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厨二病だった昔の私は、ムダに漢字を多く使っている…
気づいた分は修正してはいますが、読みにくいところはご指摘下さい(>_<)
肌をさす空気。
寒々としたコンクリートの床に座りこみ、遼介はかろうじて風よけの役目を果たしている、ヒビの入った窓ガラスから、ぼんやりと外をながめていた。
紫煙をはきだし、さしこんでくる弱々しい太陽の光で、わずかながら、暖をとる。
長年の歳月に汚れた窓ガラスは、外の景色までもくすませていた。
その時。
物音に、遼介はハッと息をのむ。
タバコをもみ消し、素早く立ち上がった。
周囲の物音を、用心深く探る。
そんなはずは…なかった。ここには遼介以外、誰もいないはずだった…。
廃墟と化したビル。不況のためか、建設途中で放りだされたまま…。このビルを建てていた会社が、倒産したとも聞く。
遼介はよく、学校をサボってはここへ来ていた。
今まで、こんなことは一度もなかった。
重く、さびた鉄のドアを押し開ける。
カツン…。
足音が、やけに大きく、不気味に反響した。
「ぐるるぁ…あ…ギャァァーーーーッ!!!」
突如、人間のものとも思えぬ絶叫が響き渡る。
ビクッと体をこわばらせ、思わず歩みをとめる。
争うような物音。
ただならぬ様子に、遼介はぎこちなく足を動かした。
集団暴行、拉致監禁、殺人…。
この世の中、どこにでも転がっている物騒な言葉が頭をよぎる。
ぷっつりと途切れた物音。
ふいに舞い降りた静寂。
息を殺し、遼介はあたりを見回した。
誘われるように、こわばった体を動かす。
小さな物音がした。
ひとつの扉の前で足をとめる。
遼介は見た。
人影を。
半開きの扉の奥…あれは、人間の足…?
遼介は硬直して、動けなかった。
人間が、倒れている。
ただでさえ薄暗い廃ビル…。そこは、それ以上に…異様なほどに薄暗かった。
見えない境界線があるかのように、遼介の立っているドアのこちら側と、向こう側の明るさが違った。
空気が違った。
立ちすくむ遼介の眼前で、扉がゆっくりと開く。
……遼介の姿を、かろうじて室内から覆い隠していた扉が…。
恐る恐る、投げだされた足から視線をひきはがし、正面へと顔を向ける。
「……っ!!」
遼介は息をのみ、目を丸くしたままピクリとも動けなかった。金縛りにでもあっているかのように…。
室内に、誰かがいる。
遼介のほうに、まっすぐに手をのばしている人影。
室内の暗さで、顔は見えない。
その人物がドアを開けたのだ。
きっと。
だが、遼介は理解できなかった。
いや、信じることができない。
感覚的にはわかっているが、理性がそれを否定している。
―――何しろ、その人物と扉の間には、三メートルもの距離があるのだから。
遼介はなすすべもなく立ちつくす。
遼介は気付かない。自分が震えていることに。
室内の人物が、スッと手を下ろした。
その視線が、ふいっと遼介から外される。
体が…動く。
遼介は震える足で、一歩、二歩と、室内へ足を踏み入れた。
何故自分がそうしているのかわからないまま…疑問を持つ余裕さえないまま…。
一歩、また一歩…。
この頃は京極夏彦さんにハマってて、漢字が大好きだったんだよ…笑