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神宿り  作者:
第3章
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46/103

6

『さぁ、移動だ。一旦彼らをどこか監視の目のない場所に跳ばして、そこから帰宅してもらおう』

 シグの言葉に創樹とザットは頷き、三人の元へ。

 シグが石原と哲哉に説明し、二人も了承した。


『場所は?』

『教会なんてどうだ? まだ結界は充分だろう?』

 ザットの問いに、シグは創樹に振り、創樹は頷く。


『ロード』

 シグは傍らのライオンを見やり、ライオンが消えた。数秒の後、再び現れ、軽くうなる。

『OK。教会に監視の目も、余計な人の目もない』

「教会に行きます」

 シグの言葉に創樹は石原と哲哉に告げた。


『行くか。……ザット、彼女を跳ばしてやれ。明らかに力を使いすぎている。俺はこっち三人を運ぶ』

 シグの言葉にザットは頷き、虎が軽くうなると消える。

 シグの手が石原と哲哉に触れ、ザットが創樹の背に触れ…。

 跳んだ。


 六人は教会の中にいた。

『ありがとうございます』

『お安い御用さ。気楽に行こうぜ、ソウ。こっちの方が記憶もらったりして世話になってるし』

 礼を言う創樹にザットがニッと笑う。もう、いつもの彼の表情だ。


「遼介?」

 と、哲哉が声を上げた。

「んあ?」

 遼介が目を開け、皆を見回す。

「あれ? 俺何でこんなトコで寝てんだ? あ、悪ぃ、タカ先」

 どこかぼんやりと頭をかきながら、己を石原が支えているのに気づき、遼介は言った。


「男の記憶はひとまず消しています」

 創樹が素早く小さな声で、石原と哲哉に告げる。二人は頷いた。


「神代さんに…外人のにーちゃんたちまで。何してたんだっけ?」

 どこかぼんやりとした表情で、遼介は皆を見回した。

「学校帰りに寄ったら、神代さんたちに会ったんだろ?」

 哲哉が遼介の背中を軽くたたいた。

「そうだっけ。そっか…」

 遼介が頷く。


「あら? 人の声がすると思ったら」

 シスターが現れた。

「ごめんなさいね、散らかってて。明日から工事の業者さんが入ることになってるんですけど」

 シスター野々村が教会の中を見回す。


「怖かったわよねぇ、あのトラック。でも、誰一人怪我人がなくて…きっと神様が護って下さったのね。っと、いけない。お祈りの時間だったわ。ゆっくりしていらしてね」

 シスターは微笑んで、奥へと再び消えた。


 あの日、あの後、シグが教会の惨状を誤魔化すために何かないかと探り、隣の県で暴走トラックが一軒家に突っ込んだ後、まだ逃走中なのを見つけ出し、運んで来た。

 それから創樹が、あらかじめ消しておいた皆の記憶をすりかえた。


 ここにいる者と優梨江以外の記憶では、あの日、お茶の時間に暴走トラックが教会に突っ込んで来て、ことごとく破壊されたことになっている。


『とりあえず今日は帰ったらどうだ? クボタを家まで送ってやれ。相手は情報を手に入れたから、もう恐らく君たち自身には興味はないはずだ。だが、念のためしばらく外出はひかえて、なるべく二人か、または教師ふくめ三人で行動して、すぐに連絡できるようにしとくんだな』

 シグが何気なく哲哉に触れ、意志を伝えた。

 哲哉は頷き、石原に説明すると、遼介を促して帰ることにする。

 三人を見送ると、手をあげ、シグとザットは消えた。


 創樹は猫たちと共に、教会を後にする。哲也たちと反対の方向へと。

 家は別の方向だが、鬼が自分を狙って来ているのを知っているので、なるべく巻きぞえにしないようにしなければならない。


 家にも、あまり早く帰らないようにしていた。

 狙ってくる鬼を浄化させながら、家へと向かう。今は、シグとザットの宿神の気配はない。

 普通に帰っていても、最近は狙ってくる鬼のせいで、随分と帰宅時間が遅れている。

 もう、夕闇が迫っている。

 そろそろ家に帰らなければ。

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