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第四話 『みんな違う』



「人って、

みんな反応違うんだよねえ……」


昼休み。


私は机へ頬杖をつきながら、

しみじみ呟いた。


「また始まった」


悠真くんが、

パンを食べながらため息をつく。


でも。


これはかなり大事な発見なのだ。



例えば。


ひまりちゃん。


「ねえ見て見て!」


「今日プリン二個持ってきた!」


「なんで二個?」


「一個はテンション上がった時用!」


意味がわからない。


でも。


ひまりちゃんは、

とにかく明るい。


思ったことが、

全部そのまま口から出る。


「ひまりちゃんって、

嘘つけないよね」


「えっ」


ひまりちゃんが固まる。


「つ、つけるし!」


「今、

動揺した」


「してない!」


「声高くなった」


「うっ」


わかりやすすぎる。


私は思わず笑ってしまう。


「だってひまりちゃん、

隠し事ある時すぐ顔に出るもん」


「ええー!?」


「昨日も、

給食のゼリー二個食べたでしょ」


「なんでわかるの!?」


「今認めた」


「あっ」


ひまりちゃん、

頭を抱える。


悠真くんが、

横で笑っていた。


「ほんとわかりやすいな……」


「うぅー!」


でも。


そういうところが、

ひまりちゃんっぽい。



そして。


さくらちゃん。


この子は、

また全然違う。


「……愛衣って、

絶対人の反応見るの好きだよね」


図書室。


本を読んでいたさくらちゃんが、

ページをめくりながら呟く。


「好き!」


「即答……」


さくらちゃんは、

少し呆れた顔をする。


でも。


その反応も面白い。


さくらちゃんは、

分析するタイプだ。


「なんでそうなるの?」

を、

ちゃんと考える。


だから最初は、

心理実験にもかなり警戒していた。


でも。


意外と。


流されやすい。


「さくらちゃんって、

意外と“まあいいか”で動くよね」


「そんなことない」


「あるよ」


「ない」


私は、

にやっと笑った。


「じゃあ実験」


「急だなあ……」


さくらちゃんは、

少し警戒した顔をする。


でも。


逃げない。


そこが面白い。


「今から、

絶対右向かないでね」


「……?」


さくらちゃんが、

ぴたりと止まる。


私は続ける。


「絶対だよ?」


「だから何――」


その瞬間。


さくらちゃん、

右を見る。


「あ」


私は、

思わず机を叩いた。


「見た!」


「っ……!」


さくらちゃんが、

悔しそうな顔をする。


「いや今のはズルいでしょ!」


「“右”って言われると、

気になるんだよ!」


「うぅ……」


さくらちゃんは、

顔を赤くしながら抗議する。


でも。


私は知っている。


この子、

分析してるくせに。


意外と、

その場の流れに乗せられやすい。



「つまりだね!」


私は教室の机へ身を乗り出した。


「ひまりちゃんは、

感情がそのまま出るタイプ!」


「さくらちゃんは、

考えるけど流されるタイプ!」


「で、

悠真くんは?」


ひまりちゃんが聞く。


私は、

悠真くんを見る。


悠真くんは、

嫌そうな顔をした。


「その顔も含めて、

警戒しながら引っかかるタイプ!」


「なんだそれ!」


教室に笑いが広がる。


でも。


本当に、

みんな違う。


同じ言葉でも。


同じ状況でも。


反応が全然違う。


それが。


たまらなく、

面白かった。



「……愛衣ってさ」


帰り道。


悠真くんが、

少し不思議そうに聞いてきた。


「なんでそんな、

人の反応見るの好きなの?」


私は少し考える。


難しい理由は、

よくわからない。


でも。


たぶん。


「人の心って、

面白いから!」


それが、

一番近かった。


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