魔王編③
「脳天気なお前らに教えてやるよ」
神速のアキレスは語り出す。
「教会の勇者候補召喚てのはクソだ。
10回やって1回成功するかどうかの賭け。
失敗したらGATEは残り、そこからは魔物が出てくる。
魔物てのは
異世界から来て、人の形を保てなかった者だ。
人間の形を保てた者が
たまたま勇者候補と呼ばれる。
ひと時の力を得るために
死体を使い、何百何千の命を犠牲にした上で
誕生するのが勇者候補だ。
そして
人間の形を保てるのは
数年だけだ。
わかるか?
意味が?」
魔物がひとの形を保てなかった者の姿……
うすうす気づいてはいたが
どれだけの数の魔物が
この世界に来ていたというんだ……。
あれがすべて、
どこかの異世界から来た人間……?
吐き気がする。
最悪の気分だ。
そして
寿命の短い勇者候補の末路とは……
「はっきり言ってやるよ。
今お前らが倒したその魔王も
元勇者候補として召喚された人間なんだよ!」
ーーー最悪だ。
勇者候補は結局魔物になり、
そして魔王と呼ばれる存在になる。
この世の最悪のシナリオ。
真実を知ってしまった。
「魔王を倒しても倒した勇者候補がまた魔王になる。
延々とこの地獄は続くんだよ。
俺はこの地獄の構図をこの魔王から聞いた。
戦う意味を見失った俺は魔王討伐に来た
自分の率いる軍隊全員を殺してみせた。
最高の気分だったよ。
クズ人間共を殺すのと
クズ人間になれなかった魔物たちを殺すのも
何も変わらなかった。
心底どうでも良くなったよ。
俺はそれからどうやって人間共を
殺して回るか
それだけを考えて今に至る。
どうだ剣聖。
いやたまたま人間になれただけの異世界人さんよ。」
(シュガー……私……)
ガタガタ震える私に寄り添うシュガー。
(落ち着け!聞く耳を持つな!)
「ははは!魔物になったら殺すのか?
魔王になったら殺すのか?
それとも勇者候補の時点で殺してしまおうか?
ははは!
結果は同じだなぁ!!
クソ共!!!!」
さすがのシンシアも、言葉を失っていたーーー
かける言葉が見当たらない。
「……くっ!」
「さあ?どうするんだ?
お前らが倒すべき相手は誰だ?」
(うう……)
吐きそうになるのを堪えるのでもう私は精一杯だった。
(……ナミ!!しっかりしろ!!)
唯一答えたのはスカーレットだった……
「いい加減にしろアキレス!!
言いたいことはそれだけか!!」
「ぁあ?」
「自分の不幸自慢に酔いしれやがって……
お前がどれだけ不幸だろうが!
世の中がどれだけ不条理だろうが!
お前のしたことはただの殺人だ!」
「……!剣聖……てめぇ!」
「みんな何かしらの想いを抱き
生きている!
それでも!
みんな自分の出来ることを1つずつ!
子供から大人まで!
どの国のどんな種族の者も!
歯を食いしばって生きているんだ!!
お前だけが辛いんじゃない!!
甘えるのもいい加減にしろ!!」
スカーレット……!!
「ははは!お前は俺の仲間にしてやろうと思ったんだがな?
とんだ見込み違いだったようだな!」
「仲間だと?ふざけるな
貴様の仲間など死んでもゴメンだ!」
「……そうか、交渉決裂だな
お前、魔王討伐へ選ばれたのは
俺だったのを忘れていないか?
俺のスキル【神速】の成長速度のことを忘れていないか?
あの時点ですでに俺はお前を超えていた。
さらに、あれからどれだけの月日が
経っていると思っているんだ?
俺があれから成長していないとでも思っているのか?
お前が俺に勝てる道理はないぞ剣聖。」
「黙れ貴様はただのクソだ」
シンシアが横から入る
「……よく言いましたね剣聖。
捉えますか?殺しますか?」
「絶対殺します!S級!力を貸してください!」
「……ええ。もちろん。私もあの男を
殺したくてうずうずしているのでございます!」
「……ははは!やってみろよ。
やれるもんならな!」
神速のアキレス!
こいつだけは
絶対許せない!!
これがラストバトルだ!
神速のアキレスVS
剣聖スカーレット&心眼のシンシア!
世界の運命はこの戦いに左右される!!
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