56 知能
大蛇はアルマがずっと精神系スキルをかけ続けているにも関わらず一切動きがブレない。
一見、大蛇との格の違い、精神保護系統のスキルが高いように予想できる。しかし、本当にそうだろうか。
アルマがニヤリと笑みを深める。目が三日月のように弧を描く。
「【魅惑の羽音】【幻惑】【錯乱】」
アルマがそう呟いた瞬間、大蛇の体がびくっと震え、現在、アルマと三号がいる場所と、なにもないもう二か所を含めた合計三か所を順番に睨んでいる。
今頃大蛇の目には、アルマと三号のペアが三組いるように見えているだろう。【幻惑】の効果である。
これまで、アルマはこの三つの精神系スキルをかけ続けていた。しかし、発動はしていなかった
知能が高いであろう大蛇にはこうするのが一番である。
つまり、無害なアルマのスキルが大蛇の精神を侵していく。少しずつ、少しずつ。毒が染み渡っていくように。
しかし大蛇は気づけない。なぜなら、それが無害であるから。侵されている自覚が、感覚が全くないのである。
そうして浸透しきったアルマのスキルを、発動させる。火薬で埋め尽くされた場所にマッチが落ちたら………。当然、とんでもないほどの爆発が起こる。
今がその状態である。
そして、大蛇は【幻惑】を見せられていることに気付くだろう。【魅惑の羽音】にかかっていてもそのぐらいわかる知能を有しているはずである。
見えている三組のアルマと三号、これがすべて【幻惑】、偽物である、と錯覚する。
だって、【幻惑】が使えるのに堂々と姿を隠していないなんて思わないから。頭がいい故の深読み。
「残念」
アルマは不敵な笑みを浮かべる。ここで油断はしない。
あとは、【魅惑の羽音】が完全にかかるまで逃げ切るだけ。
大蛇はアルマ達が隠れていると思って【幻惑】には見向きもしないで空に向かって体当たりをしたり、尾を振り回したり、土魔法を放ったりしている。
狙われていない攻撃を避けるのは簡単。
「チェックメイト、かな」
しばらく空中を飛行し続けて、大蛇が動けなくなったのを確認して言う。
大蛇の瞳は虚ろで焦点が合っていない。【魅惑の羽音】と【錯乱】の二重がけでもうアルマと三号を敵だとも認識できていない。
三号を口の中に入らせて柔らかい口内から血を吸う。
三号越しでも感じる美味。これまでで一番。ゾクッとアルマの体が震える。自然と口元が緩まる。
「………最高」
一心不乱に血を飲み続ける三号であった。
『レベルが上がりました。』
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、アルマの心境………!?
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
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