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26 回復

 アルマはオオトカゲが倒れるのを静かに見守る。


 しばらくしてオオトカゲが動けなくなったのを確認したアルマは地面を這ってオオトカゲのもとへ近づいていく。そこまで遠くない距離でも今のアルマにとっては相当長い道のりである。


 気合と体力を振り絞って、オオトカゲの首元まで上り詰めたアルマは勢いよく口をオオトカゲの首にあてた。思い切り血を吸い始める。


 美味しかった。上品な味がした。アルマの前世でも味わったことがないほどのおいしさである。大人しくも主張の強い甘みの中に少しのほろ苦さが効いていて飲みやすい。いつまででも飲んでいたい。

 また、快楽もキメラの血と同じくらい流れ込んできて、気分が高揚していたのもいいスパイスになったのだろう。


「こんなに体が大きいんだし、まだまだいっぱい飲めるな。……幸せ」


 キメラとオオトカゲの血に比べれば他の魔物の血なんて下の下。なんで今まで美味しく飲めていたのか不思議に思うほどである。


『レベルが上がりました。スキルレベルアップを確認しました。回復を行います。』



「……あれ?」


 気が付くと、アルマはもう既にオオトカゲの血を吸いつくしていた。もうだいぶ時間がたっているのだが、アルマ本人にその自覚はない。

 あまりにも夢中になって吸っていた。

 その間にも【一点集中】は解除して、索敵と警戒は続けているのだから恐ろしいものである。


「回復?」


 そう疑問に思ってアルマは自分の体を見回すと、確かに曲がった足と、えぐれていたはずの羽が元通りに戻っている。


 スキルのレベルアップ。そう言っていたと思い出して、急いでアルマは自身のステータスを確認する。


名前:アルマ 種族:ミスティック・ハミング


Lv.3


スキル:

喰血 Lv.2 気配迷彩 Lv.3 神経毒 Lv.2 ミスティック・ハミング Lv.3 魅了の羽音Lv.9 魔獣合成Lv.1 一点集中 Lv.2 幻 Lv.3 自然回復 Lv.1


【自然回復】

 怪我や損傷が自然に回復する。また、このスキルのレベルアップ時、自然回復で治せる範囲の怪我と損傷をすべて回復する。



 つまり、なにもしていなくても怪我が治ってくれる。その上、スキルレベルが上がったらいずれ治る怪我をすぐに治してくれるというスキルである。


「え、有能過ぎない?今回は0から1にレベルアップしたよってことなのかな。…でも、なんで今のタイミングで……」


 アルマの頭の中に疑問が浮かび上がる。しかし、アルマは考えることをやめた。考えても答えは出ないし、どっちにしろこのスキルにはメリットしか感じられなかったからである。決して考えるのがめんどくさかったなどという理由ではない。



 怪我も治り、腹も満たされたタイミングで、アルマはふと考えた。


「そういえば、僕、確実に自分の体積より血、吸ってるよね………。どこに入ってるんだろう」


 考えてみればそうである。ネズミを狩っていた頃からずっとお腹がいっぱいでもう飲めない、ということを経験したことがない。ネズミ一匹の血の量でもアルマ一体分よりはるかに多いのに、である。


 それに加えて、アルマは蚊になってから、お腹が減った、ということもほとんど感じたことがない。最初の狩りが安定するまでは何度か感じていたが、狩りが安定した後、それにこっちのダンジョンに来てからは本当にずっと空腹を感じていない。


 不思議である。


 しかし、アルマは考えることをやめた。めんどくさかったからではない。寝床を探すためである。しばらく寝ていないため、寝床を探していたのだが、寝る前にダンジョンの下り坂を降りてしまって、テンションが上がっって寝ることを忘れていた。


 強敵を無事倒した今、疲労と眠気が襲ってきたのである。


 幸い、この周辺はオオトカゲが舌を振り回してぼこぼこにしたおかげで、隠れられる石の隙間などは存分にある。



 近くにあった適当な隙間を選んで、アルマはすぐに眠りについた。

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回、ドキドキ?ダンジョン探索


「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。ブックマークと評価もお願いします!!


毎日18:30に更新中です!

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