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今日は一応3話更新予定です。
『待て』
靴のまま上がろうとするザットをシグがとめた。
『何度言えば解る。日本の家は、靴を脱いでから中に入る造りになってる。何のために玄関に跳んだと思う』
『あ、そうだった』
はたと気づき、ザットは靴を脱いだ。皆も靴を脱いで、玄関をあがる。目の前の扉を開けば、ただ、仕切りも何もない部屋が出現する。途端、ロードとハック、砕牙と猫たちが現れる。
『セキュリティーとかはどうなってるんだ?』
『何もない。鍵は一応かかってたが…ずさんだな。この分じゃ電気もガスも、ロクにチェックしてないだろう。荷物持って帰って来た時に彼女がボイラーのスイッチ入れてくれたから、しばらくしたらお湯も出る』
シグは創樹を示してザットに肩をすくめ、カーテンを全てひいてから、電気をつけた。
『…床が汚い。棚も汚い。埃だらけ』
『夏から誰も入ってないんだろ』
頬を膨らます峰春に、淡々とシグが返す。
『…今日、ここに泊まるの?』
『仕方ないだろ。もう、明日になる時間だ。この時間にどっかのホテルに行くのも疑われる。文句ばかり言うな』
憮然とする峰春に、やれやれ、とシグが言った。
『…ねぇ、まさか同じ部屋で寝なきゃいけないなんてことはないでしょうね? 他にログハウスないの?』
『ログハウスはあるが、一ヵ所に固まっていたが無難だ。それに、広くはないがロフトがある。そこにベッドもふたつあった。…梁と二人でそこを使うといい。向こうにはしごが見えるだろ。そこを登ったところだ』
眉根を寄せる峰春を軽くあしらい、シグは創樹に告げる。創樹は頷き、『見に行こう』という峰春に連れられるままロフトへ。猫たちが創樹の肩に乗ってついて行き、虎は、はしごの下に寝そべった。
『俺たちは?』
ザットの問いに、シグは床を示す。
『…ほう。俺たちはここに雑魚寝か。そうか。雑魚寝ね。堅いフローリングで雑魚寝…。埃っぽい床に雑魚寝…。寒い床に雑魚寝…』
『うるさい。お前までガタガタ言うな。今から軽く掃除すればいいだろが』
ザットに言い捨てたシグは、ひとまず洗面所とトイレをチェックし、全部が問題なく使えることを確認し、バスルームへと。
『せまいけどベッドがあるだけマシね。毛布とか、とりあえずバタバタして埃だけは払ったけど』
一人ではしごを降りて来た峰春が言った。気に入らないが仕方ない、という表情。
『そうさ。マシさ。俺たちはこの寒くて堅くて埃っぽいフローリングに雑魚寝なんだから』
『あら、広くていいじゃない。レディをフローリングに寝かせないだけの気遣いはできるのね』
ザットがふてくされたように言うが、澄まして峰春は答える。
『誰がレディだよ! お前なんか…』
『二人ともやめろ。…梁、シャワー浴びるんなら、もうお湯出るぞ。……彼女は?』
バスルームから出てくるなりシグは制し、峰春の隣に創樹の姿がないことに眉根を寄せる。
『知らない。猫たちと何かやり始めたわ。私はシャワー浴びよっと。ソウジュと私の買い物してきたのは?』
峰春が首を傾げ、シグがこの部屋にひとつだけあるテーブルを示す。買い出した物が、全て置いてあった。
峰春が中身をチェックして自分の袋を探す間に、シグは部屋の隅に、お情け程度に作られた簡易キッチンから台ふきを持ってくると、テーブルを拭いた。
それから日用品の入っている袋を開け、タオルとフェイスタオル、歯ブラシをセットにして四つ並べる。タオルも歯ブラシも、それぞれピンク・黄色・緑・水色で色分けされている。
『間違わないように色分けしたのね』
『ああ。好きな色持って行け。彼女の分もな』
シグは淡々と言った。
『じゃ、私はピンク。ソウジュはこの中じゃ黄色かしら』
そう言って峰春はピンクのセットを、見つけ出した自分の着替えの入った袋に突っ込み、黄色を創樹の袋に突っ込むと、ロフトに跳ぶ。
『俺、緑! 自然の色だぜ』
いつの間にかそばにやって来たザットが淡い緑色のセットをつかむ。色などどうでもいい、と言う様子で、シグは自分の着替えの袋に水色のセットを突っ込んだ。ザットも自分の着替えを見つけ出し、突っ込んでおく。




