SAVE30 すてきなおくりもの?
ふあああ。
良く寝た!!
さあ、今日も頑張ってレベルをあげるぞっ!!
って、ラナ君、まだぐっすり寝てるし。
うーん可愛いな。えい、つんつん♪
ふふふ、やっぱ寝てる。こりゃ、暫く寝てるな、これ。
というわけで、私は寝るのも勿体無いので起きてみました。
……あれ? これなんだろ?
そして、数時間後。
「ふああああ……」
くうっと伸びをして、ラナが起きた。
気づけば隣は空いている。どうやら、先に起きてしまったようだ。
時間を確認して、まだ朝の時間なのにほっとする。
きっと1階の食堂に行けば、みんなと会えるはずだ。
身支度を整えて、もう一度、伸びをした。
こんこん。
「どうぞー」
入ってきたのは。
「ぱぱ、おきた?」
へ?
思わず、扉の前を凝視するラナ。
そこには、愛らしいちっちゃい少女が立っていた。年は3歳くらいだろうか?
ふわふわの金髪で、大きく愛らしいオッドアイの瞳。そんな子がにこっと微笑んだ。
!?
こ、これは……も、もしかしていや、もしかしなくても……!!?
一方その頃、食堂では。
「まさか、サナ嬢が子供を連れて、ここに現われるとは……」
驚いたよとカインさんは、先ほどの状況を思い出しつつ、頭を掻いていた。
そう。
びっくりする話ですが、私とラナ君の間に、子供が出来ちゃいました!!
どうやらね、結婚した翌日から、子供が作れちゃうらしいのです。
で、さっき起きたときに、そのウインドウが出てきてたから、さっそく作っちゃいました! てへ。
いやあ、可愛いね! NPCだから、いろいろと制約がつくんだけど、こうして、ちっちゃい子がいるのは、すごく嬉しい。可愛いし!
あ、ついでに私似にしてみました! 好きなように顔とか弄られるんだけど、まあ、うちの子だし、どうせラナ君は、私に任せるなんていうだろうから、先に作って驚かせよう作戦なのだ!!
「そういえば……さっき言ってたけど、サナちゃんからアタックしたっての、ホント?」
セレさんが確かめるように尋ねる。
私は飲んでいたスチームミルクを飲み干してから。
「うん、そうだよ。なんかね、ぴーんと来ちゃった」
そうなのだ、ラナ君を電車で見つけて、思わず後をつけて、その場で告白しちゃったのだ。
なのに、ラナ君ったら、驚いた顔をしつつも、にこって微笑んでそれを受けてくれた。
だからこそ、今、こうして、一緒にいられるのだ。
「ふふふ、ちょっと幸せー」
いや、すっごく幸せかもしれない!
今までずっと離れてたし、やっとずっと一緒にいられるって思ったら、つい、頬がゆるんじゃう。
だからこそ、今回の『子供』も嬉しい『おくりもの』。
あ、ちなみに子供は、教えた言葉だけ、発するようになってるらしい。
なので、今回は「ぱぱ、おきた?」を登録してみた。
その後、ラナ君のところへ行くように指示をしたのだ。
きっともうすぐ、驚いたラナ君がやってくるはずだ。
どたーん、ばたーんっ!!
あ、部屋から出てきたのかな?
ばたばたばたばたんっ!!
急いで階段を駆け下りて……。
「さ、ささささささ、さ、サナっ!!」
うちの子を小脇に抱えて、ぴゅーんと、ここまでやってきたのは、やっぱりラナ君。
「おはよーラナ君」
「おはよー……じゃないっ!! こここ、この子、もももも、もしかしてっ!!」
「うん、うちの子だよ。名前はまゆちゃん。まゆたんって呼んであげてね」
「まゆたんか、うん覚えた。……じゃなくって、そうじゃなくってね!?」
「うち似にしてみたよー。あ、目の色はラナ君似ね。で、この子も魔術師。いやあ、私の能力を引き継がせたら、今習得してる魔法、全部使えるようになるんだね。びっくりー」
「いや、そうじゃなくって……」
「しかも可愛くって、もうもうたまんないって感じだよね!」
「………」
「ぱぱ、おきた?」
がくっ。
たぶん、うちのまゆちゃんが、追い討ちをかましたんだと思う。
「こういうのって、後で決めない?」
「だって、ラナ君の驚く顔、見たかったし♪」
「……まあ、いっか」
ちょっと疲れた感じだけど、でもまあ、最後は喜んでくれて。
「ところでさ、どうしてまゆちゃん?」
ラナ君が食堂のマスターに朝食ランチを頼んで、私に尋ねた。
「うん、さなぎから蝶になるように可愛い子になって欲しいなって思って」
「だったら、まゆじゃなくて、さなぎちゃんじゃない? まゆだったら、ガになっちゃうよ?」
!!?
なんですとっ!!
キッドの突っ込みに、私はさっと青くなった。うん、ガはいかん。
「いや、でももう決めちゃったし、まゆちゃんでも可愛いと思うよ。ガになることは、この際置いといて」
ありがとう、ラナ君。ちょっとほっとした。
そうそう、可愛い名前ってことにしよう!! そうしよう!!
というわけで、ライジングサンに、もう1人、新たな仲間が加わりました!!
あ、レベル1だけどね!




