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ぼーっとながら、ふわっと考える  作者: 仲麻呂


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7/10

ぽーとしていても、あなたのことが見えてくる

 電車内では、ほとんどの人がスマホを凝視している。

 ぼーっと突っ立ていても、他人のスマホ画面が垣間見える。SNSやショート画面は、あなたへのおすすめで埋め尽くされている。アルゴリズムはあなたの閲覧履歴という秘密を握っている。秘密の情報から導き出された画面が、おすすめ表示だ。おすすめ表示は、あなたの今の気持ちを言い当てようとしている。


 やんちゃそうな男子のスマホには、格闘技やサッカーの動画が流れてくる。昔やんちゃをしていた大人は、カタカナ言葉を駆使した投資動画や、誰かが口論しているシーンを見ている。ほんわかした落ち着きのある女性の画面には、犬や猫が現れる。ギャルっぽい女性は、ネイルや目元のメイク動画を凝視している。通知が表示されるとすぐにLINEへ移動する。これは、みんなに共通した行動だ。


 その人の見た目から連想できる好みや性格と、おすすめ表示の内容は一致していることが多い。アルゴリズムも成長したといえる。意外と人間はシンプルなのかもしれない、と思えてしまう。


 自分の考えや好みが、そのまま自分の姿へと反映する。自分がわからないという人は、自分自身を鏡で見るのがよいだろう。鏡に写っているのが自分だ。当たり前の話だ。

 鏡をみても自分のことがわからないのなら、自分のスマホに表示されるおすすめや、広告の内容をみるがよい。そこに表示されているのがあなたの好きなことで、あなたという存在だ。

 あなたのことは、あなたよりもスマホのほうが知っているのかもしれない。もしそうなら、自分が自分を操るよりも、スマホがあなたを操る方が簡単だ。スマホと言ったが、スマートフォンという機械が操っているわけでない。スマホの先にいる個人や企業が、経済的な利益を引き出すために、あなたを利用したがっている。最近、不安に思ったり、怒りを感じたことはないだろうか。スマホに表示されたものが原因だとしたら、あなたはスマホに操られているかもしれない。


 そんな不自由から抜け出せなんと言うつもりはない。僕だって、抜け出せているとは言い切れないし、たまには操られている。ただ、そういう可能性を想像できるだけでも、少しは自由になれるかもしれないと思った。

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