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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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104/116

104曲目 そろって出発だ

 俺たちが食事を終えて外に出ると、ミュゼスのやつが立っていた。


「おやおや、ちょうどいいところにいたね」


「なんでしょうか、ミュゼス様」


 なんとも気さくな感じで声をかけてくるミュゼスだが、俺たちの方は警戒をしている。フォルテの態度にもよく現れている。

 俺たちから露骨に警戒されたミュゼスは、なんとも引きつった笑みを浮かべている。まったく、なんだっていうんだよ。


「困ったものですな、そのように警戒されては。いい情報を持ってきたというのにですね」


「いい情報?」


 ミュゼスが小さく笑みを浮かべながら話してくる。メロディがきょとんとした顔で反応している。

 俺たちの反応を見たミュゼスは、体を翻し、顔だけ俺たちの方へと向けて声をかけてくる。


「まあ、詳しい話は現地に着いてからですよ」


 なんだかよく分からないが、とりあえず俺たちはミュゼスたちについて行くことにした。


 俺たちがミュゼスについてきて到着した場所は、えっとなんて言ったっけかここ。


「まあ、ジョッカ鍛冶工房ですわね」


 おっ、そうそうそれ。いやぁいけねえな。音楽以外のことだとつい忘れっぽくていけねえや。

 俺がつい口からぽろっとこぼしてしまうと、ベスとキーボからなにやら視線を感じたな。まったく、しょうがねえだろ、苦手なんだからよ。


「兄さんってば……」


 くそっ、リリアからもこれかよ。悪かったな、コンチクショー!

 とまぁ、なんだかんだといいつつ、俺たちはジョッカ鍛冶工房の中へと入っていく。


 鍛冶工房の中では、俺たちが来るのを待ち構えていたのか、ひげ面の筋肉のおっさんと、そのむす……めのミクスが立っていた。

 いけねぇ、相変わらず赤い髪を短く、それも逆立てているせいで男にしか見えやしねえ。名前自体も男女どっちでもいけるからな。頭が混乱するぜ。


「マジーンさん、その様子ですと、決意が固まったようですね」


「ああ、こいつには一度外を経験させた方がいいと思ったからよ。なんでしたっけか、その聖器とかいうやつを持っているんだったら、ちょうどいい機会ってもんだからよ」


「……親父」


 マジーンと言われたおっさんは、ミクスを見ながら語りかけるように喋っている。ミクスもなんかしんみりした表情を見せている。


「お前は細腕だが、腕は俺を超える可能性がある。外には未知の金属もあるだろうし、いろいろと勉強してこい」


「親父がそこまで言うんだったら、俺、行ってくるぜ」


「うむ」


 ミクスが少し涙を浮かべながら返事をすると、マジーンっておっさんは、ミクスの頭に手を置いて……わしゃわしゃと髪の毛をまぜくり始めた。


「親父、あんまり強くやるんじゃねえ、はげる!」


「がっはっはっはっはっ!」


 ミクスに怒られて、なぜか大声で笑い始めるおっさんだった。


『おう、俺様がいるんだ。動けやしねえが、ミクスの面倒はしっかり見てやる。安心してくれ』


『ドラム、ミクスにゃ聞こえるが、そのおっさんには聞こえねえぜ』


『なんだと?!』


 ドラムが宣言するも、俺が悲しい事実をぶつけてやると驚いていた。


『くそう、かっこよく決めたつもりが、空振りかよ。チックショーッ!』


 どっかの芸人みたいに叫んでんじゃねえよ。

 心配するな、お前の言ったことは、誰かが伝えてくれるからよ。


「おい、ミクスが笑ってるが、どうしたんだ?」


 やっぱり、状況が分かんなくてマジーンのおっさんが困っているぜ。ミュゼスは置物のように黙り込んでいて、まったく反応しない。おいおい、仲介役!


「ドラムさんが、ミクスさんをお守りすると意気込んでいらっしゃいます。聖器のみなさんの声は、使い手である私たちと、魔物のリリアさんにしか聞こえませんので、盛大な空振りに悲しんでいらっしゃるみたいです」


 おいおい、モニー。全部ばらしてやんなよ。見ろ、ドラムがまた恥ずかしがってんじゃねえか。あんまりいじってやんな。

 俺がモニーにツッコミを入れている間に、ドラムにマジーンのおっさんが近付いていく。


「そうか。じゃあ、お前さんに娘のことを任せるとしようか」


『おう、任せてくれ!』


 マジーンのおっさんに期待されたことが嬉しかったのか、ドラムの奴の機嫌はすっかり直ってやがるな。現金なこった。

 ミクスとドラムを仲間に加えた俺たちは、マジーンのおっさんに手を振りながら別れを告げる。

 ティックの外へと出た俺たちは、ミュゼスと改めて向き合う。


「王弟として、貴殿らに頼みごとがある」


 ティックを出たところで、ミュゼスは改めて俺たちに声をかけてくる。頼みごととは何なのか、俺たちは緊張に身構えてしまう。


「四天王が出てきたということは、これからの魔族たちの行動は激しさを増すだろう。テヌート国王の弟として、魔王の討伐を依頼したい。王国内各所には協力を惜しまないように通達を出しておこう。俺たちの方でも魔族の対処は行うが、君たちほどの力はない可能性がある。君たちだけが頼みの綱なのだ」


 ミュゼスはそう告げた最後に、俺たちに向けて頭を下げてきた。王族なのだから、モニーとは対等くらいではあるが、基本的には立場が上の人間。頭を下げるなんてことはまずありえない話だ。

 つまり、ミュゼスとしては俺たちを頼りにしているということだ。ならば、それに応えないというのは男が廃るってもんよな。

 結論から言えば、俺たちはその依頼を快く引き受けた。すでにメジョールカ大陸の国王たちから命令が出ているってこともあるしな。断る理由がありゃしねえ。

 それどころか、魔王相手に俺たちの音楽をぶつけられるとなりゃあ、やる気が高まってくるってもんよ。


「ありがとう。協力は惜しまないゆえ、必要なことあれば何でも申し付けてくれ」


「はい、ありがとうございます」


 ミュゼスとの話を終えた俺たちは、次の目的地へと向けて出発することになる。

 近づきつつある魔王との戦いに向け、俺たちは武者震いが止まらなくなったぜ。

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