03 血液狩り
※一話でかいた吻という蚊の口ですが、これ以降口、と書かせていただきます。
※現在、表現などを修正中です。次の話では書き方が変わっているかと思いますが、気にせず読み進めてくださったら幸いです。
アルマはネズミの首元に口を刺す。そして血を吸おうとしたとき、突然ネズミが暴れ始めた。
「っ!麻酔が効いてないのか」
動くものからの血の吸いにくさを今初めて思い知らされた。
だが、ここで口を抜くアルマではない。ネズミに振り回されっぱなしのまま血を吸う。
ネズミが暴れまわって壁とかに体をこすりつけてくるせいでアルマが潰されかけるという命の危機が割と頻繁にやってくる。
しかし、まだ生きていて、血の巡りが良いおかげかいつもより血を吸いやすい。ここままいけばそう時間もかからずに血を吸いつくせるだろう。
「っ!さすがに抵抗がはげしいな、一回口を抜くしかないっ。」
すぐに口を抜いて空中に飛び出す。
「しかしまあ、麻酔もレベル低いと全然効かないんだな。レベルが上がるまでは命の危機と戦い続けるしかないのか。運の勝負って嫌いなんだけどな。」
ネズミが移動をしようとするので慌てて俺も追いかける。
しばらく移動したあと、ネズミは痛みと蚊の存在なんてすっかり忘れたようで気持ちよさそうに寝だしたので、アルマはもう一度首元に吻を刺して血を吸う。
十数秒吸ったところでネズミが痛みから起きてまた暴れ出した。
が、さっきより動きが鈍い。当たり前のことを言うようだけど魔物も血が少なくなると動きが鈍るらしい。面白い生態である。
そのおかげもあったが、今度は命の危機は訪れないまま血を吸いつくすことができた。
「……死んだな。」
『レベルが上がりました。』
脳内にそんな声が響く。
「ステータスオープン」
名前:アルマ 種族:イノセント・モスキート
Lv.4
スキル:
吸血 Lv.2 気配遮断 Lv.4 麻酔 Lv.1 モスキート―ン Lv.4
一気に2もレベルが上がった。
やはり生きている魔物を殺したほうが効率がいいのだろう。
これで麻酔のレベルが上がってくれたらもっとやりやすくはなるのだが……、
「まあ、ないものねだりをしたって仕方がないよな。」
魔物っていうのは思ったよりも簡単に倒せるものだった。
人間からしたらもっと簡単に剣を一突きするだけとかで終われたのだろうけど。
気配遮断とモスキート―ンのレベルも上がっていたしアルマがここのダンジョンから出られる日も近いのかもしれない。
それからしばらくして、アルマは今後の方針を決めた。
これからはネズミの死体があったらそれが最優先、生きているのも積極的に血を吸いに行く。
麻酔のレベルも上げたいから生きている魔物を積極的に狙っていく他はない。ハイリスクハイリターンである。
「ってなわけで、出発、って言いたいところだけど、流石に眠気がすさまじいな。魔物、というか蚊って睡眠必要だったことに驚きだわ。………とりあえず寝床を探さなきゃな。」
アルマが数分さまよった末、結局寝床として選んだのは石壁の隙間だ。その最奥に身を縮めて目を閉じる。
「おやすみなさい」
ぐっすり眠って、アルマの目が自然と覚める。
アルマの今日の予定はネズミ狩りである。
そうしてダンジョンを彷徨うこと数分、アルマは無事ネズミを見つけ、十数分の格闘の末に一匹を仕留めることができた。
「ギリギリレベルアップには届かなかったな。さっきの個体のほうがすぐ死んだし、前回のがちょっと強かった可能性、あるのかもしれないな」
アルマがそんなことを考えながら飛んでいると、もう一匹のネズミがアルマの視界に入る。
あとちょっとでレベルアップ、目の前には勝てる可能性のある獲物、この状況で狩らない、という選択肢はアルマの中に存在しない。
アルマはは勢いよくネズミの首元に飛びつき血を吸い始める。
このネズミも他のネズミと同様このネズミも暴れ始める、ここまではアルマの予想どおりだったのだが
………。
そこから急加速して、からの一回転で自分の頭、首、背中を壁に衝突させてこようとすることは完全に予想外の動きだった。
アルマははとっさに自分の口をネズミの首から抜いて横に飛びのけた。
しかし、蚊程度の小さな体の小さな羽を必死に動かしたところでネズミが急加速した遠心力を殺しきれるなんてことあるはずもなく、アルマの体は背中から勢いよく壁へと激突した。
「い”っっっだ!」
アルマの体が痺れる。呼吸がうまくできない。手足も羽もなにもうまく動かせない。動けない。そんなアルマにに追い打ちをかけるように強い風がアルマのの体を軽々と押し上げ、壁に打ち付け、地面に落とさんとする。
「こんな閉所で風!?やばっ!落ちたら食われる。落ちたら食われる。食われる。食われる。食われ………たく、ない!!痺れていようと力が入りづらかろうと関係ない!生きる!」
そうアルマは自分自身を無理矢理鼓舞して羽を舞わせる。
上を見ると幸いにもここの天井はアーチ型の天井、その隙間に入れば追っては来れないだろう。
壁は走れたとしても、天井を走る力はここにいる魔物程度にはないはずである。
アルマはそう信じて全速力で天井の横向きに入ったひびの隙間に体をねじ込んだ。
そうして一息ついた後に下をのぞくとまだネズミがじっとアルマのほうを見て待機していた。
しつこい魔物であった。
「一旦は大丈夫そう、かな。」
しかし、アルマが気にしないといけないものはあの身体能力のほかにもう一つあった。
風が起こった原因である。
あれが、身体能力が高すぎて起こせるようになった物理的な風なのか、それとも魔法による風なのか、この二つのパターンがあり、そのどちらであるかによって相当意味合いが変わってくる。
単純な身体能力ならまだやりようはありそうである………けれども、魔法なら、本当に厳しい。
そう思ってアルマがもう一度下のネズミをよく観察すると額に緑色に輝く石埋め込まれていることを確認した。
おそらく魔法石のようなものである。
何度か貴族の死体が着ていた服の装飾品として付いていたことを思い出す。
「魔法タイプだったかぁ………だいぶ厳しいな…。」
アルマはここからどう打開するのか考えを巡らせた。
読んでいただき本当にありがとうございます。
次回、魔法ネズミ相手に下剋上を決めることができるのか…!?
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。




