愛憎の輪舞編③
紅派ヴィオラ様の推し活のすゝめ
エルデシュタイン新聞にてナミはコラムを執筆
マナーの悪さが浮き彫りになっているので
マナー違反はヴィオラ様に迷惑がかかること。
己の醜態を晒している行為であること。
独占欲や嫉妬を捨ててみんなで一丸となって
ヴィオラ様を応援する体制をとりましょう。
逸脱した行為には不敬罪が課せられること。
などを丁寧に書き出し投稿。
教会、魔法学園、ギルド、あらゆる組織において
マナーを守るよう書面で貼り出し周知。
暴徒の鎮火は衛兵に留まらず、
エルデシュタイン騎士団も見回りに参加。
衛兵というのは警察みたいなものね。そして
この騎士団とはマスタング伯爵のところの衛兵達が
衛兵の上位互換として新たに結成した
ヴィオラ様直属の騎士団、約50人の猛者たち。
魔法学園の卒業生なども志願して
この騎士団に何人か入団している。
有事の際には軍として動く部隊。
ヴィオラ様の勢力はもはや小国を凌ぐのだ。
さて、ここまでやれば収束するかなと思ったのだけど……
エルデシュタインのお屋敷ーーー
「かかっ!ヴィオラお前のとこの信者は素行が悪いのう」
「……どうも困ったものですわ」
これだけやってもあまり効果がない。
「もうすぐ第四弾ブロマイドの
【あなたとの会話は終わりましてよのポーズ】
が発売なのに……」
「第三弾ブロマイドの
【踏みつけて見下してさしあげますわのポーズ】
の時みたいに買い占め騒ぎとかに
ならなければいいけれど……」
黒猫ショップで発売されるファン御用達ブロマイド写真。
「買う時に一筆でも書かせましょうか?」
「そこまでしないといけないのですか……」
うーむ。
「かかっ!妾の信者はみんな大人しいのにのう」
「そう、それなんですよね……」
そう、違和感がある。
紅派だけ暴徒化しているのだ。
同じく黒派も暴徒化しているなら
なんとなくわかるのだけど
なぜか紅派だけがマナーが悪い。
「……ナミとルチアで何とかしなさい」
「はい〜……」
「……わかりました〜」
恋と愛の違い、みたいなもので
好きと推しの違い、のような説明はできる。
昔の偉い人が言った【お言葉】らしいけれど
【例えば花が好きならば花を摘んで飾り、
我が物として楽しむでしょう。
ですが、花を愛しているならば、
摘まずに水を与え、育てるでしょう】
私からしたらアニメで得た知識だけど
とてもわかりやすい推し活のすゝめである。
コラムにも書いて反響もあった。
それでも、なかなかマナーの悪い信者が減らない。
どうしたもんかな…
「かかっ!おい、ゾンビ人間のワインはもうないのか?」
毎日エルデシュタインの屋敷に遊びに来ては
例のウェストレイク産のワインを
ひたすら呑んでる教祖様。
なんとこの酔っ払い教祖様
転移魔法まで使う。
教会とこの屋敷を一瞬で行き来するのだ。
なので、とても気軽にヴィオラ様に会いに来る。
改めてホンモノの化け物だと認識。
「アビゲイル様……呑みすぎです。
在庫がもう1本です。
すぐ買いに行ってきますけど」
従者のひとりが買い出しに出る。
「かかっ!妾の魔力の源は酒じゃ!かかかっ!」
……嘘である。
「仕方ないのう……少し助けてやるか
毎夜の酒の礼じゃ」
ん?
「結界を張ってるエルフがおるじゃろう」
呼び出されたリーベ。
「なんでありんすか教祖」
「お前結界内の精霊は感知できているか?」
「意識すればできるでありんす!」
「すぐやれ。」
「偉そうでありんす!
あたいヴィオラ様の言うことしか聞かないでありんす!」
「そのヴィオラが困っとるから言うとるのじゃ!」
「は、はい〜ごめんなさいでありんす……」
リーベは相変わらず無駄にめんどくさい……
てか、精霊って?
「この世界の自然のものや生物に宿る概念じゃな。」
「樹の精霊とか水の精霊とかですね」
「他にも人の感情なんかにも宿る精霊がいてな」
「ほえー。私の元いた世界では万物に神様が宿るという
言い伝えがありました。そんな感じですか?」
日本で言う"八百万の神"というやつですね。
「かかっ!そうじゃな、その認識で恐らくあっておる」
「良い感情も度が過ぎれば悪くもなる」
「……あーなんか増幅してる精霊がいるでありんす」
「それじゃな。つまり結界で街を覆ったのはいいが
中に侵入もできなければ外へ出ることもできんのじゃよ」
推し活をしてる民の"好き"の感情が
結界のせいで外へ出れない精霊により増幅されている。
暴徒化の原因は紅か黒かではなく、
このエルデシュタインの領地の結界の中なのが原因。
結界内にいる人の感情が著しく増幅しているのは
結界から出られなくなってる精霊のせいだと言うのだ。
「……アビゲイル様すごい!
ただの酔っ払いじゃなかったんですね!」
「かかっ!お前喧嘩を売ってるのか?」
「……ひっ!すいません冗談です!」
「……対策はどうすれば?結界を解くのですか?」
「……そうじゃな。1日くらい解いて、
換気しても問題なさそうじゃが」
GATEから少し魔物が出る程度だろうとのこと。
ちゃんと見張ってればそれほど問題ではない。
「リラが居ればのう……精霊を具現化できるんじゃが」
え?精霊を具現化?
そんなことが……
「あー?舐めるなよ!あたいだってできるぞ!」
「なんじゃ出来るのならはよやれ」
「お願いしますと言ったら仕方なくやってやるでありんす!」
「……リーベ!やりなさい!」
「はい〜ごめんなさいでありんす〜」
即ヴィオラ様に怒られるリーベ。
(シュガーのゴスロリ少女もそんな感じなの?)
(吾輩のは人間とコミュニケーションを取る為の
魔法じゃ。お主らに魔法をかけておる。
人の姿を見せて脳内で会話するためのな。
今はお主とヴィオラと回復女限定じゃ。
転移能力はもう、屋敷の人間にはバレたがの。)
(別モノなんだね……)
何やら詠唱を始めるリーベ。
精霊を具現化……何が現れるんだ?
「出るでありんすー!」
もくもくもく……
おお……。
空気が圧縮されて人の形に成っていく……。
小人?
羽が生えている。
その精霊はとても元気に言い放った。
「きゅぴぴ〜ん♪恋のキューピット☆
キュピリンだきゅぴ♪」
……うわぁ……
……なんだこいつーーー!!
「昔から精霊が具現化した者を人はーーー」
「【妖精】と呼ぶのじゃ」
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