64 大穴
まだゴリラ並、またはそれ以上に強いナニカがこの森にはまだ存在している、その事実はアルマの好奇心を強く刺激した。
「せっかくゴリラも仲間になってくれたことだし、もうちょっと奥まで行こうかな」
そう決めて、アルマは三号とゴリラを引き連れて森林の中心部に向かう。
相変わらずほとんど本物の木はなく、幻の木が9割を占めている森。その中をスムーズにアルマ達は進んでいく。
流石にこれだけの時間森に居たら【ミスティック・ハミング】による探知の結果と、視界の情報のちぐはぐさにも、慣れてきているようである。
最初の方は酔いそうになりながらだったにも関わらず、今は何も感じることなくその森を進んでいる。
「慣れって怖いな。こうやって慣れていくと足を掬われるのかなぁ」
そう思ったアルマは改めて気を引き締めなおす。
視界の情報とスキルからの情報、二つを丁寧に処理しながら情報のすり合わせを行う。
そうして進むうちに、アルマはある違和感に気づいた。
「この先の地面、ない?」
アルマが感じ取ったのは【ミスティック・ハミング】の探知範囲ぎりぎりにあった崖のようなもの。
アルマ達がその崖に近づいていくとその全貌が分かり始める。
超巨大な崖。
これもまた、視覚情報には映っていない。
崖、というより巨大な穴、と言った方がいいだろうか。
地面に巨大な円形の穴がぽっかりと空いている。その穴の深さはアルマの【ミスティック・ハミング】の探知範囲外にまで及んでいる。
底がどこにあるかはアルマにも分からない。
視覚情報が使えないので、目視で穴の深さを測ることもできない。
ただ、この中にナニカがある、ということだけはアルマは正確に理解していた。
何かがあった跡、とでも言う方が正しいのかもしれない。
アルマはその本能で、この穴から、ナニカ危険な香りを感じ取っていた。
「………入りたいなぁ」
しかし、それは自殺行為である。
なんといってもゴリラが入れない、というのが大きい。
いくらゴリラでもこれだけの高さから落ちたら死んでしまうだろう。
アルマがここまで進んできた理由、ゴリラという安全マージンがなくなる。
これはアルマが進める理由がなくなる、ということである。アルマと三号の二匹だけでは到底この森を自由に探索するなんて不可能。危険すぎるのである。
「いや、でも、いけるか………?」
思い出してみよう。このゴリラ、ただのゴリラじゃない。
一発芸があったはずだ。
それは、空中を蹴れる、ということ。
どれだけアルマと三号がその不規則な動きに翻弄されたことか。
このゴリラの力を使えば、うまく落下しせずにゴリラを下まで連れていくことができるかもしれない。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、挑戦………!?
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
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