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62 脳筋

 ブォンッッと大きく音を立てながら三号を殴り殺さんとするゴリラ。


 しかし、腕を振りかぶった先にはもう三号はいない。


 三号は羽を動かすのをやめ、自由落下をすることでゴリラの軌道から逸れることに成功していた。

 さすがは一メートル弱ある体なだけあって、すごい勢いで加速していく。


 それを見たゴリラはさっきと同じように素早く体の方向を空中で変えて、今度は下向きに空気を蹴って加速する。


 蹴ってスタートした上、体重もゴリラの方が圧倒的に重いので、三号の加速を優に越えた加速度でぐんぐんと距離を詰めていく。


 三号も自由落下に加えて羽を必死に動かしてなんとか距離の縮まりを緩める。


 先に地面まで着くのが先か、ゴリラが三号を殴るのが先か、


 地面ともうすぐぶつかるな、といった時、三号は急な方向転換をして横方向に進み始める。そのとき、空中で一回転をすることで下向きの力を横に持っていきやすくするという高等テクニック。


 しかし、それでもゴリラの拳を避けきれない。


 三号の腹の横ぐらいにゴリラの拳が掠れる。


 それだけのほんの些細な掠れでも三号の腹は、ブシャッッという音を上げて血を吹き出す。


 しかし、そんなことを気に留めている暇は三号にはなかった。

 一瞬動きを止めるが、すぐに飛び出して、幻の中に紛れ込んでいる本物の木と木の間を通り抜けて、少しでもゴリラが接近する時間を稼ごうとする。


 対するゴリラは猪突猛進。三号との間にある木なんてものともせずタックルで木を破壊しながら直進してくる。


 しかし、三号の狙い通り木への衝突でゴリラの速度は減速し、三号との距離は一向に縮まる様子を見せない。


 しばらくそんな鬼ごっこの状況が続いた。


 そんな中アルマはあることに気付いた。


 現在アルマはゴリラがアルマの精神系スキルの範囲内から出ないよう三号とゴリラの鬼ごっこを後ろから追っている。

 そして、精神系スキルは大蛇のときのように、まだ発動していない。


 かけてはいるがその効果はまだ発動しておらず、アルマの自由なタイミングでかけることができる。


 そこで、アルマの気づいたことである。


「このゴリラ、相当な脳筋なんじゃないかな」


 そう、このゴリラはさっきからずっと追い付けない状況が続いているのにも関わらず、一向に作戦を変えない。空中を蹴る、なども使ってこない。


 ただ地表を全速力で木をタックルでなぎ倒しながら走っているだけである。


 知能が一切感じられない。


 アルマが大蛇に対して発動しない精神系スキルをかけ続けていたのは、まだスキルのかけ具合が中途半端なのに、違和感に気づかれてスキルに抵抗されることを防ぐためであった。


 そこで、今のゴリラを見てみよう。


 このゴリラに精神系スキルによる違和感に気付いてそれに抵抗できるだけの知能はあるのか。


 否。なさそうである。


 つまり、アルマが今すぐにした方がよいことは………


「【魅惑の羽音】【幻惑】【錯乱】」


 精神系スキルの発動。


 アルマがスキルを発動した瞬間、ゴリラの動きが目に見えてガクンと、悪くなった。

 しかし、ゴリラはそれに構わず走り続けている。



 この戦い、あとは消化試合である。

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、アルマの戦力強化。


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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