勇者候補VS魔王編①
「結界内に入ってきた者はどのくらい把握できるの?」
「ただの人の行き来まではわからないでありんす!」
「例えば魔物が入ってきたらわかるわけよね?」
「ああ、わかるぞ!あと、この屋敷に向かってるとか
意思があると感知できるでありんす!」
「この屋敷だけ?」
「この屋敷を中心に街に結界を張ってるからな!
あたいも、ここに居るし、まあ出かけてても
屋敷に侵入したヤツとかいたらわかるでありんす」
……。なるほど。
普通にすごいな。
そりゃ屋敷で食っちゃ寝してるだけでも
置いとく価値があるってもんだ。
とても優秀なエルフ族の結界という防御壁を手に入れた
エルデシュタイン家はその辺の小国より
よほど強くなってしまったかもしれない。
ん?
食っちゃ寝して猫と遊んでるだけの従者がもう1人
ここにいるような気がするが……
まぁ、気にしないでおこう。
今日もみんなはのんびりしている。
領政や魔法学園、国からの依頼など
一段落したエルデシュタイン家は
しばらくゆっくり過ごすことができている。
こういうのんびり展開は事件の前触れなんだよね。
妙なフラグを感じていた私。
そこへ訪問者
「変態騎士が来たでありんす」
屋敷の玄関で迎え撃つは
うちの最強ゴリマッチョメイド。
「帰れ剣聖。お前の顔を見ると
吐き気がするのでございます」
「おいS級!いくらなんでも言い過ぎだろう!?」
「……ちっ。なんでございますか」
「エルフの様子を見てこいと言われてるのだ!」
「別にお前じゃなくてもいいだろう。別の使者をだせ。」
「国でそのエルフと面識があるのは私だけだろう!」
「……すぐ帰れよ」
「く!メイドごときが調子に乗るなよ!?」
「……なんだ?今すぐ力の差をわからせてやろうか?」
「シンシア。ヴィオラ様がお通しせよと言っています」
執事が割って入り、
剣聖はなんとか屋敷内へ入ることに成功。
(わーいやったやったヴィオラしゃまに会えりゅ♪)
「やめてあげなさいシンシア。なにか理由をつけて
ヴィオラ様にお会いしたいのでしょう」
「……ち、おこがましいでございます」
「……は?!おい、何の話をしているお前ら?!」
廊下。
「げ、出た!……あ、いやこれは剣聖殿。
よくぞお越しくださいました。」
「お前あからさまに嫌な顔するな?
ほとんど私と面識ないだろう!?」
思わず嫌な顔をしてしまったクロウは
あの時ずーっと鼻息を吹きかけられていた
実は1番の被害者なのは内緒の話なのである。
私とルチアが出迎える。
「お久しぶりです、どうぞこちらへ」
真面目なフリをする私。
「あ〜ヴィオラ様のファンの騎士さんだ〜☆」
「ちょ、ルチアやめなってば!ぷぷ」
「お前ら一体…なんの話をしている?!」
(なんだ鼻息女か。何しに来たのじゃ)
(ヴィオラ様に会いたかったんじゃない?)
「なんだよ?ちゃんと結界張ってるぞ?
でもお前ら国は嫌いだからな。
王都には頼まれても
結界張ってやらないでありんす!」
「く……何だこの扱いは……!」
バレてないと思っているこの剣聖は
私達の格好のおもちゃになってしまっていた。
ーーーコツン
ーーーコツン
「……結界は何も問題ありませんことよ」
ヴィオラ様の登場。
「は!それは何よりでございます」
(ヴィオラしゃま〜今日もなんとお美しい♪
テキトーに理由つけてエルデシュタインまで
来た甲斐があったわ♪
目の保養〜ア゛ア゛ア゛ア゛
ヴィオラしゃま成分フルチャージ〜☆)
「……そういえばもう1人の勇者候補が
魔王討伐に向かったんですって?」
「はい。神速のスキルの勇者候補です。」
「弱い方の勇者候補は留守番でございますね。」
「おい!S級!貴様!」
「……やめなさいシンシア。悪ふざけがすぎましてよ」
「……はい。失礼しました」
(ヴィオラしゃまお優しい〜!
S級のやつ怒られてやんの!くくく)
「……事実を受け入れる覚悟のない者も世間には多くてよ」
(ヴィオラしゃま〜。ん?どゆ意味だ?)
一応お茶はお出しして、もてなしてあげる。
改めてなんだか私と通じる所があるのかもしれない。
この人の転生前の姿がなんとなく想像つく……。
「……ところで参謀の方」
「……え?私ですか?」
剣聖は私のことをそう思っていたのか。
上手くいくもんだな。
「あなたとはやはり、
どこかでお会いしたことがある気がしまして」
「……?え?き、気のせいではないかしら?
おほほ…」
「以前から気になっていまして……
ご存知かと思いますが私達勇者候補は
この世界に来る前の記憶が消えています。
なのでどうしても曖昧な時もあるのですが……」
ヤバい!バレそう?!
ごまかさなきゃ……!
「えー?ナミちゃん、てか、勇者候補なんだから
召喚された時に会ってるんじゃないの?」
あ。
ルチア言っちゃった。
え
「ああ!……そうか!!」
バレた。
「あの時の!スキルなかった人だ!!!」
あーあ。ルチアちゃん〜……
「ええ……あのまぁ…なんやかんやありまして
ヴィオラ様に拾っていただいたのです……」
「……そうだったのですか!」
(なんだと?
つまりもし私の方が
スキルなかったら
私がヴィオラ様に拾っていただけてたかも
しれないということか!?くっ!)
「……あら。ナミ。ワタクシ隠していませんわ?
問題なくてよ?」
え?そうなんだ?
「当然ですわ。
後でごちゃごちゃ言われてはかないませんからね?
国にスキル無しのゴミ勇者候補拾ったのでうちで
雑用として使いますとキチンと報告していますわ」
あ、そなんだね。
まぁ捨てたゴミだもんね。
別に興味もないか。
そりゃそうだよね。
あれ、
なんだか目から汗が。
転生前の記憶があることだけは内緒。
剣聖は感服して言う
「しかし、ヴィオラ様さすがです。
なんというお心の広さ。
やはり伝説の勇者のご令嬢としましては
勇者候補には思い入れがあるのでしょうか?」
「……ただの気まぐれですわ」
思い入れはないのね。
うん。
ん
ん?
伝説の勇者の
令嬢?
「え?!勇者の令嬢...??誰がですか!?」
「ヴィオラ様に決まってるじゃありませんか」
「あれ?ナミちゃんもしかして知らなかったの?」
「え!え!うそ!?」
「エルデシュタイン侯爵と侯爵婦人こそが
20年前に、魔王を倒した勇者でございます」
「……あら?言ってませんでしたか?」
え、
えええ?!!!、!
じゃぁ
エドとシータが
勇者?!
ヴィオラ様ってば
伝説の勇者の一人娘だったの?!
まじかぁぁぁあ!!!!
ヴィオラ様が最強すぎる理由に
これ以上の理由があるだろうか。
いや、ないね。
ああ、
そして、
何かいろんなことに
納得。
おみそれしました……。
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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