42 毒毒
手始めに、二号は自分の腹の先から糸を噴射する。その勢いはアルマの飛行速度よりは早いくらいである。
しかし、オオトカゲの愚鈍な動きでは躱せない。オオトカゲが素早いのは、攻撃のときのみであり、攻撃を避けるときや、移動のときは愚鈍であるようだった。攻撃時の瞬発力が群を抜いて高い、ということだろう。
二号の糸はオオトカゲの口元に張り付き、強い粘着力でオオトカゲの口が開くのを妨害する。
口が一番の武器であるオオトカゲに対して、これは大きすぎるアドバンテージ。
そのままの勢いで、二号は糸を出し続け、オオトカゲをぐるぐる巻きにしていく。
その後、だいぶ不格好ではあるが、二号はオオトカゲの捕縛に成功した。
その見た目は、オオトカゲの上からただひたすらに糸を垂らしただけなので、白い山、という光景である。
二号は念には念を、と思い、捕縛出来た、と認識できる段階を数段越えて糸を出したので、糸本来の拘束力と、多すぎる糸の重量が加わって、完全にオオトカゲを地面に固定している。
「よし。いい感じだね。動きが遅い敵には、とりあえず糸を撒くのが強いのかな。」
実際、目の前の愚鈍なオオトカゲは糸一つで完全に無力化できている。
しかし、魔法を使ってくる敵や、糸を簡単に吹き飛ばしてしまえるほどの怪力の持ち主だった場合、ただ隙を晒すだけになるので、注意が必要そうである。
アルマはにやりと笑って二号を動かす。
二号はしばらく旋回して糸の山を観察し、糸同士の隙間からオオトカゲが露出している部分を探す。
案外その作業は早く片付いて、隙間を見つけ出す。
二号は、ゆっくりと糸の山に近づいていき、糸に触れないよう空中で静止する。二号の持つ鋭い口を隙間の間に差し込む。
今回、二号はオオトカゲを吸わない。
逆である。
オオトカゲに対して二号がナニカを流し込んでいる。
それは何か、蜘蛛から新しく手に入れた能力、毒である。
二号が口を深くオオトカゲに刺すごとに、オオトカゲの中にどくどくと、注がれていく毒。同時に【神経毒】も流し込んで、本当に動きを封じ始める。
二十秒ほど流し込んだところで、二号は口を離した。そして糸の山から離れて、オオトカゲを観察する。
オオトカゲは、動けないなりに、唸り声を上げたり、もぞもぞと体を動かしたりして、抵抗している。
アルマ達にとってそれはありがたいことだった。
アルマ達は相手の生死を遠隔で知る方法がない。今回は血も吸ってないので、血を吸いきったからもう死んだ、とかいう判断もできない。
そんな二匹にとって、行動で生きていることを示してくれるのは、観察がとてもやりやすくなることだった。毒の威力を確かめるための実験を今している。だから、ある種の基準として大いにオオトカゲは役立っている、と言えるだろう。
しばらくして、オオトカゲが完全に何も反応をしなくなる。
恐らく死んだのだろう。
『レベルが上がりました。』
本当に死んだらしい。今回はレベルアップのおかげで死んだのが分かりやすかった。
口を離してから、十分くらいでオオトカゲは死んだ。
「まぁ、サブウェポンとしては十分使えるね。持久戦と蚊になったら重宝するかな?この階層の魔物はだいたい二号の口で何回か刺せば殺せちゃうから真に力を発揮するのはまだまだ先かなぁ」
そんなことを考えながらアルマはステータスを開く。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、二号無双……開始!?
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
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