31 味
蜘蛛を【幻】で惑わしている間に、カエルの血を吸う。
「時代は効率よく生きる時代だからね。いろんなことを並行して行わないと」
そう、カエルの首元にとまり、口をつける。
「…まずい」
とても不味い。蜘蛛は、酸味と、苦味、えぐみだったが、カエルは違う。えぐみ一本勝負である。変に混ざってないから慣れれば飲みやすいと言われればそうなのだが、慣れるまでが蜘蛛よりも強烈である。
「…でも、まぁ、覚悟はしてたし……。これ、飲むしか攻撃手段ないし」
せっかくそこそこ経験値をもらえる相手、それも動けない状態にある相手が目の前にいるのに、それを見逃すほどアルマは馬鹿ではない。
カエルの血が不味いなんて蜘蛛の血をのんだ時点で予想していたことである。そこに驚きはない。ただ、、カエルの血は想像より不味かった。それだけである。
アルマは内心文句たらたらのまま、血を飲み進める。
蜘蛛にも気を配らないといけないので半分、味に意識は向いていない。アルマの唯一の救いであった。
飲み進めていってしばらくした後、ようやく蜘蛛の動きもなくなった。【魅了の羽音】が完全に効いたのである。巣と巣の間で縮こまって、固まっている。その瞳は虚ろでこちらを向いている。
アルマが見せた【幻】をまだ目で追っているのだろう。
蜘蛛が動かなくなってから少し後、ようやくアルマはカエルの血を吸い終わった。
「不味かったなぁ。もう食欲ないんだけど」
そうはいっても目の前に獲物がいる。
ここで放置はナンセンス。アルマの強くなりたい、という目標に反する。
つまり、今すぐに血を吸う、ということ。
アルマは、蜘蛛が自分の通行用に開けた蜘蛛の巣の隙間から、巣の内側へと侵入する。
蜘蛛の腹の部分に口を当てて、血を吸い始める。
「やっぱり不味いな。不味い、んだけど…」
カエルの後に飲んだ、ということもあるだろう、いや、それだけが原因であるのだが、アルマは蜘蛛の血を少し美味しいと思ってしまっていた。酸味、苦味、えぐみの中からうまみを見出してしまっているのである。
アルマはそんな自分が少し恐ろしいと思うと同時に、美味しく飲めるならいいか。と、ポジティブに物事を考えていた。
『レベルが上がりました。』
蜘蛛の血が尽きそうな辺りでそんなアナウンスが聞こえた。
読んでいただき本当にありがとうございます!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!
毎日18:30に更新中です!




