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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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96/110

96曲目 襲撃の後

 俺たちが慌ててティックへ戻っていくと、魔物たちはほぼ撃退されていた。

 最初の頃こそ、多勢に無勢よろしくだいぶ押されていたようだが、俺たちの音楽が聞こえてくるようになると段々と魔物たちの勢いが弱くなっていったらしい。

 結果として、街の中で生き残っている魔物は、スフォルたち、俺たちの眷属の七体だけになっている。


「ワウッ!」


 俺たちが戻ってきたことに気が付いたスフォルたちが、一斉に駆け寄ってくる。

 スフォルたちウルフの連中は、俺たちの前に整列して、舌を出しながら尻尾をぶんぶんと振っている。どうやら褒めてくれと言っているみたいだ。

 アニマートは少し遅れて舞い降りてくると、モニーの肩に止まっていた。結構でかいんだが、今までも何度となく止まっていたこともあって、今回もまったく問題なかった。


 ティックの街はどうやら無事だったようだが、魔物が大暴れしたことによる損害はかなり大きい。

 いくつかの工房は建物が崩れるといった被害も出ており、当面の営業はできない状態になっているようだ。

 ちなみにだが、俺たちもティックの冒険者ギルドと自警団から事情聴取を受けることになった。理由としちゃあ、俺たちが連れて帰ってきた魔物たちだな。なにせ街を襲った連中と同じ種類のやつがいるからな。怪しまれて当然っていうわけだ。

 モニーたちの話す内容だって、最初は信じてもらえなかったさ。


「魔王四天王だと?!」


 原因の一つがこれだ。

 魔王四天王といえば、たった一人でも街を余裕で滅ぼせるような存在らしい。そんなやつがやって来て、被害はほとんどなし。さらには追い返したとなれば、誰が簡単に信じられようかってわけだ。

 だがな、追い返したのは事実なんだから、こればっかりはなぁ。

 ただ、ティック出身のミクスがいてくれたおかげで、この話はどうにか信じてもらえたんだがな。言葉が乱暴なおかげか、話をしていた連中がみんな引いてたのはウケたな。

 そんなわけで、魔王四天王の一人であるディスコーを追い払ったのはいいんだが、まだまだ問題がある。

 ディスコーが残していった魔物たちだ。

 冒険者ギルドの訓練場にその魔物たちがみんな集められてんだが、予想外に数が多い。冒険者ギルドと自警団の連中がみんな集まっても対処に困っているようだった。

 中にはかなり危険な魔物も混ざっているようで、そのせいもあってか余計に困っている感じだった。

 ああ、リリアのやつが今は対処に当たっているよ。リリアはゴブリンだから、魔物の言葉や気持ちがある程度わかるからな。


 ようやく事情聴取が終わって、俺たちはその魔物たちのところへとやってきた。

 状況から察するに、まったくこっちは進んでねえみてえだな。


「ですから、この子たちはもう危険じゃないですよ」


「いや、しかしだな。どう考えたって危険種ばっかりなんだが?」


「ゴブリンのいうことなんて信じられるわけないだろうが」


「この子たちがいっているんですけど」


 おやおや、やっぱり揉めてんな。


『おう、リリア』


「あっ、みなさん」


 俺が声をかけると、リリアが勢いよく振り向いてきた。


「この人たちを説得して下さいよ。私がいくら危険がないっていっても、まったく聞く耳持ってないんですから。なんでゴブリンの私の方が話をよく聞いてるんですか」


 かなり困っているようだ。

 いやぁ、このゴブリンは人間寄りであるんだけど、ゴブリンからこう言われるってちょっくら考えた方がいいと思うぜ。


「ベス様、この子たちは本当に大丈夫でしょうか」


『ああ、心配要らねえ。ちゃんと付き合ってやれば牙をむくこたぁねえよ。とはいえ、動物園の猛獣よりも凶暴そうなやつらなんだがな』


「ど、動物……? なんですの、それ」


『こっちの世界じゃ関係ねえ、気にしないでくれ』


「は、はあ……」


 ベスが何を言っているのか分からないフォルテは、ただため息を吐くばかりだった。

 とはいえ、ちゃんと世話をしてやれば問題はないということらしいが、こいつらが満足するような飯なんか、用意してやれるものか?

 俺はそっちの方が問題に思えるぜ。

 こいつらは元々魔王四天王のディスコーの連れていた魔物だから、そこが気になる点ではあるんだが……。強さは戦ったティックの連中が身をもって知っているはずだから、一緒に街を守ってくれるなら逆に頼もしい限りだろうよ。


『お前ら、俺らがいなくても、こいつらと一緒に仲良くできるか?』


 念のために、ベスのやつが魔物たちに問いかけている。

 そしたら、魔物たちはベスの言葉にそろって頷いている。なんとも不思議な現象だな。


「みなさん、どうやらこの子たちは街のために働いてくれるみたいです。しっかりと仲良くしてあげて下さいね」


 様子を見ていたモニーが、祈りを捧げるように手を組みながら話しかけている。

 よその大陸の出身とはいえど、聖女であるモニーの言葉はかなり重かったようだ。ティックの冒険者ギルドと自警団の連中は、モニーの前に跪いていた。さすが聖女だな。


 こんな感じでいろいろあったものの、魔物の襲撃はひとまず一件落着といったところだった。

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