10 攻撃手段
顔はないのにゴーレムと目が合った、ような感覚を覚える。
「また血が通ってないやつかよ。俺じゃ倒せないってのに」
ギリッと口を噛む。相手は確実にこちらに気づいて近づいてくる。後ろは行き止まり、前には通路の八割九割を占める巨体のゴーレム。逃げ道はない。
俺は攻撃手段がないか必死に周りを見て自分のステータスを思い出した。
「あ。」
忘れていた。俺にもゴーレムの対抗手段はあったのだ。進化で手に入れた新しい力。まだ一回しか使っていない力。
【魅了の羽音】を発動する。
ゴーレムに変化はない。確実に一歩一歩距離を詰めてくる。
「なんで効かないっ。」
ゴーレムがこぶしを振り上げ、俺を狙って振り下ろす。なんとか空中で羽をばたつかせて回避をする。
「前回はあんなに効き目があったのに……、こいつの方が強いからか?」
そこまでつぶやいて気づいた。前はネズミに埋まった時点でもう羽音を発動させていた。這い出るのに数十分。その間ずっと魔法ネズミは羽音が届いていたはずだ。
単純なかける時間の差。それが俺を絶望に落としていった。
ゴーレムがもう一度パンチをしてくる。俺でも慣れれば愚鈍なゴーレムの攻撃くらいは避けられる。
後ろでドゴォン、と大きな音を立てた。見るとゴーレムのパンチが洞窟の壁にへこみを作っていた。
「……これじゃ、隙間に隠れるのも駄目そうだな。あとは横をすり抜けるくらいだな。」
そうゴーレムのサイドを見る。隙間はそこまで空いていなく、少し横にずれられればあっけなく壁と体で押しつぶされるしかない。
「本格的にきついな……」
こんなにきつい戦いはネズミぶりだろうか。あのときと違うのは攻撃手段がないこと。
慎重にゴーレムの動きを観察する。そうして気づいたことがある。ゴーレムの頭のような部分の横、ここだけは首をひねってもつぶせないし、腕が届くまでに少しだけ猶予があるということ。
逃げるならここしかない。問題はタイミング。
そうしている間にも距離は詰められて、もう後ろの壁まで残り2メートルほどしかなかった。
ゴーレムが腕を振り下ろした瞬間、
「今だっ」
俺は何かにはじかれたように飛び出した。
ゴーレムの横を抜けて通路を飛ぶ。距離は空いた。ゴーレムがこっちを振り向く。
そのときゴーレムの胸元の石が光り輝く。
太い光の線がアルマを殺さんと一直線に迫ってきていた。
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回、ゴーレムから生きて逃げ出せるのか……!
「蚊の主人公、面白そう!」「アルマのサバイバルの続きが楽しみ!」とおもっていただけたら次回も読んでいただけると嬉しいです。
良いと思ってくださったらブックマークと評価もお願いします!
毎日18:30に更新中です!




