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ドォォォン!!!
海の上に光る無数の魔方陣。
そのすべてが海賊船に狙いを定め、撃ち放たれた。
「まるで花火のようだな…」
「風流ですわね」
港からそれを見守っていたクロヴィスは遠く離れたところで輝く光の、さらに遠くを見て呟いた。
遠い目をしたくもなるというものだ。
「なぜ、あんな凄惨な討伐現場を花見のように見ているんだ、俺たちは」
エレオノーラは悠然と扇子を口許に当て、用意されたソファーに腰を下ろしている。
「ふふふ。圧倒的な差というものを見せつけておくと後々有利なことが多いですわよ?」
海賊たちも驚いたことだろう。
侯爵令嬢の誘拐未遂のせいで、侯爵家の武力総出の制裁を受ける羽目になるとは。
「リンとガイだけではなかったんだな」
「ええ。ストレスが溜まっていそうでしたので」
海の彼方でまたひとつ水柱が立った。
――その日。
屈強な海賊団がひとつ姿を消した。
「だぁぁっ、すっきりした!」
「久しぶりに全力でぶっ放したねー」
腕を回しながらリンが帰ってくる。
隣でガイがすっきりした顔で、のんぴりと見物していた二人に手を振っている。
「あら、随分余裕だこと」
「……俺はお前達を絶対に敵に回さないと誓う」
「懸命ですわ」
軽い足取りで戻るリンとガイを迎え入れながら、改めてクロヴィスが固く心に決めた。
「よぅ、暇々殿下。特等席だったろう?」
「良い眺めだったでしょ?」
「今日ほど海賊を気の毒に思ったことはないほどだ」
カラカラと笑うリンとガイはいつもと変わらない。
少しばかりトラブルがあって、大幅に減給されて、それを嘆く日々が繰り返される。
「そうそう、あなた達に伝えることがあります」
エレオノーラの優雅な微笑みは、大抵ろくなお知らせではない。
「うへぇ。今度はなんだよ?」
「もう何も壊してないけど…?」
警戒しながら伺う。
エレオノーラは手にした扇子をパチリと閉じた。
条件反射で二人は肩を震わせた。
「リリアーヌが結婚いたします」
「結婚…?」
「愛し合う二人がっていう、アレ?」
言葉がすんなり飲み込めず微妙な顔で二人が首をかしげた。
「忘れてるかもしれませんが、精霊王が保護者のあの忌々しい庭師ですわ」
「あぁ!そんな話だったわ」
「え!エレオノーラ様、遂に妹離れ!?」
まさかエレオノーラが認めるとは思ってなかった二人は目を丸くして叫んだ。




