78曲目 マイネリア大陸、上陸
俺たちは、いよいよ魔王の本拠地があるとか言われる大陸マイネリアに上陸する。
だが、ラルゴという港町は、そんな話があるとは思えないくらいに活気のある港だった。
『おうおう、ずいぶんと賑やかだな』
「そうですね。ここは私たちの住むメジョールカ大陸とかなり交流のある場所ですからね。マイネリア大陸の玄関口として、ずっとこのような感じなのです」
『へえ、そうなんだな』
俺が感想を漏らしていると、モニーがわざわざ説明をしてくれる。あんまり知らないようなことを言っていた割には、詳しいよな。
俺たちが港の中を見回していると、後ろにはここまでついてきてくれたビブラートの兵士たちが整列している。
「聖女モニー、我々はここまででございます」
いきなり話しかけてきたかと思えば、どうやら別れの挨拶のようだ。
そういえば、ラルゴに到着するまでの間、トリルにいた兵士がついてきてくれたんだったな。さすがに他国ともなれば、自分たちの力が及ばないからな、これは仕方がない。
「いえ、ここまで本当にありがとうございました。シケット様によろしくお伝えください」
「はっ!」
モニーに言われた兵士たちは、俺たちに対して頭を下げていた。
俺たちは、兵士に見送られるようにして、ラルゴの街を出発していく。さすがに、ウルフ六匹と鳥の魔物一体を連れていれば、俺たちは嫌でも目立つ。
じろじろと視線を向けられる中、俺たちはラルゴの街を出ていった。
『さて、最初に向かうのはどこだっけか』
街から出たところで、俺は目的地の確認をする。船の中は魔物の襲撃の連続で落ち着かなかったからな。だから、こんなタイミングでの確認になる。
俺の質問に、モニーが答えてくれる。
「最初はフェルマですね。出航前にもお話しましたが、ラルゴを含むこの辺り一帯を治める国の王都です。ここで話を通しておけば、後々の行動が楽になると思われますからね」
『じゃ、決まりだな。フェルマに向けて出発だ』
「おーっ!」
最初の目的地が決まったことで、俺たちはどんどんとラルゴから離れていく。
街道沿いに進んでいると、あまり離れていないところで大きな街を見つける。まだ明るいのだが、このマイネリア大陸での勝手がわからない。
俺たちは情報収集を兼ねて、最初に見つけた街でまずは休むことにした。
俺たちがラルゴを出て最初にやってきた街は、テヌート王国のスラーという街らしい。港町ラルゴと王都フェルマを結ぶ街道の中継地点となる街の一つなんだとか。なるほど、それで規模がでけえというわけか。
街の入口までやってきた時は、当然ながら俺たちは驚かれてしまった。そりゃ、グレイウルフ一匹とブラックウルフ五匹、それと鳥型の魔物の一匹にゴブリンまで連れているんだからな。しかも、それを連れているのが幼い少女三人だからなおさらだ。
だが、モニーが聖女だと分かれば、スラーの街の門番は態度が変わってしまった。聖女ならば、魔物すらも手懐けて当然という考えらしい。
いやまぁ、極端っちゃあ極端だが、警戒されて武器を向けられるよりはよっぽどマシか。それに、従魔登録もよく知っているみたいで、実に街の中に入るのはスムーズだった。
ただ、最初に冒険者ギルドに寄ってくれとは言われたな。やはり、魔物のこととなると冒険者ギルドということなのだろう。
「ご忠告、ありがとうございますわ。それではお聞きいたしますが、冒険者ギルドにはどのように向かえばよろしいのかしら」
門番から言われたフォルテは、冒険者ギルドの位置を聞いている。
それもそうだ。俺たちはこのスラーに初めてやってきたんだ。街の構造なんてのも、それぞれの施設の場所もまったく分かりやしねえ。となれば、一番最初に会った門番に聞くのが一番だよな。
質問を受けた門番は、丁寧に冒険者ギルドの位置を教えてくれた。
フォルテたちはお礼を言って、俺たちは街の中へと入っていく。
冒険者ギルドの位置は、門を入ってまっすぐ進んだ噴水のある広場の角にあるらしい。
俺たちはスフォルたちに乗って移動していく。
しばらく進んでいると、確かに噴水があった。となれば、近くには冒険者ギルドがあるはずだ。
俺たちは立ち止まって辺りをきょろきょろとしている。
「やぁ、何かお困りかな?」
魔物を連れた三人の少女が辺りを見回しているのだから、当然目立つ。だが、魔物がいるので誰も近付かないと思っていたら、男が怖がらずに声をかけてきた。服装からするに、冒険者で間違いないだろう。
「あの、冒険者ギルドに行きたいのですが……。この辺りだと伺ったのですが、分かりますでしょうか」
かけられた声にモニーが反応している。
「ああ、冒険者ギルドね。それならこっちだ。ついてきてくれ」
知らない人物ではあるが、今は頼れる人物もいない。俺たちはやむなく、声をかけてきた男の後をついて行く。
しばらく進んでいくと、ひとつの大きな建物へと到着する。入口には、冒険者ギルドを示す看板が掲げられている。どうやら、本当にちゃんと案内してくれたようだ。
「それじゃ、俺はこれで。中に入ったら正面の受付に行けばいいからね」
「はい、ありがとうございます」
冒険者ギルドの入口で、俺たちは男性と別れる。
このスラーの冒険者ギルドから、俺たちのマイネリア大陸での第一歩を踏み出すことになる。
俺たちは互いに顔を見合わせると、冒険者ギルドの中へと足を踏み入れた。




