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48 産卵

 アルマの意識が暗闇から戻り、しょぼしょぼする目で辺りを見回す。


 そこに二号の姿はない。二号の視界も、触覚も、感覚を何も感じれない。


 しかし、アルマの腹があった辺りの地面に、一粒の小さなナニカがあった。それをアルマは本能で何か感じ取る。


「……卵。……僕の?」


 そう、小さな卵。細長く、焦げ茶色の卵。アルマの卵。


「生んだ覚えはないんだけどな…」


 そう笑って見せるアルマ。しかし、その声はアルマ自身の想像以上に乾いていて、疲弊が伺える。


 精神が荒んでいる。しかし、アルマは卵の中に宿る暖かな生命の光を感じ取った。


「……二号。」


 きっと、この卵は二号である。いや、二号は死んだ。二号の役割を果たすべき次世代、とでも言うべきか。いわば、三号である。


 この卵が孵化したらどうなるのだろうか。突然巨大化するのだろうか。それとも、少しずつ時間をかけてあのサイズまで大きくなるのだろうか。


「まぁ、なにはともあれ、この卵を今は守り抜かなきゃね。僕の片割れを、もう二度と失わないように。」


 卵を持ち上げて壁際へと移動させる。


 重い。大きさだけで言ったらアルマと同程度の体積である。なんならこれから一メートルほどまで成長する蚊の卵である。密度はアルマより大きいに決まっている。


 運び終わってから、アルマは疲れたように脱力する。我ながらよく運べたものだと、アルマは感心する。


 それからアルマは【糸】を使って、卵のシェルターを作り始める。糸を何重にも重ねて頑丈に作っていく。


 アルマ特性、ぐるぐる巻きシェルターが出来上がる。アルマ一匹がギリギリ通れるくらいの通路を一か所残してあとは全て糸で埋めてある。ついでにその上にアルマが休憩できるスペースも作った。


 簡易的な家である。卵が孵るまで、アルマはここにしばらく滞在することを決めた。


 この孵化は長丁場になる。そんなことをアルマの生物としての勘が伝えていた。

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、二号から三号へ


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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