92曲目 今後の予定はどうするか
俺たちをティックまで連れてきた冒険者たちはフェルマへと戻っていった。
ドラムとその持ち主であるミクスのことがあるために、俺たちはティックへの滞在が続いている。その間、俺たちは冒険者ギルドで適当に依頼を受けて、お金を稼いでいる。
そんな中、リリアはジョッカ鍛冶工房へと向かう。作ってもらっていた武器が完成したとの報告を受けたからだ。
俺たちはリリアについて行こうとしたが、武器を受け取るだけだからと、リリアは一人で鍛冶工房へと向かっていった。
さて、そうなると俺たちは暇になった。今日は何の依頼も受けるつもりはないので、俺たちは宿の中でじっとしている。
「こういう時こそ、今後のことを話し合いませんかしら」
ちょっとふさぎ込みそうになっていたところに、フォルテがテーブルを勢い叩きながら声をかけてきた。
まあ、確かにそうだな。ドラムが加えられるかどうかは分からないが、俺たちの目的は魔王を討伐することだ。この目的がある以上は、旅を続けなければならない。
そうなると、次の目的地をいい加減に定めねえといけねえってわけだ。
それで、フォルテがここぞとばかりに出張ってきたわけだな。
フォルテは、テーブルの上にこのマイネリア大陸の地図を広げている。これは、フェルマの国王からもらったものだ。魔王討伐の話を聞いたので、役立ててくれと渡されたものだ。
「現状分っておりますのは、マイネリア大陸の北西部は未知の部分が多いということですわね」
「お話によりますと、周囲を高い山々に囲まれておりまして、中のことがよく分からないということでしたね」
「ええ。ですから、ここが魔王のいる魔族たちの拠点だと見ていいと思いますのよ」
モニーが言葉を付け加えていると、それを受けてフォルテが推測を述べているな。安直な推理だが、それはおそらく間違っちゃいねえ。
この手の話の場合、大抵の場合はそういう設定になっているからな。まあ、一種のテンプレってやつだ。
『俺もそうみて、間違いねえと思うぜ』
『ですが、問題がございますね』
俺たちの話を聞いていた、キーボのやつが口を挟んできた。予想はつくんだが、とりあえず黙って聞いておこう。
『現在いるテヌート王国から向かう場合、どのように進んだとしても他国を通ることになりますね。私たちが魔王のところに向かうとして、そこを無事に通り抜けることはできるのでしょうか』
やっぱその問題だよなぁ。
他国を通る場合、勝手に突き進んでいっていいってわけじゃねえと思うんだ。事情があるとはいえども、少なくとも国家元首には何らかの形で連絡を入れるべきだろう。
この点に関しては、モニーもフォルテも同じ意見のようだ。村人であるメロディは何にもわからないから、ずっと黙り込んだままだな。この手の話になると、完全に蚊帳の外になっちまうのはしょうがない話だ。村人だと縁がない話だからな。
「ですが、まったく国のことを気にせず進む方法もあることはございますわよ」
『そんな方法あるのか?』
フォルテが何か自信ありげに話し始めるが、よく分からねえ俺はとりあえず質問を投げかけておく。
そしたら、フォルテはマイネリア大陸の北側を指差していた。
「実はこの北側の山脈は、どこの国にも属しておりません。なおかつ、東の端はこのティックから北西に進んだところにあり、そこはテヌート王国の領地内なのですわ」
『どれどれ。……本当だな』
フォルテが地図を指しながら話をするので、俺はメロディに頼んで地図をしっかりと見させてもらう。そしたら、確かにフォルテのいう通りの状態がそこには記されていた。
しかしだ。それはとても現実的じゃない話だ。なんといっても俺たちのメインは、まだ十代の少女ばっかりなんだからな。そんながきんちょたちに、山岳の中を突き進むなんて無茶苦茶な行軍をさせられるかっていうんだよ。
となりゃあ、順当に国の中を許可取りしながら進んでいくのが一番だろう。
俺がそう言えば、フォルテもモニーも納得したような表情をしていた。
が、その時だった。
『なんだ?』
『なんかやべぇ気配がするな』
「魔物の気配ですね。急ぎませんと」
『おうっ!』
村の外側から何かを感じた俺たちは、スフォルたちを連れてすぐさま宿を飛び出していく。
「モニー様」
途中でリリアも合流する。どうやら、リリアも黒い気配を感じ取って飛び出してきたようだ。
だが、なんだろうかな。この気配は今までのものとは明らかに違う。魔物のようで魔物じゃない気配がするぞ。
スフォルたちも、かなり険しい表情で唸り声を上げている。
とにかく俺たちは、妙な気配のする場所へと一直線へと走っていく。
「あそこですね」
モニーが指を差している。
どういうわけだろうか。なぜか俺たちを待ち構えるかのように、魔物たちが待機をしていやがる。
「おっと、それ以上は進ませませんよ」
『みんな、止まれ!』
妙な声が響いたかと思えば、危険な感じがした俺はみんなを止めさせる。
俺たちの目の前に何かがぶつかったと思ったら、地面が大きく弾けていた。あぶねえ、あのまま突っ込んでいたら直撃だったぜ。
『誰だ!』
「ひっひっひっ。誰だと聞かれて、素直に教える者がいますかね」
俺たちの目の前に、眼鏡をかけた細目のおっさんが立っている。なにもんだ、こいつ。
「まあ、聞かれたからといって、答えるわけがないんです。無駄ですからね」
『なんだと?』
俺が叫ぶも、目の前のおっさんはまったく俺たちの方へと視線を向ける様子はない。
「答える理由がない。それは、この街が今日滅んでしまうからです。さあ、やっておしまいなさい!」
男が眼鏡をくいっとして命令を出すと、魔物たちが一斉に動き出していた。




