愛憎の輪舞編④
「ギョきゅぴっ!!」
ヴィオラ様に踏みつけられたその妖精は
とても可哀想な悲鳴をあげた。
「……いますぐ好きを煽るのをやめさせなさい」
「きゅぴ〜!!増幅しかできないきゅぴ!!」
「言うことを聞きなさい」
ミシミシ……
「きゅぴ〜!!……こ、これは♪
【踏みつけて見下してさしあげますわのポーズ】
きゅぴ〜☆」
……なんか喜び出したぞこいつ。
「ヴィオラ、まぁ落ち着け。
こいつらに善悪の概念はない。
良いと思って増幅させとるだけじゃし、
本来なら力が強くなりすぎないように
勝手に分散して抑えるところ、
結界のせいで滞留しとるだけじゃ。」
「恋を成就させるきゅぴっ♪」
「……させなくて結構ですわ」
ミシミシ……
「ギョきゅぴ!!!」
ヴィオラ様ってああいうところあるよね。
ちょっと頭悪そうなやつは
殴ってさっさと終わらせようとするクセ……。
「きゃきゃきゃ!妖精が潰れそうでありんす〜♪」
……。
リーベを残念な目で見つめてしまう私。
ヴィオラ様のお御足から逃れたキュピリンは
輝く笑顔で続ける。
「街中がヴィオラ様好き好き大好きで
溢れているきゅぴ♪」
私たちで交渉するしかない。
「キュピリン、力を貸してくれないかな?
独占欲や嫉妬で争いになってるのよ」
「好き好き大好きだめきゅぴか?」
「好きな人をみんなで支えて応援してほしいの。
それはつまり、恋より素敵な、愛よ」
「愛!とても素敵きゅぴ〜♪
キュピリンは恋のキューピットをやめて
愛の伝道師になるきゅぴ〜♪」
なんとかなりそうだな……。
私とルチアでなんとかこの妖精を説得し、
推し活のすゝめをみんなに普及してもらう作戦に。
「では、明日から1日ずつ結界を解きます。
GATEから魔物が発生したら即処分できるように
騎士団をGATE前に配置させなさい。」
結果、キュピリンは上手く推し活の考え方を
領民に普及することに成功し、
紅派暴徒化事件は無事解決を迎えることになる。
「かかっ!解決させてやったのじゃ。
しばらく酒を遠慮なく貰うぞ」
……元々遠慮なんかしてなかったろうに。
一昨日はエルデシュタインの街の結界を解除。
ここにはGATEがないので特に問題なし。
暴徒化した紅派信者の鎮圧に成功。
昨日は霊峰の結界を解除。
魔物が数匹出てきたそうだが
騎士団が即対応。こちらも問題なし。
今日は魔法都市の結界を解除。
例の教会跡地のGATEがあるのだけど
ここから魔物が出てきても
退治してしまえば
今回の件は解決かな。
「ルチア〜なんとかなってよかったね〜」
「うんうん。こんな美味しい儲け話を
やめろって言われたらどうしようかと思ってたよ〜♪」
「推し活ブロマイド続けれそうだね〜」
「良かった良かった」
「お主も悪よのう」
「あはは♪」
金の亡者ナミと詐欺師ルチアの
名コンビの活躍は
まだまだ続けれそうでよかった。
「おい、従者共。たまには妾の酒に付き合え!」
「はぁい♪」
「仕方ないなぁ♪
アビゲイル様に言われたら
私たち断れないよね〜」
浮かれて酒盛りを始める私達。
「うへへ〜セシル様のワイン最高〜♪」
「やんややんや」
「まったく……ほどほどにしなさいよ二人共。」
ヴィオラ様も諦め顔で私達を見る。
「魔法都市から使い魔が来てるでありんす」
「……通しなさい」
教会跡地のGATEの件かな?
無事魔物は倒せたかな?
「報告します!
教会跡地のGATEから!
人間が現れました!
魔物ではなく!
人間です!
至急ご指示をくださいませ!」
え
人間?
どういうこと?
まさか
それって
"勇者候補"を召喚しちゃってるんじゃ……
ヴィオラ様はもう自分の管轄の
領地のことなので対応するしかない。
「かかっ!異世界人か!?」
「……あらまぁ……めんどくさそうなことに……」
「……セバス。使い魔を。
すぐに勇者候補を魔法学園へ誘導させなさい。
暴れたら拘束しなさい。」
「かしこまりました」
「……すぐ魔法都市へ向かいますわ」
「はい!」
「はい!」
「心配いらぬ。
妾が先に見に行ってやる。かかっ!」
ぶーん……ズズズーーー
さくっと転移するアビゲイル様。
あーあ。
せっかく
勇者候補召喚もうやめたのに……。
まさかまた来ちゃうとは……
これはこれは
どうなることやら……
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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