第二話 『また一緒のクラス!』
「四年二組、っと……」
新しいクラス表を見ながら、
私は小さく呟いた。
春。
始業式。
校庭の桜は、
まだ少しだけ残っている。
周りでは、
「同じクラスだー!」
「最悪ー!」
なんて声が飛び交っていた。
私はそんな中、
じーっとクラス表を見つめる。
そして。
「あ」
見つけた。
その瞬間。
口元が、
にやっと緩む。
◇
教室へ入る。
新しい席。
新しい担任。
少しだけ騒がしい空気。
でも。
私の視線は、
ずっと一人を探していた。
そして。
窓側の後ろ。
見慣れた顔を見つける。
「悠真くーん」
「うわっ」
急に声をかけられた悠真くんが、
びくっと肩を跳ねさせた。
私は、
その反応を見て満足する。
「やっぱりいた」
「そりゃいるだろ、同じクラスなんだから」
「また一緒だねー」
「……その顔やめろ」
「どの顔?」
「絶対なんか考えてる顔」
失礼だなあ。
でも。
半分くらい当たってる。
私は机へ頬杖をつきながら、
にやっと笑った。
「また一緒に実験しようね!」
「やっぱりかー!」
教室の何人かが、
何事かとこちらを見る。
悠真くんは、
頭を抱えていた。
◇
私――愛衣は、
人の反応を見るのが好きだ。
別に、
いじめたいわけじゃない。
困らせたいわけでもない。
ただ。
「なんでそうなるの?」
が、
気になって仕方ないのだ。
例えば。
急に名前を呼ばれると、
人はびっくりする。
でも。
仲良い人だと、
怒るより先に返事する。
逆に、
先生に呼ばれると、
ちょっと警戒する。
そういう、
小さい反応。
それを見るのが、
すごく面白い。
そして。
悠真くんは、
特に反応がわかりやすい。
「今日は何する気だ……」
「まだ何もしてないよ?」
「その“まだ”が怖い」
「ふふ」
やっぱり面白い。
◇
ホームルーム中。
担任の先生が自己紹介をしている。
その間。
私は、
前の席の子を観察していた。
新しいクラスだと、
みんな少し緊張している。
姿勢が固い。
声が小さい。
でも。
仲良しの子と話す時だけ、
急に笑顔になる。
“安心してる相手”
だと、
人ってすぐ変わる。
その変化が、
なんだか好きだった。
「愛衣ー」
小声で呼ばれる。
横を見ると、
悠真くんがこっちを見ていた。
「今また、
人のこと観察してただろ」
「してないよー?」
「目が完全にしてた」
鋭い。
私は少しだけ笑う。
「ねえ悠真くん」
「ん?」
「人って、
面白いと思わない?」
「急だな……」
悠真くんは、
少し考える。
その間にも、
表情がころころ変わる。
私はそれを見ながら、
わくわくしていた。
すると。
悠真くんは、
困ったように笑った。
「……愛衣見てると、
そうかもって思う」
その答えに。
私は、
少しだけ嬉しくなった。
「でしょ!」
やっぱり。
今年も、
楽しい一年になりそうだった。




