作戦開始
陣形は戦において重要なもの。
時には陣形によって生死を左右させることだってある。
治が今やっていることは、どの陣形を使うかを決め、敵の動きに合わせて采配をふるということ。
司令塔となった治は、決して反乱を起こすことのないロボット兵という司令塔としてはありがたいことこの上ない特性を持った兵士たちをスマホ片手に操作して、敵を無力化していくという対局。
『未来予測』でみた通りに突っ込んできた敵兵たちを空から見下ろしながらドローンとロボットに指令をだす。
楓と琴美、ルピナスが敵兵の幹部を軍団から離脱させたのを確認すると、迎え撃つ体勢を整えたロボットをぶつけにかかる。
敵は魚鱗の陣。中心が前方に突き出すよう、三角形にされたこの構えは戦端が狭いという理由で相手を一気に突き崩すのに効果を発揮する攻撃向けの陣。戦力の差が縮まってきたことや先ほどの楓と琴美の攻撃が敵を焦らせたのか、ただ単にバカなのか。この攻撃はこちらの兵でも定石通りにすれば倒せる。
治はスマホをさらに操作し、自陣を敵に対して左右Vの字になるようにする。
鶴翼の陣。これは最も基本的な陣形の一つで、上から見るとV字型になっているのが特徴の陣。
鶴が翼を広げた状態に似ていることから名付けられ、特徴は敵の突進などに強いというところにある。
敵が突っ込んでくる。治は敵と衝突したのを見ると、すぐに指示を出す。
鶴の翼にあたる部分を広げ、敵軍を包み込むような状態にする。
魚鱗の陣の弱点は左右の攻撃に弱いところ。が、兵士が散らばらずに密集しているため、消耗戦にするのはまずい。
そこで使うのがおなじみのあの花。『赤鈴蘭』である。
『テイムカード』を改造して作った持ち運びのできる畑。そこで大量栽培されているそれを潰し、眠り薬を抽出する。とても気化しやすいその薬を温度による状態変化がない状態にしておいてから抽出することで手に入れた大量の液体を積んだドローン。菫さんが畑の肥料散布用に作っていた機構を利用して、超強力な眠り薬を散布する。
ドローンは敵の上空を外側から内側に向かって飛んでいく。それに合わせてバタバタと音を立てて倒れていく敵兵。
やがて最後の一人が倒れるとロボットたちは敵の武器を回収し、拘束を始める。
すぐに終わったな……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇視点楓
治くんの指揮のもと私たちは行動を開始した。
私の役目は幹部を一人倒すこと。これも事前に相談して、私は白髪の渋い感じのおじさんを担当する。
私たちは正面から何のひねりもなく突っ込んでくる兵士たちからターゲットを見つけて攻撃する。
「なッ!!」
「ごめんなさいね。リーダーの命令なの。」
私は治くんの神気で強化した足を使って一気に目標に迫ると、体をひねって回し蹴りをする。
敵は神気で強化した私の動きにギリギリついてきた。闘気術らしきもので強化した腕をクロスさせて私の蹴りを受け止める。いくら本気でやってないからといっても、神気で強化した私の蹴りを受け止めた。これは結構すごい人に当たったみたい。
「リーダーというのはあそこで馬にまたがって宙に浮いてるやつか?」
「どうだろうね?もしかしたら私かもよ?」
「その目、その口の動き。やはりあいつがリーダーみたいだな。」
「どうだろうね?」
私は平静を装う。正直この人の『目』はすごいと思ってしまった。この人はきっと相当な実践を積んでいるんだと思う。
「我は本来魔術師なんだがな。ここでは魔術が使えない。だが、お主には人間には扱えないレベルの煌めいた魔力がまとわりついているのが見える。これはフェアではない。」
「へえ、『魔力視』でも持ってるの?残念ながらこれは魔力じゃないけどね。」
なるほど。さっき攻撃を防いだけど、あれも専門分野ではなかったわけだ。
「戦うのなら、我も魔術が使える状態で戦いたい。その状態の我に勝ったら何か一つ言うことを聞いてやろう。どうだ?悪くはないだろ?」
「それをいったら私は弓使いだから接近戦はだいぶ不利だけど……まあいいや、いいよ。結界の外で戦おう。」
「決まりじゃな。じゃあちょっと競争でもするか?」
「いいね、勝った方が試合を好きな時に初めていいことにする?」
「いいのか?我が勝つぞ。」
「わかんないよ?」
言い終わると同時。いや、言い終わる前に二人は走り始める。
楓は神気をまとった足で。白髪のおじさんは普通に筋力だけで。
驚いたことに、そのおじさんは神気50%を使った強化を足に施した楓に負けるとも劣らず、ぴったりついてきている。
知覚できるギリギリの速度で二つの影が森の中を走り去った。
ブックマーク一件いただきました!!
感想や評価もぜひ!!
今回書いた陣形のいろいろは表面的に調べただけなので、間違いがあるかもしれません。




