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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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95/110

95曲目 完全なる演奏

 いやぁ、まったくもって驚いたぜ。

 鍛冶屋にいた坊主……じゃなかった嬢ちゃんが、バイクに乗って登場するんだからよぉ。しかもそのバイク、ドラムが変形したものだっていうんだから、さらに驚きだ。

 そんなドラムが俺たちのところにやってきたかと思うと、今度はドラムセットに変身しやがった。さすが異世界、なんでもありだな、コンチクショー。

 だが、これで俺たちのバンドは久しぶりに全員勢ぞろいだ。そろった俺たちの力ってもんを、四天王とやらに見せつけてやるぜ!


 ギャーンッ!


 俺たちのサウンドが辺り一帯に響き渡る。

 リズムパートであるドラムが加わって、俺たちの演奏は、今までの比にならないくらい厚みを増していた。やっぱ、要らねえパートなんてのはねえんだよ。

 リードギター、ベースギター、キーボード、ドラム。バンドを構成する最低限の楽器が揃い、今の俺たちはノリにノッている。


「え、ええいっ! なんですか、この耳障りな音は!」


 ディスコーとか名乗った四天王が、耳を塞いで苦しんでいる。

 はっ! 俺たちの(ソウル)を理解できねえたぁ、可哀想なやつだぜ。


「お前たち、こいつらを止めるのです!」


「ガルゥッ!」


 ディスコーの手下である魔物が、苦しみながらも襲ってくる。


「ショット!」


「ギャイン!」


 だが、それもリリアの迎撃によって防がれてしまう。

 リリアもマイクを持って歌っているはずなんだが、その合間に、小さな武器を生み出す魔法を使って魔物をけん制している。

 リリアの中身は俺の妹の由利のはずなんだが、やはりこっちだとゴブリンの方に意識がだいぶ引きずられるのか、戦いにもずいぶん慣れている感じがするな。

 とはいえだ。歌いながら戦うっていうのは器用以外のなにもんでもないんだよな……。無事に向こうに戻れたら、ちょっと話を聞いてみたくなるぜ。


「ぐ、ぐぐぐ……。こ、この程度のことで、この私が……」


 完全にディスコーが俺たちの音楽で参ってしまっているようだ。

 どうやら、音楽のないこの世界だと、魔王の手下といえど音楽を理解できねえらしい。正直言って、納得できる話じゃねえが、指揮系統の中心であるこいつを追い返せば、魔物たちは烏合の衆になる。

 そうなれば、街を守っているあいつらも戦いやすくなるだろう。

 そうと決まりゃあ、俺たちのやることはこの細目眼鏡を追い返すことだ。

 さあ、俺たちの魂のこもった演奏を聞きやがれぇっ!

 俺たちは、さらに熱のこもった演奏を始める。


「ぐぬぅ……。もう、耐えきれません。お前たち、ここは任せました。こいつらを全員食いちぎってやるのですよ!」


 ディスコーは両耳をふさぎ、片膝を地面につけていた。完全に耐え切れなくなったらしく、連れてきた魔物どもに命令を出すとその場から姿を消してしまった。

 指揮官である四天王は消えた。となりゃあ、あとは魔物たちをおとなしくさせるだけだ。


『おっしゃっ! 変な眼鏡ヤローは追い返した。残った魔物どもを、俺たちの音楽でおとなしくさせてやろうぜ』


「はいっ!」


 俺の合図で、俺たちは向きを変える。ティックの街に向けて、俺たちはこれでもかという大音量で演奏を奏でている。

 にしても、ドラムを除けば電子楽器な俺たちだっていうのに、よくもまぁ、これだけでけぇ音が出せるもんだな。

 確認してみりゃあ、どうやらこの世界にあふれている魔力ってものが、電気の代わりをしてくれているらしい。まったく、これがご都合主義ってやつか。

 だが、そのおかげで、こうして遠慮なく音楽を奏でられるわけなんだがな。

 俺たちには戦闘能力はねえ。だからこそ、これで解決するしかねえんだ。


『うおおおおっ!』


 俺たちは一曲を力いっぱい演奏し終える。

 演奏終了のポーズを決めた時、メロディたちはものすごく息が上がっていた。


「あっ」


 リリアが突然声を上げる。

 その声に反応して俺たちがくるりと振り返ると、ディスコーに連れられていた魔物たちが、なんとその場でおとなしくしてしまっているじゃねえか。どいつもこいつも襲ってくる気配がない。


「どうやら、私たちの音楽を聞いて、従うことを決めてくれたようですよ」


『マジか。魔物たちの方が、俺たちの音楽を理解してくれてるってことなのかな、これは』


『なんていうんですかね、ベスのせいじゃないかな、リーダー』


『ははっ、そうかも知れねえぜ』


『まったく、捨て犬とかにも優しいですからね、ベスは』


 魔物たちが俺たちに従順になった様子を見て、ついそんなことを言い合ってしまう。


「何をくつろいでんだ。街の方を確認しに行かねえと」


 俺たちの様子を見ていたミクスが、慌てた様子で声をかけてくる。

 確かにそうだ。俺たちのところは解決したが、魔物どもはティックにも押し寄せているんだったな。


『おっしゃ。街に急ぐとしよう。お前たちもついて来い』


「ガウッ!」


 俺が呼び掛けると、ディスコーがけしかけてきた魔物たちはおとなしく返事をしていた。いや、マジで俺たちに従ってるぜ。

 ディスコーを追い払い、周囲にいた魔物たちをおとなしくさせた俺たちは、まだ魔物たちに襲われている可能性のあるティックへと、急いで戻っていった。

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