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新しい3人の関係


「鈴姉、どうして俺とあいつらを付き合わせようと思ったの?」

二人が帰ってから俺はどうしても聞きたかったことを鈴姉に尋ねた。やっぱ言われて急に納得できるもんじゃない。


「侑ちゃんはどうして彼女たちが嫌なの?」


「昨日、彼女達が喧嘩してた話をしたでしょ… そんときに思いっきりあの二人にとばっちりを食らってたから…」


「今でもそうなの?」


「今はそういうことないけど…」


「それは侑ちゃんが彼女たちにとった行動が彼女達を変えたからでしょ?」


「そうかもしんないけど、俺そんなつもりでやったんじゃないし…」


「侑ちゃん、あなたがどういう目的で彼女たちに何をしたのか知らないけどね、行動にはその人の気持ちが表れるものなんだよ。それを相手は感じ取る、相手が望む行動をしてあげれば相手は満足する、でもそれだけじゃなく、そこから好意が生まれてくることもある、特に異性の場合はそこから恋心も生まれるんだよ」


「俺はあいつらが恐ろしいからなだめただけで…」


「侑ちゃん、はっきり言うね。あなたには“恋愛”という感情がないのよ。奇麗な女の子を見てもいいなと思うだけ、その子をどうしたいって思ったことある?」


「そんなことないよ、俺だって…」


「それじゃ、具体的にどうしたいか言ってみて」


「その子と喋ったりして、楽しんで…」


「その先は?」


「上手くいったら告白して付き合ってもらって…」


「付き合って何をするの?」


「一緒に遊んだり、どっかに行ったりとかして…」


「その先は?」


「その先って… 何? それで終わりじゃないの?」


「その先がないのならただの女友達だよ。恋人じゃないよ」


鈴女は何となく感じていた。侑汰は何でも鈴女の言うことを聞いていれば間違いはないと思い込んでいる。普通のことに関してだったらそれで間違いはないが、恋愛に関してのみそうはいかない。


侑汰は自分の彼女ができた場合、その彼女との接し方も姉である鈴女の場合と同じでよいと思っている。姉との関係ではいくら仲が良くても最後まで行くはずがない。だから侑汰にたとえ彼女ができてもその関係は必ず途中で止まることになる。


「侑ちゃん、本当に人を好きになるってことは気持ちがどんどん変わっていくことなの。手をつなぎたい、抱きしめたいってどんどん感情が大きくなってまだその先に行きたいと思うものなんだよ」


「そんなの言われたって分かんないし…」


「だから彼女達と付き合いながら学んでいけばいいのよ。彼女たちは本当にあなたのことが好きだよ」


「でも、今までの態度が…」


「そんな彼女たちに自分を好きにさせたのがあなたでしょ? 知らずにやったと言ってもこれが事実だよ。だからあなたも彼女達とちゃんと向き合わないと…」


「……」


「彼女達は凄く反省してたよ。きっと今までとは変わるはずだから。一度、女の子からの好意を正面から向き合って受け止めなさい。それが侑ちゃんに必要な体験になるから…」


「でも俺、付き合うとかよく分からないし…」


「付き合うって言っても、仲のいい女の子の友達って思えばいいよ。とりあえず今は難しく考えないで」


「だったら結構一緒にいる友達って思えばいいんだよね?」


「それでいいよ」


こうして侑汰は鈴女との話で二人との付き合いを始めることにした。とりあえず少し仲のいい程度の友達として。


ただ、朱莉や沙奈江にもそれぞれ思惑はある。当然みんなが思ってることはそれぞれ異なる。ゆえにこれから何かと問題も起こってくるが、鈴女はそのことに期待していた。問題を解決するごとに侑汰は成長していけると…



次の日、晴れて3人カップル?(公認二股)となって初めての登校、特に何が変わるわけでもなく侑汰は学校に行く。


学校へ向かう途中、侑汰はこれから朱莉や沙奈江とどうやっていこうかと考えていた。

俺、学校であの二人とどうすればいいんだろ? 姉ちゃんは友達って感じでいいっていってたよな… そう言えばあいつらって俺の事好きって言ってたな… だったら取り敢えずあの二人から虐められることは無いよな。あと、変な連携もやってこなくなると思うし… 


あれ? もしかして俺に対する今までの変な行動が全部なくなる? あいつらの望み通り一応、俺はあいつらと付き合ってるわけだし… ってことは、問題が全部なくなった。 もうあいつらに変な気を使わなくていいんだよね?

