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ぼーっとながら、ふわっと考える  作者: 仲麻呂


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へぇ、まったく知らなかったです!

 人間は都合が悪いことや面倒な場面に遭遇したときに、知らないままでいようとしたり、消極的に知ろうとしないことがある。まるで自分の手で自分の耳を塞ぎながら、目をつむるような行為だ。


 カルト宗教の信者を例に挙げる。カルト宗教の特徴として、指導者は信者に命令する際に、命令の目的や背景を一切知らせない。「この部屋の資料をすべて処理しろ」という命令が下されたとき、信者は「何のために資料を処理するのか」「どうして自分が処理しないといけないのか」については、何も知らされない。信者もまた、目的や背景を知ろうとすれば、宗教や指導者に対する疑いや背信と捉えられかねないので、あえて尋ねない。たとえ、勇気を出して尋ねたとしても、命令者自身も上から命令されただけで、目的や背景を知らないのがオチだろう。


 理由や目的がわからなくなると、「なぜ」「どうして」という疑問を抱かなくなる。その結果、信者は、自発的な行動を起こすことをやめて、ただ言われたことを忠実にこなすようになる。考えないほうが楽になってくる。

 「この部屋の資料をすべて処理しろ」という命令は、その部屋にある資料がカルト教団の犯罪証拠であれば、信者が行っていたのは証拠を隠滅する行為となる。目的や背景を知らずにただ指示のままに動くと、人間は機械的になり、誰かの手先として利用される。利益を得ているのは、無知な人間を利用している指導者や命令者たちだ。


 闇バイトという言葉が、ニュースで扱われるようになった。若い人が高収入に飛びついて犯罪行為に加担させられているようだ。ニュースの内容から推測する限り、闇バイトに応募する人は、その仕事の違法性になんとなく気づいているが、仕事の目的については考えないようにする。知ってしまうほうが都合が悪いからだ。

 目先のお金が欲しくて、つい手を出してしまう。もしかしたら自分が犯罪者になるかもしれないが「自分は大丈夫だ」と言い聞かせる。1回目で捕まるはずがない。募集している人も「大丈夫」って言っている。そうやって、自分が犯罪に加担していることから目を背け、自分にとって都合が良い話だけに意識を向けて、心の平穏を保とうとする。


 カルト教団と闇バイトのどちらにしても、利益を享受するのは指示している人間だ。教団であれば指導者であり、闇バイトであれば斡旋している犯罪者のリーダーだ。信者や受け子が「私は知らなかったから被害者です。そういうことがあると誰も教えてくれなかった!」と言うだろう。その言い分自体が、自分で考えていない証であり、原因の1つになっている。


 対処法は1つしかない。自分で学び、自分で考えること。学校を卒業したら自分で学ぶ必要がないと思っている人が、狙われるので気をつけたほうがよいだろう。知らないままでいようとするのは、デメリットのほうが大きい。裏を返せば、自分の好奇心は、大切にしたほうがよいともいえる。

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