12 楽園
数日後、俺はある違和感を覚えた。
目の前に壁が見える。だが【モスキートーン】では道が続いているように感じる。
「なにこれ……」
目が狂ったのか【モスキートーン】が狂ったのかは分からない。確認する手段は試してみるしかない。
息をのむ。俺はゆっくりと壁に向かって飛行を始めた。
壁に触れるか触れないか。そんな距離で俺は手を伸ばした。
感覚がない。触れているはずなのに、その時、視界が揺れた。違う。目の前の壁が揺れていた。ゆっくりと壁が薄くなり消えていく。
道は続いていた。【モスキートーン】の感知通りの道。その先には青白く光る何かがあった。
「…なんだこれ」
光る地面には奇怪な模様が刻まれていた。魔法陣のようにも見えるが、通常のそれとは大きく異なる。本来の魔法陣とは対称だったり、バランスがよかったり、まさに美しいという言葉が似合う様なのだが、これは違う。テキトーに並べられているようにしか見えない。どちらかというと美術より芸術寄りな感じである。
とりあえず触れてみるしかない。今の状況は停滞気味。いいスパイスだと思う。
魔法陣の上に止まるとカッと魔法陣が光る。二回目の光景。
目を開けるとそこには長い廊下。カタコンベとは違う、遺跡のような風景だった。その先には…ゴーレムの集団。軽く数えて十体はいる。後ろを振り返ると出口らしきものは見当たらなかった。
こちらには気づいているようだが攻撃をしてくる様子はない。恐る恐る近づいていくと急に一斉にこちらへ走り出してくるゴーレム達。慌てて後ろに下がるとピタッと動きが止まり、元の場所に戻っていく。
「…は?意味わからん」
もう一度進む。ゴーレムが襲ってくる。下がる。戻っていく。
足元の床をみると小さな溝が模様の間にうっすらと入っていた。超えてみる。ゴーレムが反応する。下がる。ゴーレムは戻っていく。
「当たり、みたいだな」
この先に進まない限り、ゴーレムはこっちに来ない。つまり、【魅了の羽音】し放題だということ。
「さぁ、魅了されろ。ゴーレム共」
ときどき中に入って効果を確認する。
一時間と少しあと、ゴーレムの反応はさっぱりなくなっていた。
しかし、攻撃手段はいまだにないため、ゴーレムの間をそそくさと飛んでいく。
「少しでも攻撃できたらはめ殺せたんだが。」
少し残念そうに先へ進んでいく。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、廊下の先に広がるものは……?
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。
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