↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/14

2

カイルからの報告を受けてから数日後。


だんっ!!


エレオノーラがテーブルを激しく叩きつける音に、執務室の空気が一瞬で凍り付いた。


目の前に立つ二人の魔導士が目を丸くする。


「珍しく荒れてんな、お姉さま」


「嫌なことでもあった?お姉さま」


リンとガイがおどけて声をかけると、エレオノーラの温度のない目が二人を射貫いた。


「「こわ!!!」」


震える二人に据わった目を向けたままエレオノーラの唇がゆっくり動く。


「リリアーヌが…」


ごくりと二人の喉がなる。


「……恋をしました」


この世の終わりのような顔で絞り出された声は低い。

リンとガイが顔を見合わせた。


「…へぇ?良いんじゃねえの?」


「リリアーヌ様もお年頃だもんね?」


ギン!


エレオノーラの鋭い眼光に、「ひっ…!」と、リンとガイが肩を震わせる。


「良いわけありますか!由々しき事態ですわ!」


「…いや、妹の恋愛に口挟むと嫌われるぞ」


リンの一言に、エレオノーラは再び机に突っ伏した。


「そんなことは分かっております!」


あまりに珍しい光景に、リンとガイの方が戸惑いを隠せない。


「え?嫌なヤツなの?」


「ヴァランシエール家の庭師ですわ」


くぐもった声が不本意そうに返ってきた。


「身分が釣り合わねぇとか、そういうヤツか?」


「…当家は自由恋愛推奨です」


「え!?そうなんだ」


新たな事実に驚愕しながら二人は首をかしげた。


「じゃあ、何が嫌なんだよ」


「誰が来たって嫌ですわ!」


「「理不尽!!」」


しかし、突っ伏したままの上司を放っておくわけにもいかない。

渋々二人がエレオノーラの肩に手を置く。


「そろそろ、妹離れなんじゃね?」


「元気出して。快く祝福してあげなよ?」


エレオノーラがゆっくりと微笑んだ。


「……減給」


出来るだけ優しくしたのに、無慈悲で理不尽なエレオノーラの一刀両断にリンとガイが叫ぶ。


「なんでだよ!」


「リリアーヌ様の恋は、俺たち無関係なのに!」


「お黙りなさい。私への慰謝料です!」


きつく二人を睨みつけたエレオノーラは、ふと何か引っかかりを覚えて首を傾げた。


何か忘れているような…。


急に動きを止めたエレオノーラを恐る恐るリンとガイが覗き込む。


顎に扇子を当てて、宙を見つめる。

少し間をおいて、エレオノーラは手の内で扇子を打った。


「そういえば、あなた達に近々『何か』大変なことが起きるらしいわよ。気を付けなさいね」


「何だよ、その雑な話!」


「『何か』ってなに!?」


エレオノーラは扇子を片手に、面倒くさそうに手を振った。


「私が知るわけないでしょう?聖女サクラからの伝言です。伝えましたからね?」


「急に出てきたな、聖女サクラ」


「聞いたことある気がするけど、誰だっけ…?」


すっかりリリアーヌの恋の話に心を奪われたエレオノーラに聞いても答えなど出るわけもない。


二人の間に、妙な沈黙が落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。