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37 支配

「【支配】」


 このスキルを発動した瞬間、蜘蛛の体がビクッ‼と跳ねて、そこから一切動かなくなった。魅了状態の敵でも、震えたり、ゆらゆらと左右に揺れたりする。全く動かないというのは、アルマの蚊生上初めての出来事である。


 蜘蛛の八つの目がすべてアルマを射抜いている。


 何かを待つように、大人しく、静かにたたずむ。動かないというのは比喩ではない。まったく動かないのだ。肩で呼吸をしている感じもない。体が固まりすぎて逆にバランスを崩すということもない。ただ、標本のようにその場に突っ立っていた。


「おいで」


 そう言うと、蜘蛛はゆっくりと、しかし確実にこちらに近づいてきた。アルマの少し手前で止まり、アルマの方を見上げる。


「認識できてるんだ。すごいなぁ。さっきまでは僕のことなんか少しも意識してなかったのに……。これも【支配】の影響かな?」


 そう、蜘蛛がアルマのことを見上げている。その異常性をアルマはしっかりと理解していた。


 アルマは勿論、【気配迷彩】を解除はしていない。ましてや、蜘蛛は【支配】を発動するまで、ずっと二号に視線が釘付けにされており、アルマのことなんか認識もできていなかったのだ。


 それが、【支配】をかけて、命令を出したとたんにこちらを認識している。


 【支配】での命令はスキルによる強制的な命令だから、その生物の能力などは関係なく、無意識に体が動いている可能性もある。


 そして、一番重要なこと。アルマはそれを確かめようと試みる。


「あそこの巣まで行って、適当に待機しておいて。」


 蜘蛛は弾かれたように命令に従う。


 蜘蛛は、蜘蛛の巣の中央に到達した直後、静止した。命令通り待機をしているのである。


 重要なのは、その目線。蜘蛛の目は八つともきれいにアルマを中心にとらえている。


「これ、結構なデメリットかなぁ?【気配迷彩】を使ってるのに、手下の魔物の目線で居場所がばれたら僕、弱体化どころの話じゃないんだけど」


 その通りであった。アルマは現在、【気配迷彩】で、ステルス接近からの、【魅惑の羽音】などの精神干渉で相手を封じている。


 ただでさえ、二号の体が大きいおかげで存分に目立っているというのに……。けど、二号はまだましだ。アルマ自身の意思で操作ができる。アルマが安全圏から待機して、二号が囮となって時間を稼ぐ、というムーブも強力な武器となり得る。


 しかし、それは、アルマの居場所が敵に悟られていないことが前提条件としてある。


 オオトカゲなどの賢い魔物は、視線だけでも、疑いを持つだろう。この階層のレベルでそうなのだから、これからもっと能力も、賢さも上の魔物と相対した時、人間と敵対してしまった時には、配下の視線、というのが致命傷になり得る。


「こっちを意識して見ないようにしてみて」


 蜘蛛は動かない。【支配】というスキルの影響でアルマの方を見ているのだから、そこに意識も何も存在しない。


 つまり、一旦は支配下に置いた魔物の視線問題は未解決である。


 他にもっといい方法はあるのだろうが、今のアルマはそれを見つけたいとは思っていない。他のことにすごく興味を惹かれているからである。



「合成!!」

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、合成とは………?


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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