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神宿り  作者:
第1章
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1

厨二病だった昔の私は、ムダに漢字を多く使っている…

気づいた分は修正してはいますが、読みにくいところはご指摘下さい(>_<)


 肌をさす空気。

 寒々としたコンクリートの床に座りこみ、遼介はかろうじて風よけの役目を果たしている、ヒビの入った窓ガラスから、ぼんやりと外をながめていた。

 紫煙をはきだし、さしこんでくる弱々しい太陽の光で、わずかながら、暖をとる。

 長年の歳月に汚れた窓ガラスは、外の景色までもくすませていた。


 その時。

 物音に、遼介はハッと息をのむ。

 タバコをもみ消し、素早く立ち上がった。

 周囲の物音を、用心深く探る。

 そんなはずは…なかった。ここには遼介以外、誰もいないはずだった…。

 廃墟と化したビル。不況のためか、建設途中で放りだされたまま…。このビルを建てていた会社が、倒産したとも聞く。


 遼介はよく、学校をサボってはここへ来ていた。

 今まで、こんなことは一度もなかった。

 重く、さびた鉄のドアを押し開ける。

 カツン…。

 足音が、やけに大きく、不気味に反響した。


「ぐるるぁ…あ…ギャァァーーーーッ!!!」

 突如、人間のものとも思えぬ絶叫が響き渡る。

 ビクッと体をこわばらせ、思わず歩みをとめる。

 争うような物音。

 ただならぬ様子に、遼介はぎこちなく足を動かした。


 集団暴行、拉致監禁、殺人…。

 この世の中、どこにでも転がっている物騒な言葉が頭をよぎる。

 ぷっつりと途切れた物音。

 ふいに舞い降りた静寂。

 息を殺し、遼介はあたりを見回した。

 誘われるように、こわばった体を動かす。


 小さな物音がした。

 ひとつの扉の前で足をとめる。

 遼介は見た。

 人影を。

 半開きの扉の奥…あれは、人間の足…?


 遼介は硬直して、動けなかった。

 人間が、倒れている。

 ただでさえ薄暗い廃ビル…。そこは、それ以上に…異様なほどに薄暗かった。

 見えない境界線があるかのように、遼介の立っているドアのこちら側と、向こう側の明るさが違った。

 空気が違った。

 立ちすくむ遼介の眼前で、扉がゆっくりと開く。

 ……遼介の姿を、かろうじて室内から覆い隠していた扉が…。


 恐る恐る、投げだされた足から視線をひきはがし、正面へと顔を向ける。

「……っ!!」

 遼介は息をのみ、目を丸くしたままピクリとも動けなかった。金縛りにでもあっているかのように…。

 室内に、誰かがいる。

 遼介のほうに、まっすぐに手をのばしている人影。

 室内の暗さで、顔は見えない。

 その人物がドアを開けたのだ。

 きっと。


 だが、遼介は理解できなかった。

 いや、信じることができない。

 感覚的にはわかっているが、理性がそれを否定している。

 ―――何しろ、その人物と扉の間には、三メートルもの距離があるのだから。


 遼介はなすすべもなく立ちつくす。

 遼介は気付かない。自分が震えていることに。

 室内の人物が、スッと手を下ろした。

 その視線が、ふいっと遼介から外される。

 体が…動く。

 遼介は震える足で、一歩、二歩と、室内へ足を踏み入れた。

 何故自分がそうしているのかわからないまま…疑問を持つ余裕さえないまま…。

 一歩、また一歩…。

この頃は京極夏彦さんにハマってて、漢字が大好きだったんだよ…笑


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