これって何かいいかも…


確かに「今までの問題」は無くなった。だが「新な問題」はこれから発生する。侑汰は恋愛を全く分かってない。


侑汰がクラスに到着し、いつも通りの朝が始まる。


「おはよう、侑汰君」

「おはよう、朱莉」

「侑汰君…」(あれ?)

「ん、どうしたの?」

「ううん、何でもない」

「おはよう、侑汰」

「おはよう、沙奈江」

「……」(あら?)

「どうしたの、沙奈江」


朱莉と沙奈江は不自然そうな表情で侑汰を見つめる。それを見た侑汰は「???」こんな感じ…

侑汰の元気はすこぶる良い。自然と笑顔になり上機嫌である。ただ、朱莉と沙奈江は微妙な感じ…


1限目の授業が始まったが、侑汰は妙に視線を感じる。ふと左を見てみると朱莉が目いっぱい可愛い顔をしてうっとり侑汰を見ていた。その愛らしい顔を見た侑汰は… 普通に顔を黒板の方へ向けていった。照れることも笑顔になることもなく、何事もなかったように…


2限目、今度はじっと侑汰を見つめる沙奈江と目が合った… 侑汰は普通に黒板の方へ視線を戻した。表情に変化なし。その後も朱莉と沙奈江の必死のアピールは続くが、侑汰の反応は全くなし… 


そんな感じでお昼休みがやってきた。


「朱莉、沙奈江、弁当食べよう」


朱莉と沙奈江の表情に元気がないのと対照的に妙に元気な侑汰から声がかかった。しかも侑汰から声をかけるのも珍しい。


今日もいつものように亮佑を入れて4人で弁当を食べる。侑汰はやたら楽しそうに喋る… 亮佑と。

朱莉と沙奈江は妙に元気なくおとなしい。いつもと反対の状況となっている。


その後も同じような感じで授業はすべて終了した。

今日一日を振り返って侑汰は思った。

いや~、付き合うって最高だな~ 何にもあの二人に気を使わなくていいし… 俺の事好きだから文句言ってこないの分かってるし。こんなのだったら、もっと早くから付き合うんだったな~ 久しぶりに気分は爽快だ!


そのころ、隣でいる朱莉と沙奈江は… 意識を失いかけてた。


「朱莉~ 生きてる? 私はもう電池切れ…」

「沙奈江~ 私なんて5時間目で電池切れてたよ~」

「充電が必要だよね…」

「直ぐにでもね…」


侑汰からの“優しさ”というエネルギーを供給されなくなった朱莉と紗奈江は活動限界を迎えてた。


「私達 付き合ってるんだよね?」

「私もそう思ってるけど… これはないよね」

「鈴女さんに侑汰に恋愛を教えてあげてって言われたよね?」

「言われた 言われた…」

「やっぱ教育的指導って必要だよね…」

「今後の事もあるしね… それじゃ、実行だね」


「朱莉、沙奈江、一緒に帰るぞ~」

妙に明るい表情で侑汰は二人に言った。その言葉を聞いて朱莉と沙奈江の体はプルプルと震えている。


「一緒に“行こうね”」

「ああ、一緒に“帰ろう”」

「それじゃ、“行き”ましょうか」


3人は一緒に歩き始めた。ただし向かうのは家ではなく「学校の屋上」


侑汰は正座をさせられ二人から説教を受ける。彼氏たる者は彼女のことを思って… いつも思いやりを持って… そして最後に二人息を合わせていった。


「「もっと優しくして!」」


侑汰は呆然と聞いていたが、彼女たちの言ってることを行動に移すと… 以前この二人を怒らせないためにとっていた行動そのものだと気付いた。侑汰は初めて少しわかったような気がしてきた。


俺のとってた行動って… そう言う意味になるの?


侑汰という人物は人の感情を読み取ることに関しては高い能力を持つが、こと恋愛に関してはガラクタ以下の理解力である。特に女の子が男をどんな理由で好きになるのか全く分かってない。


朱莉と紗奈江は少し眩暈がしてきたが、頑張るしかない。そんな侑汰に恋愛を分からせるのが鈴女との約束である。


彼女たちに説教された侑汰は仕方なく朱莉と紗奈江ににこやかな表情でそれぞれ優しい言葉をかけてやる。当然彼女達への褒め言葉も忘れない…


侑汰に優しくされた彼女たちは… 怒っていた表情は… 一気にデレデレに変化していく。

はっきり言って、この二人もポンコツである。優しくされるのに弱すぎる…


これからこの3人による、よく分からない恋愛講座が始まっていく。


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