14 退屈
振り下ろされたこぶしをぎりぎりで避ける。
「危ないしっ!でも、見れば見るほど不気味だな。」
そういいつつ【魅了の羽音】を発動させる。これであとは数時間粘れば、俺の勝ち。数十分もすれば動きも鈍ってどんどん俺が有利になる。出し得のスキル。
「改めて、これ、強すぎない?スキルレベルが上がって魅了にかかるまでの時間が減っていったら強いなんてもんじゃないよね。」
そういいつつ横から飛んできたミミズの尾を避ける。
確実に当たらない位置だったのに……。そう思って熊の体の腰のあたりを見ると、うにょうにょと伸びてくる様子が確認できた。気持ち悪い。
どうやらミミズは伸縮自在らしい。逃げ場はないようだ。
「気配遮断が効いている様子もないし、こりゃ噛みに行ってもミミズに潰されるだけだな。癪だけど逃げに徹するしかない」
命がけの勝負をしているはずなのに、こちらがやれることはもうやり切ってしまった。暇。
避けているだけじゃ戦闘狂の気があるアルマの退屈はしのげなかった。
避けること二十分。少しずつ魅了の効果も出てきて、最初と比べて目に見えてキメラの動きが鈍くなってきた。
突如、俺の目の前を光の束が駆け抜ける。
慌ててキメラの方を見ると、空中に羽ばたいていた。胸の石が若干まだ光っている。あそこから光線を出したのだろう。
「行動パターンが変わった……?能無しじゃない。これまでの敵とはちょっと訳が違いそうだ」
そこからは弾幕ゲーム。頭上から降ってくる無数の光の束。鞭のように振り回され床をえぐる勢いでこちらに迫るミミズの尾。
なんとかまだ当たってはいない。が、しかし!よく考えてみてほしい。光線は光だ。光は若干の熱を帯びている。つまり、避けても、熱は感じる。
「あっつ。汗かいてきたな…。蚊の体って汗かくのか?」
直接的なダメージはなくても蓄積する体へのダメージ。体が小さい分、温度の変化の影響も受けやすい。
着実に近づいてくる敗北の足跡。
だけど、それは相手も同じ。
「もう何分戦ったよ。キメラさんよ。動きは鈍る一方。そろそろ俺への攻撃もしづらくなってきてる頃なんじゃないか?」
声が聞こえているのか、そもそも蚊の体で声は出せるのか、キメラに正確に伝わったのかは分からない。しかし、その煽りを言った瞬間キメラが今日一番の咆哮を上げた。
そうして、キメラは俺に向かって、一直線に突っ込んできた。光線とミミズの尾での攻撃は続いたままの状態である。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、決着です!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。
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