最後の仕上げ、とばかりに飛天が出てきて、その翼を大きく羽ばたかせた。

 途端、室内の空気が浄化され、汚い空気が外へ出て行く。寝そべっていたため埃まみれだったロードとハックと砕牙の体、それから猫たちの体からも、不思議と埃が消えた。


 宿神たちが気持ちよさそうに一旦身を起こし、伸びをする。

 飛天が消えた。

『掃除の仕上げをする宿神って初めて見た』

『飛天は綺麗好きですから』

 しみじみと言いつつも愉快そうな光を瞳に躍らせているザットに、創樹が淡い苦笑を浮かべる。


『宿神に“お座り”や“とって来い”を教える宿主もまず居ないだろうがな』

 シグの言葉に、ザットとハックは気まずそうに顔を見合わせる。


『へぇ…綺麗になってるじゃない』

 バスルームの扉が開き、峰春が出てきた。

『お前、タイミングよすぎ。掃除が全部終わった瞬間に出てくるんだもんなぁ…』

 ザットが肩をすくめ、買ってきた食料の中からおにぎりをとる。

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