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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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80/110

80曲目 マイネリアの街道を行く

 スラーの街に一泊した俺たちは、翌日、ミュゼスとともに王都フェルマに向けて出発していた。

 ウルフに乗るかというように提案はしてみたものの、帰りの足がなくなるからと、ミュゼスは拒否をしてきた。結局、ミュゼスは自分の使う馬に乗って移動をしている。


「ぴるるるるる~」


 上空では、アニマートのやつが気持ちよさそうに旋回をしている。

 遊んでいるように見えるが、あれでもアニマートは周囲の警戒をしている。魔物や怪しいやつが来たらスフォルたちでも十分なのだが、アニマートは高い位置を飛んでいるので、かなり広範囲に監視の目を行き渡らせることができる。つまり、より早く対処ができるってわけだ。


「いやはや、驚きというものだよ。これだけ凶暴な魔物たちが、このようなお嬢さんたちに懐いているということが」


 俺たちの様子を見ながら、ミュゼスは信じられないといった表情を見せている。

 分からなくはねえ話だ。なにせ、俺たちだって信じられないからな。

 いや、俺たちは音楽を通じて魔物をおとなしくさせようとしていたんだが、正直ここまで懐かれるとは想定しなかったんだよな。追っ払えればそれでいいくらいの感覚だったんだよ。

 それがどうだ。気が付けばこの通り、俺たちを背中に乗せても平然としているくらいになっている。一般的な感覚からすれば、異様に感じるのは当然だろうな。


 それで、ミュゼスが俺たちについてきているのはどういうことだろうか。

 本人が言うには、手紙よりも本人が行った方が説得力があるということと、フェルマへの道案内を兼ねているとのことらしい。

 まあ、道案内してくれるのはそれはそれで助かる。俺たちはマイネリア大陸の勝手がまったく分からないんだからな。

 野宿をすることになっても、ミュゼスがだいたい取り仕切ってくれるので、俺たちはとても気が楽だ。いつもなら、メロディかリリアが頑張って料理をしてくれるくらいだからな。こういう時の知識が豊富な人物がいるというのは、とても頼もしい限りだぜ。

 どのくらい頼もしいかといえば、メロディとリリアが一生懸命に眺めてしまうくらいだ。

 リリアは現代知識があるんだから、見てなくても大丈夫なはずなんだがな。本人にこっそりと聞けば、「手本がいると違う」ということらしい。まったく、由利らしい発想だぜ。

 由利っていうのは昔っから勉強熱心だった。だから、俺が音楽やっているのも横で見ていて、自身は楽器がまったく演奏できないくせに、やたらと知識だけは豊富なんだよ。まったく、変な妹だよなぁ。

 話をしていると、「なによ」って感じの目で見てくるんだが、そういうところも由利らしい。俺は笑いたくなってくるぜ。


 それにしても、スラーを発ってからというもの、意外と日数が経っている。王都フェルマまではそんなに遠いのか。


「あの、ミュゼス様」


「なんでしょうか」


「王都フェルマまでは、あとどのくらいかかりますでしょうか」


 気になったモニーが、ミュゼスについに耐えきれなくなって詳しく聞いてしまった。

 一応ここまでは街を何個か通ってきたんだが、大陸の勝手がわからない俺たちは、本当に王都に向かっているのか疑わしくなってきていた。

 ギルドマスターだから信用できるとは思うんだが、さすがに日数がかかりすぎてしまっている。疑うのも無理ねえってもんだぜ。


「ははっ、さすがに信用ないかな。大丈夫だよ、もう少しだからね」


 ミュゼスはモニーの質問に、笑ってそう答えていた。いや、なんとも胡散くさい笑顔だな。

 だが、その疑惑も晴れる時がやってきた。


「うわぁ、大きな街……」


 メロディがつぶやいたように、俺たちの目の前には大きな街が見えてきたからな。よく見ると純白の城の姿まではっきりしてやがるぜ。

 先頭を進むミュゼスが、ぴたりと足を止める。


「ようやく着いたな。あれが、俺たちの目的地であるテヌート王国の王都フェルマだよ」


「あれが……フェルマ」


「私たちが見てきたどの都よりも大きいですね。これが、マイネリア大陸なのですか……」


 ミュゼスがさらりと紹介してくるが、フォルテもモニーも、まったくどう反応していいのか困ってるじゃねえか。メロディなんて気絶してるぞ。


「ま、まあ……東京に比べたらこんなもの、大したことないわよ……」


『おい、リリア。無理に競おうとするな!』


 リリアもショックすぎて、思わず転移者だってことが口から漏れ出てるじゃねえか。まったく、ショック受けすぎだろ。

 まったく、落ち着かせようとしても、ギターの体じゃどうにもできねえ。くそったれが!

 なんともいえない状態の俺たちに対し、ミュゼスはどういう反応をしていいのか困っているようだ。


「そろそろよろしいですかな。これ以上ここに留まっては、通行の邪魔になるからね。ひとまずは、城まで向かうとしよう」


「そ、そうですね。テヌート王国の中で自由に動けるようなるためには、まずは国王陛下に謁見しまして、許可をいただきませんとね」


「その通りだ。では、行くぞ」


「はいっ」


 確かにその通りだ。いつまでもじっとしているわけにはいかねえ。

 俺たちは残るドラムを探し出し、魔王と倒すという目的を果たさねえといけねえ。こんなところで止まっているわけにはいかねえんだ。

 俺たちは、フェルマに向けて再び移動を始める。

 マイネリア大陸で初めて訪れた王都だ。一体どういうことになるんだろうな。

 期待と不安を胸に、俺たちはその入口へとやってきた。

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