54 門内
アルマが門にそっと足をつけて門を押す。すると、アルマの何百倍何千倍あるだろうかという門がゆっくりとゆっくりと開き始めた。
門は十数度開いてそこで止まる。めちゃくちゃでかい門なので、それだけでもアルマと三号が並んで入っていってもだいぶ余裕があるほどの隙間ができる。
アルマはゴクリと息をのんで覚悟を決める。目を閉じて深呼吸をした後に、三号の前を静かに進み始める。
アルマと三号が門の内側に入った時、門はゆっくりと閉まり始める。もう後戻りはできない。
その様子をアルマはじっと見つめていた。それから、前を向きなおしてまた進みだす。
門の先は長い廊下になっていて、先に広い空間が見える。天井には草や苔が生い茂っていて、門と同じくらいの高さである。怪しげな光を放つ果実も生っており、神秘的な雰囲気である。
地面すれすれから見ていると、ただ小さいとしか感じないのだが、近づくと驚くほど大きいのだろう。この階層はサイズ感がおかしすぎる。
「あれ、かな。ボスっていうのは」
アルマの瞳が広い空間の中央に佇む巨大な灰色の魔物を捕捉する。
もう相手はとっくにアルマ達に気付いているらしく、その真っ赤な瞳が二つ、輝きを放ってこちらを射抜いている。
ボスが【ミスティック・ハミング】の射程圏内に入ると、すぐにアルマは【一点集中】を発動して、【魅惑の羽音】【幻惑】【錯乱】をボスに向かって放つ。
今回は三号にもこれらのスキルを発動させて、効果アップを狙う。これまで使ってこなかったのは、なにも効果が重複しないからではない。アルマが三号の操作するのが少し難しくなって、上手く制御が出来そうになかったからである。
こんな大事な局面で温存しておくほどアルマも馬鹿ではない。
「僕が無理するだけで勝率が上がるなら、積極的にしていくべきだよね」
ボスがスキルに反応して、抵抗するようにすこし体を揺らす。
そして、アルマ達が広い空間に足を踏み入れたその瞬間、ボスは大きな咆哮を上げて、戦闘態勢に入った。
ボスが動き出す。その姿は蛇であった。とても大きな蛇。この広すぎる空間に見合う体の大きさ。
この戦場は、ボスのために作られている。
そんなことに今更気が付いたアルマは、寒気を感じると同時に、武者震いをしていた。
「これだけお膳立てされてる相手を倒せたら、さ。それはもう格好いいよね」
そう言い放ったアルマの表情は不敵な笑顔だった。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、ボスとの闘い……!!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
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