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59 異常

 草原。草原。草原。草原。


 四方八方に広がる広大な草原。のどかでいいとはいえ、さすがにこれだけ何もないと困る。


 アルマは三号を空高くに飛ばせる。そして、はるか上空に飛んで行った三号を通して、周りの風景を見る。


 眼下に広がるのは超大草原。途方もないほど続いている。


 しかし、その北には針葉樹の森が、西には山脈が、東には砂漠が、南には海が見える。


 四択の選択肢。


「よし、北の森に向かおうかな」


 即決だった。しかし、考えればそこまで不思議な話でもない。


 アルマは現在、強くなることを第一目標として生きている。海?魔物はいるかもしれないけど、アルマは水の中には入れない。砂漠?あんな爬虫類と虫の巣窟、三号の口が刺さらない。山脈?は、いいかもしれないけど、身を隠しやすい森林の方が有利に立ち回れる。


 よって、アルマは北の方に向かう。




 しばらく飛び続けて、森林の入口までやってくる。


「しかしまぁ、薄々感じてはいたけど………」


 アルマはそういって顔をしかめる。


 目の前の森林から感じる異様な威圧感。薄暗い空気感を醸し出すその森林。中に何かがいる、ある、ということは見たらわかりやすすぎるほどであった。


「でも、ちょっと…………うん。」


 そう言ったアルマの顔は必死ににやけを抑えようとしていた。


 アルマの行動原理の五割ほどは、好奇心。このどうしようもなくわくわくする森林に、入らない、という選択肢はアルマの頭の中には存在していなかった。


 何かに吸い込まれるように、誘われるようにアルマはするりと木々をすり抜けて森の中へ入っていく。

 その後を追うように三号もするすると森の中へ飛んでいく。


 しかし、ここでアルマはある違和感に気づいた。


「僕、ここにどうやって入ってきた………?」


 その表情は目を見開いて、何かを確かめるように周りを見渡す。


 周りを一周見渡した後に、意を決して隣にあった気に触れる。





 音もたてずにするりと足が木の中に入っていく。


 ばっとアルマは足を戻す。


 そう、アルマがこの森に入ってきたとき、木々をすり抜けて入ってきた。文字通り、す(・)り(・)抜(・)け(・)て(・)。


「…………【幻惑】系統?普段から使ってなかったら気づかなかったかも…」


 幻。しかし、それは通常、触れたら揺らいで視界から消える物である。実際、アルマの【幻惑】はそうなっている。


 しかし、消えない。それだけレベルの高い幻なのかもしれない。


 それに、アルマが幻を素通りして、違和感を感じるレベル。逆に言えば、すり抜けたのに違和感程度しか感じなかったということ。


 冷静になってアルマは考えてみると、【ミスティック・ハミング】での地形探知にも木々の気配は存在していない。


 それを、相手に気づかせないだけのナニカ。


「この森、思った数倍危険かもね。」


 そう言ったアルマの目は、言葉とは裏腹に怯えは一切入っていなかった。

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、森林の謎………!?


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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