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70 実感

「うーん、僕のステータスもだいぶ成長したんだけどね。カンスト多いし………」


 けれど、ゴリラのインパクトの前にはアルマ程度のステータスなんか霞んでしまう。それがすこし悲しくもあった。



「……あとは、もう一つ新しい機能が増えたね」


 そう。【支配】がレベル5になったことで増えた機能は配下のステータス確認だけではない。

 なんならこっちの方が重要、とても有用まである。



 そう、それは、


―――――経験値の共有化―――――


 これまでもアルマと三号は経験値を共有してきていた。しかし、それはアルマと三号が同一個体だから、である。


 この【支配】スキルの経験値の共有化とは、自身の配下と自分を繋げるパイプ。


 アルマが手に入れた経験値はゴリラにも入るし、逆にゴリラが獲得した経験値もアルマに入っていく。


 実質的な経験値二倍。三号も含めたら三倍である。

 それがどれだけすさまじいことか、経験値のありがたみが分かる者にはわかるだろう。


 経験値分配に気を使わなくていい、これはゴリラが配下に加わり、半分パーティー活動を始めたようなものであるアルマにとって、とてもうれしい機能だった。


 どちらを先に育てるか気にしなくていい。ラストアタックを譲り合って隙を作る必要もない。



「一つ、負担が減ったかなぁ。」


 アルマは上機嫌そうにそう言う。



 あっ、と思い出したようにアルマは視線を下に向ける。


 その視線の先には横たわった三号。早く回収しなくては。

 ここにいてはいつあのタコがまた来るか分かったものじゃない。


 アルマはゴリラに三号を背負わせて素早く、森林に入る前にダンジョンから出てきた草原の方向へ逃げていった。



 夜が更ける。


 ダンジョンの外に出てから初めての夜。


 アルマ達は草原に寝そべって、星空を眺めていた。

 月をはじめとする星々が明るすぎて、周りに人工的な光源はないのにまったく暗くない。むしろ、少し薄暗くて落ち着けるちょうどいい塩梅である。


 三つの月を眺めながらアルマはふと思う。


「そう言えば、いつからだったかなぁ。時間の感覚がなくなったのは。」


 アルマは今日、気づいたら日が沈んでいた。


 今日、ダンジョンを出て、森に入ってと、特別濃い一日だったと言われればそうなのだろう。

 しかし、アルマはそれでもまだ今日一日の時の流れを異様に感じていた。


 ダンジョンの中だと眠くなったら寝て、おきたいタイミングで起きて、という生活をしていたので、ちゃんとした一日周期ではなかったのだろう。


 もちろん、そもそも蚊の一日の長さが人間とは微妙に違う可能性もあるけれど。


 もう自分は人間であったころとは変わってしまった。そう改めて実感させられる。

 未練があるとか、そういったわけではないが、ただ、何か言葉では言い表せないものがアルマの中にこみあげてきていた。


 虚しさ?懐かしさ?この気持ちはなんだろうか。



 そんな分かっても分からなくてもどうでもいいようなことを考えながら、アルマの意識はどんどんと沈んでいった。

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、起床………!!


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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