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召喚送還師  作者: 銀槍
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始動

宿屋に着いたら、宿屋の従業員に宿屋から追い出されました。動物の持ち込みは禁止だそうだ。だったらペット持ち込みの張り紙位出しておいてくれと言いたい。普通はそんな人は居ない、そうですか、すいません。


「これからどうするか…」


王都の舗装された道路を子犬を抱えたまま当ても無く歩く。歩き続けていると右前方に寂れた小さい公園が有り、数種類の遊具とトイレがあった。


トイレの軒先で雨宿りをしながらボ――としていると、不安になったのか子犬が「く――ん」と鳴き声を鳴らす。子犬を地面に置いて頭を撫でる。子犬は撫でられてとても気持ちよさそうだ。


子犬と一緒に洞窟に戻りたいが、召喚送還術では契約者以外の生物は召喚及び送還出来ない。確か契約すると、奴隷の様に自分の思い通りに操れると神殿の人は言っていたが、そんな事は余りしたくはないが、この際仕方が無い。


「だが契約って如何したら出来るんだ?」


子犬の頭を撫でながら考え込んでいると、子犬と俺を中心に地面に五メートルの魔法陣が現れる。この中で闘って勝てば契約出来るみたいだ。


「出来ねぇぇ、そんなひどい事出来ねぇぇ」


訳が判らず首を傾けて不思議に思っている仕草をする子犬を見ていると、そんな真似は出来ない。


「なあお前、俺と一緒に来るか」


その瞬間、首の辺りを撫でられて気持ちよさそうにしている子犬と俺の間に、俺達にしか見えない赤い糸が俺と子犬を繋ぎ、そして消えて行った。同時に地面に描かれていた魔法陣も消える。ハッキリと契約が完了したのを自覚出来る。これで子犬は俺の使い魔になったわけだ。


トイレの建物の裏に回る。其処は公園の隅にあたり、目の前には公園を囲う壁だけで、ここで召喚送還術を使っても周りに気付かれる心配はない。


早速送還術を発動する。気付くと俺と子犬は洞窟の部屋の一室に転移した。子犬も一緒に居る。どうやら成功したみたいだ。


突然場所が変わったので、子犬が辺りをキョロキョロと見回している。そう言えばこの子犬の名前もまだ考えていなかった。さて男の子だし名前は何にするか…


そうだサスケと名付けよう。強く逞しくとなる様に願いを込めて、だが筋肉ムキムキのマッチョになられても困るが…



……あれから三週間が過ぎた。俺は相変わらずベッドの上でポテチを食べながら召喚した雑誌を読んでいる。


そしてベッドの隣りに敷いたカーペットの上に座っているサスケは、召喚した小学六年生の数学の問題集に、口で器用に鉛筆を咥えて答えを書き込んでいる。召喚して着けた赤い首輪がとってもかわいい。


どうしてサスケがこんな真似が可能になった訳は、図鑑に載っていた食べると知力が上がる知恵の実を食べさせたらこんな事態になってしまった。軽い気持ちで賢くなったら、躾が楽になるかなと軽い気持ちで食事に知恵の実を混ぜて与えていたら、サスケは普通の犬より遥かに賢くなってしまった。


そして俺も変ってしまった。若返りの実を二つ食べて、肉体が十八歳の若さに戻ったのだ。流石若い肉体、ポテチや脂っこい物を食べても全然太らない、素晴らしい、若いって本当に素晴らしい。だが身体の動きは前と殆ど変らなかった。若くなったからと言って戦闘力も上がった訳ではないらしい。少し残念。


このままずっと引き篭もってしまいたいのだが、俺には野望がある。向こうの世界と此方の世界とを行き来出来るようになる事だ。その為には魔物を沢山狩らなければならない。トーマスさんと手を組むのが一番確実で安全だが、世界を行き来出来る力が得られたので、もうデススコルピオンは狩りません。なんて一方的に辞める事は出来ないだろう。


辞める時に理由を訊かれても答えるつもりは無いし、トーマスさんも、なんとしても俺を引き留めようとするだろう。それに一つの場所で沢山魔物を狩っていたら噂にもなるし、得たお金目当てに言い寄ってくる者もいるだろう。俺のひっそりと暮らしたい望みにそれは反する。


と言う訳で、時間を掛けて力を上げる事にした。幾ら時間がかかっても構わない。召喚送還術がそれを可能にする、本当に素晴らしい能力だ。その点は神様に感謝している。


だが生きる為には金がいる。金は有った方が良い、有っても邪魔にならないし。まあ、金が全てとは言わないが、金は俺の友達だ位には執着している。ボールは友達みたいに誰かにパスは絶対にしないが…。ぶっちゃけ召喚術で召喚すれば良いのだが、バレたらどうなるか判らないし、金は一生懸命稼いでこそ有難みも判る。正直、気持ちの問題なんだけどね。


そして俺がずばり金を稼ぐ方法は屋台である。この国では、やりたい商売を登録するだけで誰でも商売が出来る。勿論登録料金は取られるし、与えられた番号の札を客に見える様に屋台に設置する義務がある。あこぎな商売をして苦情が出る店や屋台を国が管理しやすいからだ。当然、国が判断して余りに酷い商売や登録した内容と違う商売をしていた者は逮捕される。そしてわざとその店を潰そうとして嘘の苦情を国に報告した客の場合も客が逮捕され重い罰を受ける。与えられた商売の番号を別の番号に偽造した場合も重い罰が与えられる。最悪奴隷に落とされる。


落ち人がいて何でこの国に奴隷が存在して居るのか不思議に思ったが、金を借りてそのまま返さずに居なくなる人が多いらしい。あと働き手を亡くして生活出来なくなって自分から奴隷になる者もいる。


一応奴隷には表向き人権が認められているが、陰ではかなり酷い事も行われているらしい。こればかりはご主人様次第といったところか。やっぱりこの世界でも金か……。


話しは逸れたが、俺はやる商売は既に決めてある。一週間かけて俺とサスケで市場調査を既に終えているのだ。この国の王都を見て回ったが、調味料はトマトケチャップやみりんやドレッシング、固形コンソメやカレーの素を除いてほぼ全てあった。恐らくこの世界にも前の世界と同じ野菜や果物が存在しているが、まだそこまで人間の支配領域が到達していないのだろう。


やっているお店もそば、うどん、ラーメン屋などもあった。落ち人頑張り過ぎだろう。普通の店で出される食事は冷凍の技術が魔道師頼みの所為かやや高めで、味も塩と胡椒がメインだった。固形コンソメなどの調味料や鶏ガラスープの素なんて無いから、本格的に味を求める人が通う高級レストランでは元の世界の味が再現されているそうだが、値段がべらぼうに高い。スープ一杯三万円てぼり過ぎだろうと感じたが、どうやら適正な値段で、材料費がかなりかかるらしい。俺も勇気を出して食べに行ったが、元の世界だったら一杯五百円の味だった。それを周りの人は美味しそうに飲んでいた。どいつもこいつも高い服やドレスアップした服を着て食べていた。高い服にスープの飛沫が飛んでシミにならないか気にしている時点で、俺はやはり小市民か。


そして出来うる限りの市場調査で決めた屋台は……


「コロッケと雑貨屋台に決定した。」



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