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これは責任婚のはずでしたが、初恋の騎士様の愛が重すぎます~部下の責任を取ると求婚してきた副団長が外堀を埋めて溺愛してきます  作者: 青海きのこ


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第63話 深夜の緊急招集

(あぁ……めちゃくちゃ、可愛かった)


レスターとの触れ合いに、愛らしい反応を示しながらサラは意識を失うように眠った。


(優しく慣らしていくはずだったのに、つい夢中になって執拗に触れてしまったかもしれないな……)


サラの安らかな寝顔を見ながら、レスターの心は満たされていた。


(俺の手や舌に反応するサラが可愛くて……加減できなかった。早く一つになりたいと誘惑してくる割に、閨事のどこまでを分かっているのか……)


レスターはすやすや眠るサラの身体を布で清め、サラの身体に自分の夜着の上を着せた。


(あの夜着は……本来の夜着の役割は果たしてないからな……。それにしても――)


親切心で着せた自分の夜着が、小柄なサラの身体には合わず細い肩や胸元が少し見えている。


(これはこれで……あの夜着とは違うが――)


レスターは自分の身体の熱が蘇るのを感じた。


(ああ……これじゃあ、まだしばらく寝付けないな……)


カーテンを少し開けると、夜が明けようとしている。


(……騎士団の馬?)


屋敷に向かう騎士が目に入った。


(あれはラリーか……。何かあったな)


レスターは私室に戻って服装を整えると、主寝室へと戻った。

レスターはサラの寝顔にちゅっと口づけた。


「早く一つになりたいのは俺の方だってこと……分かっているのかな」


(今度の休みまで、お預けか……)


扉の前に家令のニックが立ち止まった瞬間、レスターは扉を開けた。


「招集命令だな?」


レスターがそういうと、ニックはこくんと頷いた。


「サラは寝ているから、起こさないように」

「承知しました」

「俺はすぐに戻る。サラのことは、宜しく頼む」

「お任せください」


レスターはそういうと、後ろ髪を引かれる思いで王宮へと向かった。


◇◇◇


「レスター、夜半にすまなかった」


団長が眉を下げてレスターを見た。


「いえ。魔獣が市街付近に出ましたか?」

「察しがいいな」

「先日の魔獣たちの動きから、そういうこともありそうだと考えていました……。あのとき殲滅させておけばよかったのですが、申し訳ありませんでした」

「いや――。負傷者も多かったんだ。お前の判断は間違いない」

「ただ、ちょっとな……。被害が王都へ広がると大変だ。この前の遠征で負傷者も多くて、レスターには申し訳ないが」

「いえ。ちょうど魔獣討伐に行きたいと思っていましたから。気にしないでください」


レスターは、団長にニッと笑みを浮かべた。


「は?」

「妻が魔獣をほしがっているので」

「どういう、ことだ?」


団長はきょとんとレスターを見た。


◇◇◇


朝目が覚めたら、隣にレスターはいなかった。

その代わりに、サラはレスターの夜着を身にまとっていた。

レスターが眠っていたはずの場所に温もりは残っておらず、大分前にレスターがベッドを出たということが分かった。


「レスター……」


サラはぶかぶかのレスターの夜着の、レスターの残り香に胸が苦しくなった。


(昨夜は……――気が付いたら意識を失ってしまっていた。全身に優しく口づけを落とされた晩とは違って、昨夜のレスターはちょっと意地悪だった)


サラが思っていた「お互いに触れる」と、昨夜の行為は大分違っていた。


(恥ずかしいし、気持ちよいし、身体が自分のものではないようで、おかしくなりそうだった……)


自分が脱ぎ捨てた、夜着がベッドサイドに丁寧に畳まれて置かれていた。


(レスターが……畳んでくれたのよね)


夜着を見ると、嫌でも昨夜の行為を思い出してしまい、身体が火照る。


『起き上がれなくなりそうかは……今日、触られながら考えてごらん?』


そう言ったレスターの視線が、サラを溶かした。


(これ以上のことを……されたら、レスターが言うように確かに起き上がれなくなっちゃうかもしれない。でも――……早く、触れてほしい。レスターと、もっと深くつながったら……どうなっちゃうんだろう……)


サラは不安と期待で、胸は押しつぶされそうだった。


(次の……お休みのときって言っていたから――そのときに……)


サラはレスターとの甘い夜を想像して、思わず頬が緩んだ。

サラは鍛錬をしているのかもしれないと、庭を見たがレスターの姿はなかった。


(レスター、どこへ行ったのだろう。今日は早朝勤務だったのかしら。でも、そういうときは事前に教えてくれるし……)


――コン、コン、コン。


規則正しいノックの後、ナタリーが「朝の御仕度をしましょう」と現れた。

サラはレスターの夜着を着たままだったことと、自分のはしたない夜着がベッドサイドに置かれていたことを思い出し、顔を赤らめた。

サラは気にしていたが、ナタリーは何事もないようにいつも通り朝の支度を手伝ってくれた。


(さすが……ヴィヴィアン侯爵家で長年仕えていた人だわ)


サラは羞恥に顔を赤らめながらも、素知らぬ顔でナタリーに髪をと整えて貰っていた。


「ナタリー、レスターはもう王宮へ行ったのかしら?」

「旦那さまですか? 実は、夜半に騎士団から伝令が来まして――」

「え!? そうだったの?」

「奥さまのことは起こさないようにということだったので……」


(夜中に伝令が来るってことは、至急のことがあったということよね……)


「それで?」

「実は、市街地付近で魔獣の出没が確認されたらしく、その対応に……」

「え! また、魔獣討伐に……?」

「はい……」


ナタリーも残念そうな顔をした。


(この前、遠征から帰ったばかりなのに……また、なんて――)


「すぐお戻りになるという言伝が参りましたが……」

「そう……」


(この前もそう言っていたけれど――。負傷者も多かったし――)


サラは胸がざわつくのが抑えられなかった。


「奥さま、旦那さまは大丈夫ですよ」

「うん……レスターが、強いのは分かっているんだけど……」


ナタリーはサラの髪を優しく梳きながら「ええ。それはもちろんそうですが……」と言った。


「旦那さまは、子どもの頃から責任感がお強い方です。奥さまも心配させるようなことは、絶対になさらないと思いますよ」


ナタリーはサラを安心させるように、温かい笑みを浮かべた。

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