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神宿り  作者:
第4章
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61/103

8

 書店に入るとすぐにザットと峰春を見つけることができた。大声で言い合いをしているので、かなり目立つ。


 呆れたようにシグがため息をついた。そして創樹と顔を見合わせ、肩をすくめる。創樹は微苦笑を浮かべた。

 二人のそばへ行き、シグが言い合いを止める。


『シグ、ちょっと聞いてくれよ、こいつ…』

『聞いて頂戴。ザットレディンったら、信じられないのよ…』

『ストップ』

 二人揃って再び口を開きかけるが、シグが有無を言わさず二人を止めた。


『選んだのか?』

『決まらないんだよ。こいつが…』

『何ですって!? あんたが…』

『はいはい。結局何も出来てないわけか…』

 シグの言葉に三度舌戦が始まりそうになったが、シグはあきれた調子で止め、並んだ本に軽く目を走らせ、いくつかを手にとって眺めると、すぐに一冊を選んだ。


『ほら、行くぞ。支払いして来い』

『わかったよ…』

『でも、何で観光ガイドなのよ?』

『観光客を装ったが目立たないだろう? 東洋人の梁はまだしも、俺たちは目立ちすぎる。明日の夜もあのログハウスに泊まるってのも危険だし、どこか適当な宿も必要だ。ガイドには宿の紹介もあるし…』

 シグが肩をすくめる。途端…


『観光するの? オンセン入りたい!』

『俺は食い倒れツアーがいい!』

 峰春が主張し、負けじとザットも声を上げる。


『あのなぁ…お前ら…』

『いいでしょ? どうせだからついでにオンセンのあるホテルにしよ!』

『観光しようぜ! いいじゃん、いいじゃん!!』

 二人に声を揃えられ、シグは深いため息をついた。


『はいはい。じゃあ、少しだけな…。もちろん、策を練りながらな』

 歓声を上げる二人にシグはため息をついて、じっと眺めていた創樹にしかめっ面をみせる。創樹はクスッと笑った。


 支払いを二人に任せ、シグと創樹はコピー機の元へ。コピーをしていると、二人がやって来た。


『……………何を買った?』

 頭痛をこらえるような表情でシグは問う。明らかに袋にはガイドブック以外のものが…。

『カメラ!』

『観光に必要でしょ? デジカメ持ってきてないし』

 こんな時ばかりは息もぴったりに、ザットと峰春は言った。


『二つ買う必要はないだろう…。目的を忘れるな。観光はついでだ…』

 やれやれ、と、シグはため息をついた。


 淡い苦笑で皆を見守っていた創樹の腕が引かれる。

『ちょっとソウジュと店内見てるわ。何も買わないからいいでしょ?』

 峰春はそう告げ、シグの返事も待たずに創樹を連れて移動する。

 創樹はただ、連れられるままに峰春についていった。


『お願い、ソウジュ。あの女の店員さんに、まともに着られる服が置いてある店、聞いてくれない?』

 峰春に中国語で頼まれ、創樹は峰春の行動の意味を理解する。クスッと笑って、創樹は頷いた。

 本を並べ直していた店員に、声を掛ける。


 すぐにコピーを終えたシグとザットがやって来る。意図を察した二人の視線が痛いので、さすがに峰春も軽く場所だけ聞いて早々に切り上げ、店を出た。


 人目のないところへ移動し、シグが創樹の肩に手を置いた。


 跳ぶ。


 毎度のことながら、シグの跳ぶ場所に合わせて。

 貸しログハウスの玄関に着いた。

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