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神宿り  作者:
第1章
13/103

12

今日から3話ずつ予約投稿しようかなぁと。

あくまでも予定ですよ、予定!

「ママ、猫だ」

「ほんと。きれいな猫ちゃんたちね」

 そばを通過しながら親子が言葉を交わす。


「あ~…っと、もう、結構人集まってるぜ。神代さんも、早く中に入るといい」

 哲哉の言葉に創樹が頷きかけた時、先ほどの親子と入れ違いに教会から出てきた女の子が「あっ」っと、声を上げた。

 三人と二匹は女の子を見る。


 創樹は誰が声を上げたのか確認すると、素早く猫たちと視線を交わした。

 女の子の目が、猫を見ている。それからゆっくりと創樹に視線を移し、今度は目を丸くして息をのむ。


 遼介と哲哉が思わず顔を見合わせたとき、女の子は駆けだしていた。

 その勢いのまま、創樹に抱きつく。

「…………………」

 創樹はとりあえず女の子をうけとめた。遼介と哲哉はその様子を見、再び顔を見合わせて首を傾げた。


「優梨江っ!?」

 教会から母親らしき、まだ若い女性がでて来る。

「ゆりえちゃん…? あら。創樹さん」

 女性のあとからでてきたシスターが、創樹の姿に軽く目を瞠った。昨日会った、野々村というシスターだ。

 優梨江は半ば創樹に身を隠す。


「ごめんなさいね。…優梨江、みんなのところに行きましょう?」

 女性は創樹に声をかけてから優梨江に言った。

「いや」

 優梨江は首を横に振ると、創樹を見上げた。


「この猫ちゃんたち、お姉ちゃんのお友達…?」

 首を傾げる女の子に、創樹は頷く。

「あのね、あのね、ゆりえ。おかざきゆりえ。お姉ちゃんは?」

「…神代創樹」

「じゃあ、猫ちゃんは?」

「幻に、現」

 創樹は白猫と黒猫をそれぞれ示しながら言った。


「さあ、優梨江。中に入りましょう?」

 近付いて来た母親が、優梨江に言った。

「お友達も待ってますよ?」

 シスターも優しく言う。

 優梨江は母親を見、シスターを見、それから創樹にしがみつくと、かたくなに首を横に振る。


「どうしたのかしら…。今日に限って…」

「いつもなら喜んでお友達と遊んでいるんですけどねぇ…」

 母親とシスターは顔を見合わせ、困惑していた。

 そんな二人の様子を見ながら、優梨江は創樹にしがみついたまま、じりじりとあとずさる。当然、創樹もしがみついた優梨江に引っ張られる。

 行動を起こしたのは、創樹だった。


 地面にひざをつき、優梨江と視線の高さを合わせる。それからポンッと優しく優梨江の頭に手を置いた。

「大丈夫。怖くない」

 温かく、穏やかな声。

 優梨江は目を丸くする。

 いや、見ていた皆も…。


「ほんと…?」

 恐る恐る確認する優梨江に、創樹が頷く。

「…ママ、お姉ちゃんと一緒だったら、中に入る」

 創樹の服をしっかり握って、優梨江は言った。

 母親とシスターは顔を見合わせ、不思議そうに優梨江と創樹を交互に見た。


「いいでしょ? お姉ちゃん」

 すがるような瞳で不安げな優梨江に、創樹は頷く。優梨江はホッとした笑みを浮かべた。

「じゃあ、ゆりえちゃん、創樹さん、中に入りましょ? そろそろお茶の時間ですよ」

 シスターもホッとした笑みを浮かべる。

「もちろん猫ちゃんたちもね。それから哲哉くんと遼介くんも、ほうきを置いて、一緒にお茶にしましょうね」

 シスターに声をかけられ、ひたすら傍観者に徹していた二人は、ハッと我に返った。


 優梨江が創樹の手を引っ張り、ドアのほうへ。

 猫がその足元をじゃれるようについてゆく。

「ありがとう」

 隣に並んで歩きながら、優梨江の母親が創樹に言った。「気にしなくていい」というように、創樹は首を振る。

 六人と二匹は、教会の中に入った。


 猫を見付けた子どもたちが、たちまち群がる。

 黒猫も白猫も、その勢いに圧されるように、創樹の肩の上に避難した。

 シスター野々村が、パンパンッと二回手を叩く。

「猫ちゃんが驚いていますよ。猫ちゃんと遊ぶのは、お茶のあとにしましょうね」

 静かになった子どもたちに、シスターは告げる。


「さぁ、みんな手を洗ってらっしゃい。お茶の時間ですよ」

「は~い」

 にこやかに言うシスターに、子どもたちは素直に返事をして、手を洗いに行く。

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