49 防衛
何故だろうか。この階層の魔物は密度は低く、ほとんどじっとしていれば出会うことはないはずであった。今までは。
明らかな異常。アルマは既に卵のハウスを作ってから一時間ほどで五回を優に超える戦闘をしていた。
「魔物の数が想像の数倍多いなぁ。……なんでだろ」
そう言いながらアルマは卵の方を横目で確認する。
しかも、一度に一匹ではない。二匹が多い。一回だけ三匹もいたことがある。
【幻惑】に全意識を集中させることでなんとか巣の方は守れたが、このままなら危険が多すぎる。気持ちが休まることがない。
常に気を張る――これがどれほど精神の負担になるか。想像を絶するほどだろう。
実際、アルマはまだ一時間ほどしかたっていないのにもかかわらず顔に疲弊の色が見え始めている。
これをあと何時間、何日繰り返すのか、考えるだけで疲れるほどである。
「………厳しいなぁ。」
原因と言えば、卵がナニカを発しているのか、それとも…。
「………この坂、かな」
今、アルマの目の前には下り坂が広がっていた。次の階層へとつながる坂である。何か、特殊なものを魔物達は感じ取って、この坂へと集まってきているのかもしれない。
考えられるのはこの二つ。
しかし、どちらもアルマにはどうしようもない問題だった。
卵が原因だった場合、それこそもうどうしようもない。アルマがそばで守るその物が魔物をおびき寄せているならば、他の魔物と目的が同じなのだから諦めるしかない。
加えて、坂が原因だった場合もなにもアルマにはできない。卵を移動させるにしても、巣をどかす、卵を移動している間に魔物が襲ってくる可能性が大きすぎる。そうなれば無防備な卵は無残に殺されてしまうだろう。
それに、卵が重すぎて、大した距離を移動させられる自信がアルマにはない。坂の影響力が及ばないところにまで卵を運べるビジョンがちっとも思い浮かばない。
そんなことを考えていると、カエルが向こうの方からやってきているのが見えた。
アルマは小さく舌打ちをして、【幻惑】と【魅惑の羽音】を【一点集中】を使ってカエルへとかけていく。かかってから、血を素早く吸う。悠長にしている時間はない。早く殺して、次の魔物に備えなければならない。
そんなことをどれほどしただろうか。
アルマの目からハイライトが消えて、心身ともに疲労が限界を突破したころ、パキリ、という音が聞こえたような気がした。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、対面……!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
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