07 進化ー決着
名前:アルマ 種族:イノセント・モスキート
Lv.10
スキル:
吸血 Lv.5 気配遮断 Lv.7 麻酔 Lv.3 モスキート―ン Lv.8
進化:可能
進化先候補:
【マリス・モスキート】 【イノセント・バズ】
「【マリス・モスキート】と【イノセント・バス】…」
【マリス・モスキート】
7センチほどの大きな蚊。微弱な毒を持ち、血を吸った相手を弱らせる。
【イノセント・バス】
1センチほどの小さい蚊。隠密性能が高く、相手の神経に作用する羽音を放つ。
「7センチか、デカくてあんまし気分良くないし、せっかくここまでレベルが上がった【気配遮断】の意味が薄れそうだから嫌だな。その点【イノセント・バス】はこれまでの俺の戦闘スタイルと大きく変わってもいないし、遠距離から相手に干渉できる手段が持てるのは魅力だな」
よし、【イノセント・バス】に進化しよう。
『【イノセント・バス】への進化を開始します。よろしいですか?』
「勿論だ。」
そう答えると、体は白く発光を始めた。体が内側からじわじわと作り変えられていく。そんなむず痒いような感覚が全身を襲う。そんな状態で数十秒がたった時、体が発光をやめた。どうやら進化が終わったみたいだった。
進化中は体を全くと言っていいほど動かせなかったから、よほどのことがない限り大きな隙になるな。
『進化により新しく取得するスキルを選択してください』
「ん?スキルの選択?進化って新しいスキルも取得できるのか、しかも選択式だし、これ、もっと進化を重ねていったら個体のスキル選択によってはオンリーワンの魔物になれるんじゃないか?」
そんなことを思いつつ、選択可能スキルを見る。
選択可能スキル:
【不快の羽音】【錯乱の羽音】【魅了の羽音】
【不快の羽音】
自身の【モスキート―ン】を耳にした相手を不快にさせ、精神を乱し、他の精神系スキルにかかりやすくする。
※【モスキート―ン】派生スキル
【錯乱の羽音】
自身の【モスキート―ン】を耳にした相手を錯乱させ、敵味方の区別をできなくさせる。
※【モスキート―ン】派生スキル
【魅了の羽音】
自身の【モスキート―ン】を耳にした相手を魅了し、攻撃をさせづらくする。
※【モスキート―ン】派生スキル
「不快は、そうだな、他のスキルがなきゃ意味がないのが惜しいな。今じゃなきゃ重宝したんだろうけど、あいにく今は即戦力になるスキルが欲しい。
錯乱は単純に強力だな。魅了と似た性質の部分もあるけど、俺の攻撃が全く通らない相手が二人以上いたときに対抗手段となるのが魅力的だ。
だけど、魅了はそれ以外の場面においては上位互換かもしれないな。錯乱は同士討ちを狙う。つまりどちらかがとどめを刺してしまった場合、俺に経験値が入ってこない。集団戦だと比べ物にならないくらい強いんだろうけど、今回は例外中の例外だっただけだし、
即戦力になってくれるのは魅了かな。」
『スキル【魅了の羽音】を取得します。よろしいですか?』
「オーケーだ。」
『スキル【魅了の羽音】を獲得しました。』
まずは進化でどうなったのかの確認だな。
「ステータスオープン」
名前:アルマ 種族:イノセント・バス
Lv.1
スキル:
吸血 Lv.5 気配遮断 Lv.8 麻酔 Lv.3 モスキートーン Lv.10 魅了の羽音Lv.1
【魅了の羽音】
自身の【モスキートーン】を耳にした相手を魅了し、攻撃をさせづらくする。
※【モスキートーン】派生スキル
「レベルは1に戻って、スキルレベルも上がってる。新しいスキルも手に入った。」
これで魔法ネズミを倒せなきゃ今度こそ終わりだ。
とりあえず、【魅了の羽音】は発動させておく。スキル範囲は【モスキートーン】と同じみたいだから今の状態でも問題なく魔法ネズミにも効果はあるはずだ。
「なんにせよ、まずはここから脱出しないと始まらないな。」
俺にとっては巨大なネズミを掻き分けながら進む。せっかくなので口が届く範囲の生きているネズミにはとどめを刺しながら長い時間をかけて外を目指す。
数十匹を倒した後、やっとの思いでネズミの間から外へと顔を出すと、まだ魔法ネズミ達は最初と同じ場所にたたずんでいた。けど、足元の様子がおかしい。微妙に震えがあったり、ふらついていたりしている。
【魅了の羽音】の効力を見てみるためにもまずは近づいてみようと思って、空中へ飛び立つ。そこで俺はある違和感を覚えた。
驚くほど飛びやすいのである。今までは気づかなかったが自分の体を見ると食いちぎられたはずの2本の足は元通りに生えていて、バランスがとりやすい。レベルアップと進化のおかげか、バランスが戻ったことを加味しなくても十分飛行性能は上がっていそうだった。
そんなことを思いながら魔法ネズミに近づいていく。が、驚くほど何もない。さっきなら風の魔法がバンバン飛んできていたはずの距離はもうとっくに過ぎている。
そしてついに、飛び掛かったらすぐにでも丸呑みにできる距離まで近づいた。魔法ネズミ達は牙を見せながらグルグルと弱そうな威嚇をするだけで、攻撃を仕掛けてくるようすは見られない。
「魅了の効果か………、ちょっと強すぎるな。」
殺したいと思っていた相手が目の前にいても、何もできないほどの魅了効果。俺が期待していた以上に【魅了の羽音】は有用なスキルだったらしい。
そうして一匹目の魔法ネズミの首元に口を刺して血を吸う。さすがに痛みからか、多少暴れ始めたが、それも体を左右に大きく揺らすだけで、一番最初に出会った時のようなダイナミックな動きは一切ない。そしてそのまま、血を吸いきることができた。
他4匹も同じ様子で大した抵抗も無しに大人しく血を吸われ続けてくれた。
「こんな死闘だったのに、なんともまあ、あっけない最期だったな」
特に魔法ネズミの最期は、俺が勝手に因縁の気持ちを抱いていただけあってスッキリしない。心にモヤモヤが残る決着となった。
「さ、残りのネズミにとどめを刺していくかな。」
残り数百はいるネズミの山を見上げながらそんなことを思う。
今の俺はどれだけ経験値が入るのかという興味と、どれだけの時間がかかるんだろうという途方もない気持ちとの板挟みにあっていた。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、進化したアルマの次に目指すこととは…!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。
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