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ぼーっとながら、ふわっと考える  作者: 仲麻呂


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くらくら、日本人

 「日本人だけがもっている礼儀正しさ」「これぞ日本人だ」「海外にはない日本のすばらしさ」というこの手のフレーズをよく見かける。日本の素晴らしさを海外の人にも伝えたいということで、海外の人を招待して日本を案内するテレビ番組で、これに類するフレーズを確認できる。

 視聴者は、海外の人が日本のことを称賛しているのを見て、自分自身が褒められたような感覚に陥るようだ。和食を食べて「おいしい」と言っている姿をみて、「どうだ!おいしいだろ!」と思うのだろう。日本の祭りや伝統芸能を褒められると、「日本は立派な歴史ある国なんだ」と誇らしくなるのかもしれない(あくまでも想像)。


 相手に褒められて嬉しくなるというのは、自然な感情といえる。ただ、そういう言葉を周囲に求めてしまうのは、他人に依存していて、どことなく子供っぽい。褒めてほしそうな顔をしている人を想像してほしい。自分で自分を評価して満足できるほうが、自らを律している点で大人といえる。

 

 海外の人が作成した日本に関する動画を見ると、視聴回数を伸ばすためなのか、日本をベタ褒めしていることが多い。ヨーロッパやアメリカの西欧圏の人にとって、日本はアジア圏の国で、文化や慣習の違いがはっきりとしているので話題にしやすく、称賛するのも難しくはない。どうしても理解できない物や慣習があれば、「不思議」「クレイジー」とみなして、神秘的な存在として日本を扱う。恐竜の被り物を装着して行う競争は、よくネタにされている。

 動画の投稿者も、日本を褒めると日本人が喜んで見てくれると気づいているようだ。


 自分の国について褒められて心地よくなるのは、考えてみると不思議な現象といえる。自分が直接関わっている事柄であれば、良いように言われて、そういう気持ちになるのは理解できる。しかし、自分が料理した和食でもなければ、自分が参加した祭りでもないものが称賛されても、僕の場合は「へぇー、そうなんだ」と思うぐらいだ。

 自分の出身地が褒められたら、自分が嬉しくなるようなものだ。

 「え!?嬉しいと思うのが普通でしょ」と言う人がいるかもしれないが、僕は特に何も思わない。僕は大阪出身だが、大阪が褒められても貶されても、僕はなんとも思わない。なぜなら、僕は大阪の人間ではあるが、大阪の代表ではないからだ。個人と共同体(大阪)は、まったく別物だ。日本自体が称賛されても、自分とは無縁の話だと感じる。


 とはいえ、日本が褒められるのを自分ごとのように喜ぶことを悪く言うつもりはない。嬉しくもなんともない僕みたいな人がいるというだけだ。褒めて、喜ぶだけの空間であれば、笑って見過ごすことができる。他人から何かを指摘されることで初めて気づくことがあるように、海外の人から称賛されることで気づくこともあるだろう。

 それとは逆に、日本が貶されたときに怒りや憎しみを抱くのであれば、僕は不安になる。そういう人は、落ち着いたほうがよいだろう。世界の歴史を振り返ってみても、国、民族、宗教の対立で生じた不満や怒りに任せてよいことはない。いつの時代も、そうやって対立を煽って、自分のために人を利用しようとする人間がいる。個人と全体はまったく異なることを思い出そう。


 それでも、「日本の悪口を言われたら日本人の一人として黙っていられない」という人もいるだろう。そういう人には、そもそも「日本人」とは誰かと考えてみてほしい。

 日本人と似た言葉で、「日本国民」がある。日本国民は、日本国籍を有している人のことを指す。では、日本国民と日本人は同じ意味だろうか。日本国民だが、日本人ではない人がいるのだろうか。

 もし血筋が大事だと考えるのなら、自分の先祖に日本人ではない人が一人でもいれば、日本人とはなくなるのだろうか。もし1000年以上前の先祖に渡来人がいたら、僕は日本人ではないかもしれない。


 こんなふうに、「日本人」が何かわからないと言っている僕は、日本人失格だろうか。

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