第62話 サラの夜着
レスターのリクエスト通り、サラはあの日の夜着を着用した。
足下まで覆っているにも関わらず、肌を隠す気が全くない夜着は全身透けて見える。
薄暗がりの部屋の中でも、透けたサラの肌が見える。
(あの日、サラはこんな格好をしていたのか……)
レスターはサラの夜着姿を、上から下まで舐めるように見ていた。
不思議なことに、素肌を見るよりも夜着を纏った方が余計に妖艶さを増していた。
「レスター……なんで、黙ってるの?」
サラは夜着の前を隠しながら、羞恥に身を縮めていた。
(しまった。つい、夢中になって……)
「ごめん、サラ。あまりに魅力的で……」
レスターはスリットから見える白い足に手を伸ばした。
「足も……見えてる」
「う……うん」
サラの滑らかな足に、レスターのごつごつした手が滑る。
「この夜着……サラが、俺のために用意してくれたんだよな?」
レスターはサラを自分の膝に乗せながら、熱っぽく見つめた。
サラはレスターの熱に溶かされながら、こくんと頷いた。
「レスターに、大人っぽく見てもらいたくて……。子ども扱い、されていると思っていたから……。マチルダと一緒に王都のお店に行ったの」
「へぇ……こういうの、いっぱいあったの?」
レスターはサラの耳元で囁いた。どことなく声が上擦っているような気もした。
「う……うん」
「じゃあ、今度は一緒に選びに行こうか?」
レスターは熱い視線を向けながら、サラににこっと微笑んだ。
「え? レ……レスター、こういうの……好き?」
初夜のときは完全にスルーされたと思っていた夜着に、レスターが興味を隠さないのが嬉しかった。
レスターは夜着を上から撫でると、「好きだよ」と言った。
「というか――、サラが俺のためにこういうのを着ようとしてくれたことが、溜まらない」
「そ……そうなの?」
レスターの声が興奮でか、少し擦れてサラの耳に響いた。
サラはレスターの意外な本音に触れて目を瞠った。
「好きな子の恥ずかしい恰好は見たいのは、当たり前だ」
「好きな子」という言葉に、サラは胸をきゅんとときめかせた。
レスターは夜着の上からサラの豊かで柔らかい胸の感触を確かめるように撫でると「胸も――。サラは平らな胸が好きだと誤解したようだけど……俺はサラの胸なら、平らだろうがなんだろうか好きだ」と、サラの耳元で甘く囁いた。
「レスター」
サラは完全にレスターの甘さに溶かされて、レスターの首に両手を回した。
「好き。大好き」
「俺も……。愛しているよ」
レスターもサラをぎゅっと抱きしめた。
「サラ……折角勇気を出して、こんな妖艶な夜着を着てくれたのに……心配させて、すまなかった」
「もう、いいの。私もちゃんと聞かなかったし」
うっとり答えるサラに、レスターは少し気まずい視線を向けた。
「……エルトンにも……相談、していたのか?」
「――え?」
「なんか、言っていただろう。今日。サラにぬいぐるみをあげた件とか、その……色々」
「あっ! あれは……違うの。その――……エルトン様に相談したんじゃなくて……」
サラは偶然薬品庫でエルトンと出会ってしまった経緯を説明した。
「そういう、ことか……」
「不用心で……ごめんなさい」
「いや、そういうことじゃないんだ。……ただ、エルトンがサラにそんなに信用されているのかと思うと……すまない」
「なんで謝るの?」
レスターは躊躇いながらサラの耳元に「……嫉妬した」と囁いた。
「え?」
レスターはサラから目を反らした。
「君の前では余裕のある男でいたいのに――……カッコ悪いところばかり見せているな」
「そんなこと……。私は、レスターがそんな風に焼きもちを焼いてくれるのも……信じられなくて、嬉しい。私ばっかり……気にしているのかと思っていたから」
「そんなわけないに決まっているだろう。できれば、君の瞳に映るのは俺だけにしたいくらいだ」
(本音を言えば、仕事だって続けなくていいと思っている。この屋敷に閉じ込めて、俺の帰りを待っていてくれればどれだけいいか。――でも……今夜の様子を見ても、サラにとって仕事は大切なものだ……。それを奪うことは俺には――。俺のこのどろどろした思いを知っても、サラはこんな風に接してくれるのだろうか……)
サラはレスターの胸元に顔を埋めて、安心したように「レスター」と呟いた。
(あぁ――……離したくない)
レスターは力強くサラを抱きしめた。
「レスター」
サラは甘えたような声を上げて、とろんとしたような目をレスターに向けた。
その視線に、レスターは身体の奥が熱くなるのが分かった。
少し照れたようにサラはレスターを見た。
「あのね……」
「うん」
「この夜着、リボン外すと簡単に脱げるようになっているの……」
サラはそう言って自分の胸元のリボンをレスターに見せた。
「あ……あぁ」
「今日は……口づけ以上のこと……する?」
レスターはサラのその問いに、理性が焼き切れるような衝撃を覚えた。
(口づけ以上のことって……サラは、まさか、もう俺と……そういうこと、なのか? いや、でも……)
レスターは焼き切れそうな理性をなんとか繋ぎ止めた。
「サラ、その……今日はお互いに身体を触り合おうか?」
「触る?」
「ああ。触れると気持ちがいいだろう?」
サラはレスターの問いにこくんと頷いた。
(ああっ、なんでそんなに素直なんだ……)
「気持ちいいけど――……。触る……だけ?」
サラは少し切なさそうに、レスターを見た。
「触るだけって言うか……その――。サラ、誘惑しないでくれ。俺だって、理性を保つのが大変なんだ」
「だって……」
「今日は、最後まではしない」
「なんで……」
(早く一つになりたいし……。レスターのものにしてほしいのに……)
「サラと俺は……身体の大きさだって全然違う」
レスターのごつごつした大きな手は、サラの小さな手を包んだ。
「サラの身体の負担を減らしたいんだ」
「身体の……負担?」
どこまで理解しているか分からないサラに、レスターはため息をついた。
「サラの身体を十分に慣らして、準備を整えたいんだ」
「慣らすって……?」
「――それは、今日、教えるから……。それに明日はお互い仕事だろう?」
サラはこくんと頷いた。
「今夜君と一つになったら、離せる自信がない」
「え……」
「翌日が休みだったら、君が起き上がれくなっても……」
「起き上がれなくなるものなの?」
きょとんとレスターを見るサラの夜着のリボンに、レスターは手をかけた。
「……とりあえず、このリボンを解いていいのかな?」
「え?」
レスターはサラの夜着のリボンをすっと解いた。
すると、夜着ははらりと開け、サラの真っ白な肌を露わにした。
レスターは直接サラの肌にすっと触れると、胸の頂をいじめるように摘まんだ。
「あっ……」
「起き上がれなくなりそうかは……今日、触られながら考えてごらん?」
そういうとレスターはサラの身体に覆いかぶさった。
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