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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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85/111

85曲目 楽しみな鍛冶の街

 兄さんたちのバンド仲間であるドラムさんの可能性があるということで、私たちは一路ティックに向かっています。

 ですが、このティックは鍛冶の街らしいですね。私も地味に気になってしまっています。

 というのも、私自身、小さな武器を生み出して操るという魔法を持っているためですね。ゴブリンはナイフやダガーくらいも扱いますからね。

 私は、聖女のモニーさん、領主の娘であるフォルテさん、それと兄さんを拾ったというメロディさんの三人と同じ馬車に乗っています。御者席には、冒険者の三人がそれぞれ分かれて乗っています。

 本来ならば、御者は専門の人を雇うものでしょうが、いろいろあって私たちだけという形になっているんですよね。お金をケチったってことですかね。

 まあ、それはそれでいいでしょう。路銀はまた稼げばいいのです。

 途中の食事は、とても楽でしたね。スフォルたちが大活躍です。私も採集をするなどして貢献しましたよ。

 ティックへと向かう途中、街に寄ることはなく直接向かっているようです。とはいえ、街道から外れているということもないので、そもそも街道に街がないということでしょうかね。こっちの大陸のことは分からないので、なんともいえないところです。

 不安も付きまとってきますけれど、私たちはとにかく我慢して、馬車の旅を続けました。


 フェルマを出発して五日間が経過しました。


「おっ、ようやく見えてきましたね」


 ピッコロさんが何かを見つけたようです。

 私はひょっこりと顔を出すと、前方を見ます。

 見える範囲には、あちこちから煙が立ち上っています。その煙の下には、確かに街がありました。これが、鍛冶の街ティックですか。


「あら、リリアさん。ずいぶんと楽しそうにしていますわね」


「ふへっ?」


 フォルテさんに声をかけられて、私は思わずびっくりしてしまいます。えっと、そんなに楽しそうに見えましたかね。


「はい、そんなにお目目をキラキラさせていては、誰が見てもそう思いますよ」


「あは、あはははは~」


 私は姿勢を戻すと、照れ笑いを浮かべながら頭を擦っています。だって、興味があるんだからしょうがないですよ。

 そもそも私は、向こうの世界でも刀にバリバリ興味を持っているんですから。こっちの世界じゃ刀を見ることはないでしょうけれど、剣を鍛えているところは見てみたいというものです。できれば、私専用の短剣が欲しい。

 鍛冶の街というのなら、いろいろと期待を高めてしまうというものです。


「あははっ、そのゴブリンはずいぶんと鍛冶にお熱のようですね」


「当然です。私はこういう能力を持っていますからね」


 ピッコロさんが私を見て話しをしてきたので、私は自分の持っているスキルを見せてあげました。

 短剣を生み出して、それを自在に操るスキルです。ただ、ゴブリンの魔力は知れているので、あんまり長くはできませんけれどね。


「ほう。ずいぶんと器用なゴブリンですね。なるほど、それなら知り合いの工房を紹介しますよ。気に入ってもらえるといいですけれどね」


「うわぁ、それは楽しみですね」


 ピッコロさんの言葉に、私はつい期待をしてしまう。


「そういえば、ティックではまずどちらに向かわれるのですかね」


「私たちは冒険者ですから、最初は冒険者ギルドですね。これは冒険者にとっての義務ですから、変えられませんよ」


「分かりました」


 モニーさんの質問に、ピッコロさんがさらりと答えています。なるほど、冒険者だと最初は固定なんですね。

 ふむふむ、こちらの世界のことも一つ賢くなりました。私は持っているメモ帳にすぐに書き込みます。

 このメモ帳は、向こうの世界では有名なメーカーのものだったので、これのせいで兄さんたちにバレちゃったんですよね。できれば、自分から話してびっくりさせたかったのに。

 メモを終えた私は、メロディさんたちが背負う兄さんたちへと視線を向けてしまいます。


 さて、そんな中ですけれど、私たちはティックの街に到着します。

 街の入口では、いつものように身分証などのチェックが行われますが、馬車の中を見て門番たちが驚いています。これだけウルフがいれば、まあそうなるでしょうね。しかも、ただのウルフじゃないですから。

 でも、私を含めて従魔の証を見たことで、問題なく中へと入っていくことができました。本当にすごい。

 あっ、ちなみにですけれど、アニマートも街に到着したことを確認すると馬車の中でおとなしくしていますよ。ここまでずっと飛んでいたので、しっかりと羽を休めているようです。

 馬車は真っすぐに冒険者ギルドに向かい、到着します。


「君たちはここで待っていて下さい」


「分かりました。では、待たせていただきます」


 私たちはどうやら一緒に行かないようですね。

 ピッコロさんたち三人が、ギルドの中へと入っていきます。

 私たちはなんとも見世物状態になってますね。ちょっと中に入ったところで停まったとはいっても、通りからはよく見えますから。

 ですが、私たちはとにかく待つしかありません。

 ああ、早く戻ってきてくれないですね。

 ティックに到着して早々、私はなんとも祈る気持ちで馬車の中で待つことになったのです。

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