4
神父が、人間離れした脚力で、助走もつけずに目の前の台を飛び越えた。シスターが何も映していない虚ろな瞳で、神父の隣に立つ。
徐々に大きくなるざわめきの中、一人の女がステージに駆け上がった。
ビシッと神父に人差し指を突きつけ、何やら声高に言った。
シスターがその女性に襲い掛かる。
「雲っ!!」
女が叫び、消えた。
どよめきが走る。
いつの間にかシスターの目の前にいたはずの女が、台の上に移動している。
その足元には、先ほどまで確かに存在しなかったはずの小動物。
その時、一人の男性客があんぐりと口をあけ、頭上の空間を凝視した。
隣にいた女性もつられて見上げ、声もなく天井を指差した。
どよめいていた人々が、今度は静まり返る。
ホールの高い天井近くに、大きな二頭の動物と、二匹の猫を肩に乗せた人間が浮かんでいる。
………いや…、空中に立っている。
ステージの上から女が何かを叫んだ。よく聞くと、どうやら中国語のようだ。
シスターは周囲のことなど何も気づかない様子で、再び女に飛び掛る。
シスターに小さな動物が飛びついた。
「砕牙」
創樹の視線を受けた虎が、宙を蹴った。
客席上空から、シスターに加勢しようとしていた神父の眼前に着地する。
「遼介っ!?」
ステージ脇の教員席側で、声が上がった。
静かなホール内、その声は誰の耳にも届いた。
ステージの上では、シスターの手の届く寸前、女が消えては次の瞬間別の場所に立っている。
神父が虎に襲いかかり、虎はその体を押さえ込む。
ふらふらと、そんなステージに近づく者がいた。
「遼介、しっかりしろっ!! どうしたんだよ!?」
誘われるようにステージへあがろうとする遼介を、哲哉が必死で止めていた。
石原も飛び出し、手伝っている。
パニックを起こした客の一人が、扉へと走る。
それに気付いたステージ上の女が、少々慌てていた。
「翔波、」
落ち着いた声で空中の創樹が言った。
傍らの一角獣の体が、淡い光を放つ。
外へ飛び出そうとしていた客が扉に手をかけても、ピクリとも動かない。
その様子に、ホール内に動揺が広がる。
何をしたのかと見上げた人々は、狼狽に拍車をかける。
いないのだ。宙にいたはずの少女と、一角獣が。
「おい、遼介っ!?」
まだステージに近づこうとしている遼介。
「あ…っ…」
哲哉と一緒になって遼介を止めていた石原が、幾分あっけにとられた声を漏らした。
「!?」
哲哉は振り返り、息を呑む。
創樹が真後ろに立っていたからだ。その隣で、一角獣が消えた。
この、創樹がホールで、もふもふ達と空中に立ってるシーン。
高校生の頃、厨二病だった私が全校集会の時に夢想してたシーンだったりする(。-∀-)
この夢想を形にするために、この小説を書き始めた高校生の頃の私、馬鹿すぎる、笑
(キリスト教系の学校で、高校なのに体育館とは別に校舎にホールとかあったw)




