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これは責任婚のはずでしたが、初恋の騎士様の愛が重すぎます~部下の責任を取ると求婚してきた副団長が外堀を埋めて溺愛してきます  作者: 青海きのこ


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第56話 レスターの愛(前編)

バンッ――。

ノックもなく、サラの私室の扉が開いたかと思うと、慌てた様子のレスターが現れた。


「サ……サラ……」


サラは締め付けの少ない、楽な服に着替えてベッドに腰掛けて本を読んでいた。


「レスター……あの、さっきはごめんなさい。心配させてしまって。実は――」


レスターはサラの胸元をチラッと見て、胸の膨らみを確認した。


(良かった。さらしは外したみたいだな)


「ナタリーから聞いた」


サラはバツの悪い顔をした。

その様子から、レスターはナタリーに口止めしていたのかもしれないと考えていた。


「すまなかった」


レスターはサラに頭を下げた。

サラは慌てて立ち上がり、「どうしてレスターが?」と戸惑った。


「俺は……君を、悩ませていたんじゃないか?」

「え?」

「その……君には…….話していないことがあって……」


(もう変態だと思われても仕方ない……)


レスターは観念して告白をしようと決意した。

が、サラは「いいの。無理しないで」と、レスターに告げた。


「いや……しかし」

「レスター、私……分かっているの」


サラは深刻な告白をするようにレスターを見つめた。


(分かっている? 分かっているって……俺が前からサラを好きだって話をか? バレバレだったということか?)


「分かっているって……一体いつから……」


瞠目したレスターに、サラは戸惑いながら口を開いた。


「その……そうかなって思ったのは……結婚してからで……」


(やっぱり部屋をこだわり過ぎたか? 喜んでくれていたが、好みを把握し過ぎててきもかったとか……そういう?)


レスターはマイナス思考に引っ張られていた。


「よく考えると……レスターってお兄さまととても仲が良かったし、お兄さまもレスターが私を押し倒しているって思ったとき、すごく怒っていたのも……そういうことだったのかなって」

「……ローレンス?」


(なんだか、サラの話がよく分からなくなってきた)


「この前、私の胸にレスターの手が当たったときに、険しい顔を見てされていたから、やっぱりそうなのかもって……」

「……そうって?」


(険しい顔……? そんな顔……してたか?

っていうか、してたとして、やっぱりってなんだ?)


「レスターは、私に気を遣って言い出せなかったのかもしれないけど……私、大丈夫だから。レスターとは良い関係でいたいし、レスターに私が必要なら役に立ちたいし」


(一体……何の話だ?)


サラの言っていることが、全く分からなかった。


「サラ……。ちょっと待って。一体、何の話を知っているって言っているんだ?」


レスターがサラを見つめると、サラは言いにくそうに視線を彷徨わせた。レスターの様子を気遣うように見たあと、小さな声で言った。


「レスターは……男性が……お好きなのでしょう?」

「は?」


レスターは、サラの告白に目を見開いた。

サラはレスターの反応にきょとんとしている。


「なんで……そんな勘違いを……」

「か……勘違い?」

「勘違いだ。――前も言ったと思うが……俺は男色じゃない」

「え? でも――」


レスターの頭にある人物が浮かんだ。


「まさか……エルトンがまた……」


その名前にサラがピクッと反応した。


(やっぱり――。本当にあの人は昔からろくなことを言わない……)


「出鱈目だ。あの人は昔から、俺の男色説を唱えていて、事あるごとに自分の説を周りに信じ込ませることに楽しみを見出しているだけだ」

「うそ……。そんな」

「だから、無防備過ぎるんだ。あの人は悪い人ではないが、良い人でもない。何をするかも分からない男だ」

「じゃ……じゃあ、なんで……」


サラは潤んだ瞳でレスターを見た。


「なんでって……?」


サラは顔を赤くして俯いて黙った。


「……なんでも……ありません」

「サラ。何か変なことを考えていないか?」

「変なことは……考えてません」

「じゃあ、何を考えてる?」

「何って……」

「そんな顔して黙らないでくれ」


レスターはサラの頬に触れた。


(柔らかい。なんか、久しぶりにサラに触れた気がする。胸に触ってしまってから、サラに触れることにより慎重になっていたから)


「だって……」

「どうしたんだ?」

「初夜のとき……」

「……え?」

「レスターは……私に……何もしなかったじゃない」


サラは顔を上げてレスターを見た。

涙がこぼれないようにしているのか、きゅっと唇を真一文字にしている。


「私……レスターに、大人に見られたくて……あんな格好までしたのに……。私……そんなに……魅力ない?」


サラは潤んだ瞳でレスターを見た。

レスターはそんなサラを慌てて抱きしめた。


(あんな格好って……もしかして、あれはサラが……自ら着たものだったのか?)


「サラ、本当にごめん。君にそんな思いをさせているなんて、全然気が付かなかった」


(サラに魅力がないなんて……そんなわけがなさ過ぎて、考えが及ばなかった)


「その……ただ、我慢していたっていうか……。格好をつけていただけなんだ」


レスターは自分の見栄のためにきちんと説明しなかったことを心底後悔していた。


「格好を……つけた?」


レスターは、サラの問いに大きく頷いた。


「ずっと……ずっと――君が好きだった。君のことしか、好きになれなかった」


レスターは掠れた声で、サラに初めて本当の思いを告白した。サラを抱き締める手に力がこもる。


(この話を聞いて、サラを失ったら……。何度もそう思って言えなかった)


「ずっと……?」

「ああ。君が思うより、ずっと前から、俺は君に恋していた」

お読みいただきありがとうございます!

引き続きお読みいただける方は、ぜひブクマをお願いします。また、下の☆を★に変えていただいたり、リアクションやご感想をいただけると本当に励みになります!!宜しくお願い致します!

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